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契約社員のメリット・デメリットとは?正社員とも比較

契約社員について、どのようなイメージを持っていますか?
デメリットばかりが取り沙汰されがちですが、メリットもあるのをご存じでしょうか?

契約社員とは、正式には有期契約労働者といい、あらかじめ決まった雇用期間での労働契約を結んだ社員のことです。
有期労働契約の期間は、「原則として最長3年(専門職など特定の条件がある場合は5年)」と労働基準法で定められています。
本記事では、契約社員のメリットを中心に、デメリットも紹介しています。
契約社員として働くことを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。

契約社員のメリット

契約社員のメリット

契約社員には、メリットがいくつかあります。
労働者の希望する条件によっては理想的な雇用形態にもなるため、メリットを十分に理解しておくことが大切です。
本章では、契約社員のメリットを見ていきましょう。

希望の職種、業種で働きやすい

短期で契約する契約社員は、正社員と比較すると一般的に採用されやすい傾向があります。
短期間で必要性を判断し、更新の有無を含めた契約を見直すことができ、試用期間のように雇用できるためです。

そのため、希望の業種で正社員としての就職・転職活動で苦戦しても、契約社員としてなら就職できる可能性が高まります。
希望の業種があり目的意識を高く持っていれば、契約社員として経験を積むことも有意義となるでしょう。

転勤が少ない

契約社員は正社員と比較して、転勤が少ないです。
雇用契約の際に勤務地の指定があれば、原則として転勤を命じられることは少ないと考えられます。

ただし、雇用契約の内容によっては例外が生じることもあるため、注意が必要です。

給与が正社員に比較的近い

契約社員と正社員は給与に差があり、契約社員のほうが平均給与が低いです。
しかし、その差は今後小さくなる可能性があります。

実際に、厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」より、正社員と契約社員の年収の差を比較してみましょう。

正社員とそれ以外の職員の給与を比較したデータでは、正社員の月収約33万円に対し、それ以外の職員では月収は約22万円です。
年収の差は132万程度になります。

理由の一つとして考えられるのが、ボーナスの差です。
契約社員は正社員に比べると、ボーナスの支給額が低い傾向にあり、支給自体がない企業もあります。
ただし、契約社員に年棒制の給与体制を採用し、成果次第で業績に応じたボーナスを別途設定している企業もあり、契約次第といえるでしょう。

次に契約社員とパート・アルバイトタイム労働者で比較します。
契約社員は月給制が多く、パート・アルバイトタイム労働者は時給制が多いことから、契約社員は労働時間や暦に左右されず安定した収入が期待できます。
パート・アルバイトタイム労働者と比較すると、収入が安定する傾向です。

さらに、「同一労働同一賃金」をめざすという厚生労働省の指針もあります。
同一労働同一賃金とは、雇用形態に関わらず同じ待遇を確保することを目的としています。
仕事内容や権限の範囲が同じならば、雇用形態に関わらず同等の賃金が請求できるとする考え方です。

この指針により、正社員と契約社員の給与の差は今後小さくなる可能性があるでしょう。

ワークライフバランスを保ちやすい

契約社員はワークライフバランスを保ちやすい雇用形態です。
勤務条件は契約次第のため、雇用主と交渉さえ成立すれば、勤務時間を短くすることもできます。
労働条件を都合に合わせて設定できる可能性があるところに、契約社員の良さがあります。

正社員は契約社員と異なり勤務時間が一律に固定されている場合が多く、残業が発生することもあるでしょう。
子育てや介護で働ける時間に制限がある場合、契約社員のほうが働きやすいと感じる方も多いのです。

大きな責任を負うことがない

契約社員には多くの場合昇給や昇進がない分、プレッシャーを過度に感じることなく働くことができます。
また、契約期間が決まっているため、決まった業務を課されることが多いです。
そのため責任の範囲が明確で、特定の業務に没頭することができるでしょう。

残業も少なくなる傾向にあります。

契約社員のデメリットと問題点

契約社員のデメリットと問題点

契約社員には、デメリットや問題点もあります。
契約社員になることを検討する際には、デメリットをよく理解したうえで、目的にかなう条件での契約をめざすのがおすすめです。

気を付けるべきデメリットと問題点を解説します。

雇用や収入が安定しない

契約社員は契約期間が決まっており、契約が更新されなければ別の職を探さなくてはなりません。
次の勤務先をあっせんしてもらえることはほぼなく、自分で探す必要があります。
仕事が見つかるまでの期間は無収入となり、生活的にも精神的にも不安な状態になるでしょう。

しかし、契約社員は契約期間中であれば正社員より解雇される可能性が低いという利点もあります。
期限付きではありますが、契約期間の満了までは安定して働けるのです。

契約社員として働く場合は、契約期間、契約更新の有無や回数上限、無期雇用転換の可能性などを、契約前にしっかりと確認しておいたほうが良いでしょう。

昇給や昇格がない

契約社員は、契約期間中に昇給・昇格する可能性が極めて低いのもデメリットです。
契約更新の際に交渉の余地はありますが、正社員と比較すると昇給昇格の機会は少ないといえるでしょう。

福利厚生が少ない

契約社員は正社員より福利厚生が少ない点も、デメリットの一つです。

福利厚生には、法律で規定される「法定福利厚生」と、会社が独自に設定する「法定外福利厚生」があります。
法定福利厚生には社会保険(厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険など)などが含まれ、雇用形態に関係なく、加入基準を満たせば契約社員を含むすべての労働者が利用できます。

一方、会社が独自に実施している住宅手当や交通費、施設の利用サービスなどの法定外福利厚生は、対象が正社員に限られていることも多いのです。
詳しくは後述します。

仕事の裁量権が少ない

契約社員には昇格がない場合が多く、責任ある役職に就きにくいという特徴があります。
そのため、仕事の裁量権が少なくなりがちです。
正社員と同等のスキルを持っている場合などには、物足りなく感じることもあるでしょう。

契約社員と他の雇用形態を比較した場合のメリット

契約社員と正社員の他にも、いろいろな雇用形態があります。
ここでは雇用形態ごとの違いに注目して比較し、解説します。
どの雇用形態で働くか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

契約社員と正社員|雇用形態による違い

契約社員と正社員は、法的には契約期間が決まっているかどうかが異なります。
しかし、他にも異なる点があり、注意が必要です。
それぞれの相違点を解説します。

正社員と契約社員の違いを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

福利厚生

各種社会保険では契約社員と正社員で違いはなく、条件さえ満たせば同様のものに加入することが可能です。
具体的には、契約社員の場合、週の所定労働時間が常時雇用されている従業員の4分の3以上かつ、1ヵ月の所定労働日数が常時雇用されている従業員の4分の3以上であれば、社会保険の加入義務が生じます。

他にも、次の条件を満たす場合には社会保険に加入する義務があります。

  • 週20時間以上の勤務
  • 月額賃金8.8万以上、年収106万以上
  • 雇用期間2ヵ月以上

確定給付企業年金、企業型確定拠出年金などの企業年金についても、雇用形態のみで加入の可否は左右されません。
しかし、賃金や雇用年数で条件を設定している企業もあるため、確認が必要です。

また、契約社員は、企業が独自に導入する法定外福利厚生を利用できない場合もあります。
法定外福利厚生は、住宅手当や交通費、健康診断や人間ドックの受診、退職金や、アミューズメント施設の利用割引優待、オフィスのマッサージチェアの利用、無料の社員食堂など幅広くあり、社会保険などの法定福利厚生以外のサービスです。
ユニークな施策を導入している企業もあり、社内外へのアピールにつながる事例もあります。

契約社員は住宅手当や家族手当の対象外とする企業もあり、交通費を支給しない場合もあります。
また、退職金制度についても、適用対象を正社員のみとし、契約社員には適用されない企業が多いです。
法律の範囲外となり、企業ごとに自由度高く設定されているため、個別に確認する必要があります。

契約社員の福利厚生について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

雇用期間

契約社員と正社員の大きな相違点が雇用期間です。
契約社員が結ぶ有期労働契約では、原則として3年を超える契約期間を設定できません。

契約期間が満了したあと再度雇用契約を結ぶと、契約更新となります。
同じ会社での契約労働期間が通算で5年を超える場合、労働者が雇用期間が決められていない契約(無期雇用)への転換を希望すれば、会社はそれを断ることができません。

契約社員の無期雇用について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

有期労働契約にメリットを感じる方もいるでしょう。
自分の夢や目標と両立しやすい、仕事内容が限定されやすく働きやすい、という意見もあります。

雇う側のメリットは、雇用の調整がしやすいことです。
契約期間が限られているため、人手が必要な時期に労働者を増やし、必要のないときには減らすといった調整が可能です。

一方、正社員は特別な理由がなければ期間を限定されずに働き続けられるというメリットがあります。
正社員は定年や自主退職、解雇などの理由が生じた場合のみ、労働契約が終了します。

勤務地と勤務時間

契約社員には原則、転勤はありません。
契約期間中は、契約時に定めた勤務地で働き続けることが一般的です。
一方、正社員には異動や転勤を求められる可能性もあります。

勤務時間についても、契約社員の場合は雇用主と契約の際に個別に決定されます。
対して正社員では、一律で勤務時間が定められているケースが多いでしょう。
ただし、正社員でも契約社員でも、労働基準法32条により、所定労働時間は1日8時間以内かつ週40時間以内が原則です。

正社員のほうが残業が発生する可能性が高いですが、限度基準が定められています。
また、正社員は就業規則で残業を義務付けられていることが多く、正当な理由がなければ残業を拒否できないという制約もあります。
勤務時間に制限がある場合、契約社員にメリットが大きいでしょう。

ボーナスと退職金

ボーナスあるいは賞与と呼ばれる特別給に法律で定められた金額はなく、正社員にも契約社員にも規定はありません。
しかし、正社員には年に2回のボーナスが支払われるのが一般的です。

先述のように、契約社員にはボーナスを出さない会社が多い傾向です。
厚生労働省の統計によれば、たとえボーナスが出たとしても正社員のほうが高額となっています。

契約社員のボーナスについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

また、契約社員には退職金が出ないことも少なくありません。
退職金には法的な規定がなく、会社の裁量に任されています。
ある程度の期間以上働いた労働者に対して退職金を出す制度にしている企業も多いです。

企業によっては契約期間満了時に満了金を支給する制度がある企業もあります。
正社員は一定以上勤めていれば退職金を支給される可能性が高いですが、退職金や満了金が出るかどうかは企業の就業規則によるため、個別の確認が必要です。

昇給昇格

契約社員の給与は、雇用契約書に記載されている金額が契約満了まで支給されます。
しかし、契約更新時に人事評価や給与査定を受け、次の契約更新時に結果が反映される場合、昇給のチャンスです。

一方、正社員は仕事で成果を上げれば定期的に給料が査定されるため昇給もあり、役職者へ昇進する可能性もあります。
昇進や昇格のしやすさで見ると、契約社員と正社員とでは大きな違いがあります。

契約社員と派遣社員の違い

契約社員と派遣社員の相違点は、就業先と直接雇用契約を結んでいるかどうかです。
契約社員は就業先と、派遣社員は派遣元と雇用契約を結びます。

契約社員は契約更新を繰り返した場合、正社員雇用へと転換される可能性があるというメリットがあります。
しかし、契約満了後は自分自身で一から次の就労先を探さなければなりません。

派遣社員は派遣元の会社が間に入るため、時給や待遇の交渉は派遣元の会社がしてくれることが多いです。
また、派遣契約終了後は派遣会社が新しい派遣先を探してくれることもメリットの一つです。

しかし、派遣社員が同じ派遣先企業の同一業務に従事できるのは3年以内と定められているため、雇用が安定しにくいというデメリットがあります。
これらについてより詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてください。

契約社員とパート・アルバイトの違い

パート・アルバイトは、パートタイム労働法で「1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者(正社員)の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者」と定義されます。

したがって、契約社員とパート・アルバイトの大きな違いは、労働時間です。
契約社員は契約次第で勤務時間が異なりますが、労働日数と時間は正社員並みのことが多いでしょう。
パート・アルバイトは短時間労働のことも多く、1日5時間、週20時間など、労働時間を調整できます。

パート・アルバイトは自分の都合に合わせてシフトを組んで働けることがメリットの一つです。

一方契約社員はフルタイムに近い時間帯で働くため、契約社員のほうがパート・アルバイトよりも給料が高い傾向にあります。
また、短時間労働者に比べて勤務時間が長いため、社会保険に入る条件を満たしやすくなります。
結果として、パート・アルバイトよりも安定した働き方ができる点がメリットといえるでしょう。

契約社員として働くときの注意点

契約社員として働くときの注意点

契約社員は企業との契約内容で労働条件が大きく変わるため、トラブルを避けるために確認すべき点や注意しなければならないことがあります。
まず、契約社員は、契約更新できる場合とできない場合があります。
雇用者と労働者の間で合意があれば、契約の更新が可能です。
契約社員として働く場合、契約期間満了後にどのようなキャリアを望むのか整理しておいたほうが良いでしょう。

正社員をめざすのか、転職するのかなど、具体的にイメージしておくのがおすすめです。
正社員をめざすなら、企業に正社員登用制度があるのか、実際に登用の実績があるのか、条件は何か、などを確認しておく必要があります。

また、契約社員にとって契約内容は非常に重要です。
勤務時間や勤務日、勤務地や賃金、手当の有無など、契約締結の前に細かくチェックしておきましょう。
採用決定後に労働条件通知書を交付されるので、契約期間や契約更新の有無、業務内容などの労働条件もよく確認することが重要です。

契約社員として働くメリットを理解して、キャリアプランを検討しよう

契約社員として働くときのメリットを、正社員やパート・アルバイト、契約社員など別の働き方と比較しながら解説しました。
契約社員として働く前には契約内容をしっかり確認し、キャリアプランを具体的にイメージしておくと良いでしょう。
仕事に対する条件や希望とするキャリアパスに合わせて、契約社員として働くことを選択肢の一つにしてはいかがでしょうか。

執筆者について

情報かる・けるは、医療・介護従事者として働いている方や、これから目指す方の「知りたい」に応えるメディア。 全国54,000件以上の求人を扱う弊社スタッフが、編集部として情報発信! “いい仕事が見つかる・いい仕事を見つける”ための、有益なコンテンツをお届けします。 https://twitter.com/karu_keru

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