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セルフケア不足の看護計画の立て方をポイントとともに紹介

この記事の監修者
ゆみさと
【資格】
看護師

【プロフィール】
岩手県立大学看護学部を卒業後、血液内科・乳腺外科混合病棟にて勤務し、その後、透析クリニックに転職。
現在、看護師として働きながら、医療関係を中心にライターとしても活動中。

医療現場において、セルフケア不足は多くの患者さんが抱える看護問題です。
特に退院を控えている患者さんや精神疾患を抱えた患者さんに対して、看護計画を立案し介入する機会も多いのではないでしょうか。
適切な看護計画を立てることは、患者さんの回復と自立を支援するうえで、非常に大切です。

本記事では、セルフケア不足に対する看護計画の立て方について、具体的なステップとポイントを解説します。
アセスメントの実施から看護問題の把握、そして具体的な計画立案まで、看護師の皆さんが実践で活用できる内容です。
患者さん一人ひとりのニーズに合わせた適切な看護を提供するための知識とスキルを身につけましょう。

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セルフケア不足の患者さんに対する看護計画の立て方

セルフケア不足の患者さんに対する看護計画の立て方

セルフケア不足に対して適切な看護計画を立てることは、患者さんの回復と自立を支援するうえで非常に重要です。
看護計画を立てるためには、アセスメント、看護問題の把握、そして具体的な計画立案という段階を踏む必要があります。
それぞれの段階でのポイントを押さえることで、患者さんのニーズに合った適切な看護を提供できます。

アセスメントを行う

看護計画を立てる最初のステップは、患者さんの状態を正確に把握するためのアセスメントです。
アセスメントでは、患者さんの主観的情報(S)と客観的情報(O)を総合的に収集し分析します。
これにより、患者さんのセルフケア能力や不足している部分を明確にできるのです。

アセスメントを行う際には、まず患者さんの主観的情報を丁寧に聞き取ります。
主訴や日常生活での困りごと、セルフケアに対する考えや意欲などが重要な情報です。
次に、客観的情報を収集します。
これは、疾患や既往歴をはじめ、採血データや患者さんの表情、ADL(日常生活動作)の状況、清潔ケアの自立度、病室の様子、リハビリの進捗状況などです。

これらの情報を総合的に分析することで、患者さんの健康状態やセルフケア能力の現状を把握し、セルフケア不足の具体的な内容や原因を特定できます。
また、アセスメントの結果を視覚的に整理するために、関連図を作成するのも効果的な方法です。
関連図を用いることで、患者さんの問題点や要因の関連性を明確にし、看護計画立案の基礎となる情報を整理できます。

看護問題を把握する

次のステップでは、患者さんの看護問題を明確にします。
アセスメント結果から患者さんが直面している看護問題が抽出できるため、それぞれの問題に対して優先順位をつけていきましょう。

看護問題の優先順位を決める際には、生命に関わる問題や治療に直結する問題を最優先とすべきです。
例えば、重度の栄養不足や衛生状態の悪化などは、早急に対応すべき問題として上位に位置づけられます。
マズローの欲求5段階説を参考にすることで、患者さんのニーズに応じた優先順位づけが可能になります。

看護計画を立案する

把握した看護問題に基づいて、具体的な看護計画を立案します。
看護計画は、看護目標、観察計画(O-P)、援助計画(T-P)、教育計画(E-P)の4つの要素で構成されます。
これらの要素を適切に組み合わせることで、包括的かつ効果的な看護計画を完成させることが可能です。

看護計画は、以下の流れに沿って作成します。

  1. 看護目標を設定する
    長期目標と短期目標を明確に定めることで、看護の方向性を示す。
    患者さんにどのような姿になってもらう必要があるのかを考え、具体的な内容と達成したい時期を明確に記載する。
  2. 観察計画(O-P)を設定する
    患者さんの状態変化を把握するための観察項目を列挙する。
  3. 援助計画(T-P)を設定する
    セルフケア不足を補うための看護介入方法を記載する。
    例えば、入浴介助の方法や食事の援助方法などを具体的に記述する。
  4. 教育計画(E-P)を設定する
    患者さん自身のセルフケア能力を向上させるための指導内容や方法を明記する。

以下に、セルフケア不足の看護計画の一例を示します。

<セルフケア不足の看護計画例>

看護問題 手術によるADL低下のため入浴を自立して行えない
看護目標 長期目標:退院までに入浴を自立して行えるようになる
短期目標:2週間以内に入浴時の注意事項や工夫が必要な動作がわかるようになる
O-P ・バイタルサイン(体温・血圧・脈拍・呼吸状態・SpO2)
・血液検査データ(Hb)
・ADL状況
・清潔状態
・衣服着脱の自立度
・入浴の自立度や工夫状況
・浴槽の出入り時など風呂場でのふらつきの有無
・風呂場内の手すりを適切に使用し転倒予防ができているか
・入浴にかかる時間
・入浴に対する意欲や表情
・入浴による疲労度
・浴槽の深さなど自宅の風呂場環境についてご家族に確認する
・理学療法士や作業療法士からリハビリ状況を確認する
T-P ・自力で行えない行為など必要に応じて入浴介助を行う
・床が濡れていないか、ドレーンの管は絡まっていないかを適宜確認し、安全な入浴ができるよう患者さんに声かけしながら、環境を整える
・ベッド上で実施できるリハビリを1日1回行う
・住宅改修の必要性について担当のケアマネジャーと相談する
E-P ・入浴を自立するために必要な工夫と注意点について説明する
・着脱しやすい衣服の特徴について説明する
・退院時のめざすべき姿について患者さんの希望を確認し、自立に向けた動機づけを行う
・ご家族への入浴時の介助方法や注意点を指導するとともに、滑り止めマットなど安全な入浴を促すための道具を紹介する

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セルフケア不足の看護計画を立案するときのポイント

セルフケア不足の看護計画を立案する際は、いくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。
まず、セルフケアが不足している要因を明確にし、その要因に合わせた計画を立てることが重要です。
例えば、身体機能の低下が原因なのか、知識不足が原因なのかによって、同じセルフケア不足に対する問題であっても、アプローチ方法が異なってきます。

また、看護師が患者さんを全面的にサポートするのではなく、患者さんが持っているセルフケア能力を正しく評価することも大切です。
これにより、患者さんの能力に見合った適切なケアを提供し、自立を促すことができます。
さらに、患者さんの意欲や生活背景、ご家族のサポート状況なども考慮に入れ、実現可能な計画を立案することが求められます。

セルフケア不足の看護計画を立ててみよう

セルフケア不足の看護計画は、アセスメント、看護問題の把握、そして具体的な計画立案という段階を踏んで作成します。
アセスメントでは主観的・客観的情報を収集し、患者さんの状態を総合的に分析します。
看護問題の把握では、セルフケア不足に関連する問題点を抽出し、優先順位をつけましょう。
そして、看護計画の立案では、看護目標、観察計画(O-P)、援助計画(T-P)、教育計画(E-P)を具体的に記載します。

これらのステップを丁寧に進めることで、患者さんの個別性に応じた看護計画を立てることが可能です。
常に患者さんの能力と意欲を尊重し、自立を促す視点を持ちながら計画を立案することが、セルフケア不足の改善につながります。
看護師として、患者さんの回復と自立を支援するための適切な看護計画を立案する能力を磨いていくことが重要です。

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執筆者について

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