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看護計画のO-P・T-P・E-Pとは?具体的な記載例とともに解説

この記事の監修者
ゆみさと
【資格】
看護師

【プロフィール】
岩手県立大学看護学部を卒業後、血液内科・乳腺外科混合病棟にて勤務し、その後、透析クリニックに転職。
現在、看護師として働きながら、医療関係を中心にライターとしても活動中。

看護師が患者さんの看護問題に対して質の高いケアを提供するためには、適切かつ具体的な看護計画が重要です。
看護計画は、O-P(観察計画)・T-P(援助計画)・E-P(教育計画)から構成されており、看護師はそれぞれの計画を実践し、定期的に評価しながら患者さんに関わる必要があるでしょう。
本記事では、O-P・T-P・E-Pの意味や、看護計画での具体的な記載例を詳しく解説します。
看護師の日々の業務に役立つ情報がまとまっているので、ぜひ最後までお読みください。

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看護におけるO-P・T-P・E-Pとは

看護におけるO-P・T-P・E-Pとは

看護計画を立てる際に重要な役割を果たすのが、O-P・T-P・E-Pという3つの要素です。
これらは、患者さんの状態を多角的にとらえ、適切なケアを提供するための要素となります。
それぞれの意味や特徴を理解することで、より効果的な看護計画を立てることが可能となるでしょう。

ここからは、O-P・T-P・E-Pについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

観察計画(O-P)

O-Pとは、「Observation Plan」の略称であり、日本語では「観察計画」と呼ばれます。
看護師による患者さんの観察項目を列挙する項目です。
例えば、バイタルサインや血液検査データ、皮膚状態、睡眠状況など、看護師が患者さんのことを見て得た情報や、コミュニケーションを通して得た情報がO-Pに該当します。

観察計画は、患者さんの状態を正確に把握し、適切なケアを提供するための基礎となる重要な要素です。
O-Pを正しく実践し、看護記録としてカルテに記載することによって、患者さんの小さな変化を早期に発見し、迅速な対応につなげることができます。

O-Pの具体例は、以下のとおりです。
看護問題によって具体的な看護計画は異なってきますので、看護問題に応じたO-Pを立てていきましょう。

  • バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸数)の測定と記録
  • 皮膚の状態(発赤、浮腫、褥瘡の有無)の確認
  • 食事摂取量と水分摂取量の記録
  • 排泄状況(回数、量、性状)の観察
  • 睡眠状態(時間、質、中途覚醒の有無)の確認
  • 痛みの程度とその変化の観察
  • 気分や情動の変化の確認

援助計画(T-P)

T-Pとは、「Treatment Plan」の略称であり、日本語では「援助計画」と呼ばれます。
看護問題を解決するために、看護師が患者さんに実施する看護の内容を記載する項目です。
例えば、ADLの低下によりセルフケアが不足している患者さんの場合は、入浴介助や清拭、オムツ交換などの清潔ケアや排泄ケアなどが援助計画に含まれます。

T-Pは、患者さんの個別性を考慮しながら、具体的かつ実行可能な内容で立案することが重要です。
また、患者さんの状態や目標の達成度に応じて、適宜見直しと修正を行うことが求められます。

T-Pの具体例は、以下のとおりです。

  • 清潔ケア:入浴介助、清拭、口腔ケア
  • 排泄ケア:トイレ誘導、おむつ交換、導尿
  • 移動の援助:歩行介助、車椅子移乗の補助
  • 褥瘡予防:体位変換、エアマットレスの使用
  • 栄養管理:食事介助、経管栄養の実施
  • 疼痛管理:鎮痛剤の投与、非薬物療法の実施
  • リハビリテーション:ROM運動、筋力トレーニングの補助

教育計画(E-P)

E-Pとは、「Education Plan」の略称であり、日本語では「教育計画」と呼ばれます。
名前のとおり、看護師が患者さんに指導・教育する事項を記載する項目です。
例えば、退院をめざしている患者さんに対しては、退院後の服薬指導や生活指導などが挙げられるでしょう。
患者さんの状態によっては、ご家族に指導を行うこともE-Pに含まれます。

教育計画は、患者さんやご家族の理解度や受け入れ状況を考慮しながら、段階的に進めていくことが求められます。
また、指導内容を実践できているかの確認と、必要に応じた再指導を行うことも重要です。

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看護計画におけるO-P・T-P・E-Pの記入例を紹介

O-P・T-P・E-Pの概念を理解したところで、実際の看護計画における記入例を見ていきましょう。
具体的な事例を通じて、それぞれの計画がどのように立案されるのかを学ぶことができます。

ここでは、「転倒・転落リスク状態」と「食欲不振」の2つの看護問題を例に、O-P・T-P・E-Pの記入例を紹介します。
これらの例を参考にすることで、より実践的な看護計画の立案方法を身につけることができるでしょう。

「転倒・転落リスク状態」の場合

転倒・転落リスクは、多くの患者さんが抱える看護問題のため、計画を立案する機会も多いでしょう。
転倒・転落は患者さんの生命やADLに影響を及ぼす可能性があるため、特に高齢者や身体機能が低下している患者さんにとって重大な看護問題です。
適切な観察と援助、そして患者さん自身やご家族への教育を通じて、リスクを最小限に抑えることが求められます。

以下に、転倒・転落リスク状態の患者さんに対する看護計画の記入例を示します。

看護問題 転倒・転落リスク状態
看護目標 長期目標:
転倒・転落することなく安全に過ごすことができる。
短期目標:
転倒・転落予防の重要性を理解し、予防行動をとることができる。
O-P ・バイタルサイン
・睡眠状況
・ADL
・歩行状況(ふらつきの有無)
・歩行時に履物を正しく履けているか
・ドレーンや点滴ルートの状態
・ナースコールの使用状況
・疼痛の有無
・歩行時に履物を正しく履けているか
・服薬状況(睡眠薬や降圧剤の有無)
・ベッド環境(床の状態、照明、障害物)
・転倒歴
・自宅環境
T-P ・片側はベッド柵を使用するとともに、ベッドを適切な高さに調整する
・移動補助具(歩行器、杖)を提供する
・夜間はセンサーマットを配置し、トイレ歩行介助を行う
・病棟内で歩行のリハビリを行う
・スリッパなど滑りやすい履物の使用を避ける
・消灯前にトイレ誘導を行う
E-P ・患者さんとご家族に対して転倒・転落のリスクと予防法を説明する
・夜間時のトイレ歩行は転倒リスクが高いため、ナースコールを使用するよう声かけする
・ドレーンや点滴のルート類が絡まないように声かけする
・転倒しにくい服装や靴の選び方を指導する
・退院後の自宅環境整備についてご家族に指導を行う

「食欲不振」の場合

食欲不振は、さまざまな要因によって引き起こされる可能性がある看護問題です。
患者さんの栄養状態を適切に維持するためには、原因の特定と個別性を考慮したアプローチが必要となります。

以下に、食欲不振状態の患者さんに対する看護計画の記入例を示します。

看護問題 食欲不振状態
看護目標 長期目標:
患者さんの栄養状態が改善し、適切な食事摂取量を維持できる。
短期目標:
患者さんが食事に対する前向きな態度を持つことができる。
O-P ・バイタルサイン
・体重
・血液検査データ
・食事摂取量(1日の摂取カロリー、水分摂取量)
・日中活動量
・食欲の有無
・吐き気の有無
・味覚異常の有無
・口内炎など口腔内異常の有無
・嚥下機能
・排泄状況
・普段の食事摂取量
・服薬状況
・食事に対する意欲
T-P ・嘔気予防のため食事前に吐き気止めを提供する
・匂いの少ない食事など患者さんに合わせた食事を管理栄養士と相談する
・日中の活動量を増やすため、病棟内でリハビリを実施する
・食前に口腔ケアを実施する
E-P ・栄養バランスの良い食事の重要性について説明する
・栄養補助食品を紹介する
・口腔ケアの実施を声かけする
・食欲増進のための工夫(適度な運動、リラックス法)を指導する
・ご家族に対して退院後の食事管理について指導する

O-P・T-P・E-Pを正しく理解して看護計画を立てよう

O-P(観察計画)、T-P(援助計画)、E-P(教育計画)は、効果的な看護計画を立案するうえで欠かせない要素です。
これらを正しく理解し、適切に活用することで、患者さんの個別性に合わせた質の高い看護を提供できます。

看護計画を立てる際は、これら3つの要素をバランスよく組み合わせ、患者さんの状態や目標に応じて柔軟に調整していくことが重要です。
また、定期的に計画の評価と見直しを行い、常に最適なケアを提供できるよう努めましょう。

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