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脈拍の年齢別の正常値について|正常値だけ覚えておくのでは不十分?

「患者さんの脈拍数を管理するために、正常値を知りたい」
「年齢ごとに脈拍数の正常値って変わるの?」

脈拍数は、患者さんの状態を把握するための重要な項目の一つです。
患者さんの状態が良いか悪いかを判断するためには、正常値を知っていなければなりません。
この記事では、年齢ごとの脈拍数の正常値や、年をとるにつれ脈拍数が下がる理由を解説しています。

年齢別の脈拍数の正常値一覧

年齢別の脈拍数の正常値一覧

脈拍数の正常値を年齢別に紹介します。

年齢 脈拍数(回/分)
1歳未満 120~140
1歳から7歳未満 100~110
7歳から13歳未満 80~100
13歳以上65歳未満 70~80
65歳以上 60~70

上図、上表を見ていただくと、1歳未満の正常脈拍数は120~140回/分とかなり多いです。
年を重ねるにつれ徐々に減っていき、65歳以上になると60~70回/分になります。

年齢とともに脈拍が低下する理由

脈拍数は年齢とともに低下していきます。
1歳未満の乳児や1歳から7歳未満の幼児の脈拍数が多い理由は、基礎代謝が高く酸素消費量が多いため、心臓が活発に動くからです。

高齢者は普段の活動量も酸素消費量も少なく、心臓が頑張って動く必要がないため、脈拍数も少なくなります。

脈拍数は高齢者になると少なくなるのが一般的ですが、病気や計測前の行動により変動します。

高齢者の脈拍に関して詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

徐脈になる理由

徐脈とは、脈拍数が1分間に50回以下の状態です。
心臓の筋肉を刺激する洞結節からの電気刺激が正常に伝わらなかったり、出なかったりすることで、徐脈は起こります。

また、徐脈となりえる疾患は以下のとおりです。

  • 洞不全症候群
  • 房室ブロック

洞不全症候群は電気刺激を送る洞結節が正常に機能せず、電気刺激の回数が少なくなったり、止まったりする疾患です。
段階に応じてⅠ~Ⅲ型の分類があります。

  • Ⅰ型:徐脈が長期間持続する状態
  • Ⅱ型:一時的に電気刺激が止まる、もしくは洞結節から心房に伝わらない状態
  • Ⅲ型:徐脈と頻脈が出現する状態

房室ブロックは、心房から心室への信号を伝える房室結節の機能の低下によって起こる疾患で、こちらも徐脈の原因となります。
段階に応じてⅠ~Ⅲ度の分類があります。

Ⅰ度:心房から心室へ信号が伝わるのに時間がかかる状態
Ⅱ度:心房から心室へ信号が伝わるのに、徐々に時間がかかるようになり、一瞬途絶える状態
Ⅲ度:心房から心室への信号が完全に途絶えた状態

頻脈になる理由

頻脈は1分間の脈拍数が100回以上の状態を指し、日常的にも激しい運動や精神的な興奮で起こります。
上記の場合の頻脈はしばらく安静にしていればもとに戻るため、問題ありません。
しかし、安静時や長時間続く場合は治療が必要な可能性があります。

頻脈の原因となる心臓の疾患は以下のとおりです。

  • 期外収縮
  • 洞性頻脈
  • 心房細動
  • 発作性上室性頻拍
  • 心室頻拍
  • 心室細動

 

上記のなかでめまいや失神、命の危険性が高い疾患は、心室頻拍と心室細動です。
発見時は即座にスタッフを集め、救命処置を行いましょう。
頻脈は心臓の疾患以外にも、ストレスや疲労、アルコールやカフェインの大量摂取でも起こりえます。

脈拍の年齢別正常値はあくまで目安

脈拍数の正常値はあくまで目安です。
正常値から逸脱した場合の脈拍数を、すべて異常ととらえてはいけません。
患者さんによっては、心臓の疾患のため普段から脈拍数が正常値より高かったり、普段から運動をしている方は徐脈傾向だったりします。

患者さんごとの普段の脈拍数を覚えておき、普段の値から逸脱した場合を異常ととらえ、対応するのが重要です。
また、測定前に運動や興奮するような行動、入浴などを行っていると脈拍数は上がりやすいため、異常値が出た場合は測定前の行動を聞いておきましょう。

年齢別の正常値に頼り過ぎず個々の普段の脈拍数を把握しよう

脈拍数は年齢別の正常値が定められていますが、個人の基礎疾患や普段の生活スタイルにより通常値は異なります。
患者さんの変化を察知するためには、患者さん個々の通常値を把握しておかなければなりません。

正常値は参考程度に把握しておき、患者さん自体の基礎疾患や生活スタイルを確認し、起こりうる脈拍異常を想定しておくのが重要です。
脈拍異常が起きた際に迅速な対応ができるよう、準備しておきましょう。

執筆者について

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