認定看護師は、さまざまな看護分野のエキスパートで看護師の上位資格です。
では、准看護師から認定看護師はめざせるのでしょうか。
この記事では、准看護師が認定看護師になる方法と准看護師が取得できる現実的な資格について解説します。
目次
准看護師から認定看護師はめざせない
結論からいうと、准看護師から直接認定看護師になる方法はありません。
認定看護師になるには「看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること」が必要です。
この看護師免許とは正看護師の免許を指しており、都道府県知事が認可する准看護師の資格ではなく、国家資格の看護師免許を意味します。
准看護師の資格しかない場合は、認定看護師だけでなく、専門看護師や認定看護管理者など、看護師の上位資格の受験条件を満たしていないのです。
認定看護師になるには
まず、認定看護師の制度を詳しく解説します。
そもそも認定看護師とは
認定看護師とは、特定の分野で専門知識と技術を持っていることを日本看護協会が認定する看護師です。
専門分野は糖尿病看護や認知症看護など、医療現場で専門的知識のニーズがある分野にわかれており、認定看護師はそれぞれの専門分野における看護のエキスパートといえます。
なお、高齢者の増加や在宅推進などで医療事情が変化し、求められる看護師の役割も変わってきていることから、2020年より認定看護師制度は新たな制度に移行中です。
現行の認定看護師 | 新たな認定看護師 | |
移行期間 | 2026年度に修了 | 2020年度より開始 |
看護分野 | 21分野 | 19分野 |
教育 | A課程認定看護師教育機関 600時間以上の教育を受け卒業 |
B課程認定看護師教育機関 800時間程度の教育を受け卒業 |
※現行の認定看護師は特定行為研修を修了し、移行手続きをすれば新たな認定看護師へ移行可能 |
ここでは、2022年11月現在の状況を解説します。
最新の情報は、日本看護協会のホームページにてご確認ください。
認定看護師になる方法
認定看護師になるには正看護師の免許取得後、めざしたい認定分野の実務経験3年を含む、通算5年以上の実務経験が必要です。
その後、認定看護師教育機関に入学して所定の教育を修了し、認定審査に合格すれば、認定看護師を名乗ることができます。
資格取得後も、取得した分野で認定看護師としての活動を継続的に行い、5年ごとに資格更新をしなければなりません。
認定看護師の教育機関は分野別に受講できる教育機関が決まっており、日中の集合研修のため、看護師の仕事をしながら資格取得をめざすのは現実的に困難です。
認定看護師をめざしたい人はまず正看護師へ
解説のとおり、認定看護師は正看護師でないとめざせない資格です。
専門分野で認定看護師をめざすには、まず正看護師の資格を取得しましょう。
ここでは、准看護師から正看護師をめざす方法と、正看護師になるメリットを説明します。
准看護師から正看護師になるには
准看護師から正看護師になるには、正看護師養成学校に通い、看護師の受験資格を得る必要があります。
定時制・通信制の施設もあるため、准看護師として働きながらでも正看護師をめざせるでしょう。
准看護師の免許取得者が正看護師になるには、全日制で2年、定時制なら3年の教育を修了しなければなりません。
ただし、最終学歴が中学校卒業の場合は、正看護師養成学校へ入学するのに3年以上の実務経験が必要です。
通信制の正看護師養成機関の教育期間は2年ですが、入学するには7年以上の実務経験が必要になります。
准看護師から正看護師になるメリット
正看護師になると、以下のようなメリットがあります。
- 主体的な看護ができる
- 正看護師のほうが准看護師よりも求人数が多く給料が高い
- 認定看護師、専門看護師などの資格がめざせる
自立した判断のもと看護ができる看護師の必要性が高まるなか、准看護師を廃止しようとする動きがあり、その流れで准看護師養成学校の定員数と入学者数は減少傾向です。
こういった情勢の変化を考慮すると、正看護師になっておくメリットは大きいでしょう。
准看護師からめざせる資格
正看護師をめざすとしても、時間や費用面などでハードルが高いと感じる人もいるかもしれません。
そこで、ここでは正看護師以外に准看護師からめざせるスキルアップのための資格を紹介します。
- 福祉住環境コーディネーター検定試験
福祉住環境コーディネーターは、障がい者や高齢者が住みやすい環境を提案する、住まいのアドバイザーです。
1級から3級まであるうち、2級と3級はインターネットを利用した試験方式で、自宅でも受験可能です。
通学せずに資格取得ができ手軽な反面、専門知識を活かせる場所は在宅医療などの現場に限られるかもしれません。 - ACLSプロバイダー・BLSプロバイダー
ACLSプロバイダー・BLSプロバイダーは、心肺停止時の救命処置に関する日本ACLS協会の資格で、世界基準の救命処置が身につけられます。
看護師の現場において、業務中の急変対応に役立つ資格です。
准看護師が認定看護師をめざすなら、まずは正看護師に
認定看護師は、正看護師になってからめざせる資格です。
正看護師になれば、認定看護師などの上位資格がめざせるだけでなく、活躍できる場の幅も広がり給料にも反映されます。
准看護師からめざせるスキルアップのための資格もありますが、まずは正看護師をめざすのが現実的で将来性のある選択になるでしょう。