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【最新】看護師の離職率を調査!病院別・都道府県別の離職率や離職の理由を解説

「看護師の離職率は高いと聞くけれど、退職理由は?」
「看護師が離職したあと、仕事はどうしている?」
と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

2023年3月発表の日本看護協会の調査結果によると、2021年度時点での正規雇用看護師の離職率は11.6%でした。

この記事では、看護師の離職率を、病院の規模・設置主体・地域別に紹介します。

また、他職種との離職率の比較や主な離職理由なども詳しく解説していきます。
看護師の離職率が気になる方は、参考にしてみてください。

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看護師の離職率は11.6%

看護師の離職率は11.6%

出典:新卒看護職員の離職率が 10.3%に増加|日本看護協会

日本看護協会「2022年 病院看護実態調査」によると、2021年度の正規雇用看護師の離職率は11.6%です。
グラフの推移を見ると、前年度に比べ増加していることがわかります。

新卒採用者は10.3%、既卒採用者は16.8%となっており、経験のある看護師のほうが離職率が高いという結果でした。

以下で、項目別の離職率について詳しく紹介します。

  • 【病院の規模別】看護師の離職率
  • 【設置主体別】看護師の離職率
  • 【都道府県別】看護師の離職率
  • 【厚生労働省調査】3年以内の離職率

【病院の規模別】看護師の離職率

日本看護協会の調査をもとに、2021年度における病院の規模別の看護師離職率を、以下の表にまとめました。

   正規雇用 新卒採用者 既卒採用者
99床以下 12.1% 13.9% 20.1%
100〜199床 12.8% 12.7% 18.2%
200〜299床 12.2% 9.2% 18.0%
300〜399床 12.0% 11.8% 15.6%
400〜499床 10.7% 9.6% 10.3%
500床以上 10.8% 9.3% 12.8%

参照元:日本看護協会

規模別で見ると、正規雇用の離職率が高い病院の1位は、100〜199床以下の12.8%でした。
新卒・既卒採用者のいずれも、99床以下の病院で離職率が高い結果となっています。

一方、正規雇用における500床以上の病院の離職率は10.8%と低く、病院の規模が大きくなるにつれ離職率は低くなる傾向にあります。

【設置主体別】看護師の離職率

日本看護協会の調査をもとに、看護師の離職率を病院の設置主体別にまとめました。

   正規雇用 新卒採用者 既卒採用者
国立 10.7% 9.8% 12.9%
公立 8.0% 9.7% 9.1%
日本赤十字社 9.4% 8.7% 9.6%
済生会 12.3% 10.0% 12.3%
厚生連 10.1% 8.8% 11.4%
その他公的医療機関 11.0% 5.1% 8.0%
社保関係団体 11.3% 8.5% 13.4%
公益社団・財団法人 12.5% 10.6% 17.1%
私立学校法人 12.7% 10.0% 10.4%
医療法人 14.4% 11.9% 19.1%
社会福祉法人 12.9% 13.4.% 15.7%
医療生協 12.8% 9.9% 15.9%
会社 9.3% 9.4% 8.8%
その他の法人 12.5% 9.5% 14.3%
個人 14.6% 13.8% 32.1%

参照元:日本看護協会

設置主体別で見ると、正規雇用の離職率が高い病院の1位は、個人の病院の14.6%でした。
新卒・既卒も個人病院での離職率が最も高く、既卒採用者は32.1%、新卒採用者は13.8%となっています。

【都道府県別】看護師の離職率

都道府県別の看護師の離職率は、以下の表のとおりです。

   正規雇用 新卒採用者 既卒採用者
北海道 11.4% 8.2% 14.8%
青森県 7.3% 10.3% 9.4%
岩手県 7.4% 10.7% 24.0%
宮城県 9.6% 12.3% 9.6%
秋田県 7.6% 8.0% 6.7%
山形県 7.3% 9.1% 12.4%
福島県 8.9% 8.0% 12.8%
茨城県 10.7% 8.0% 11.2%
栃木県 10.7% 14.3% 14.7%
群馬県 9.1% 7.0% 16.6%
埼玉県 13.3% 12.6% 16.0%
千葉県 13.5% 10.2% 13.1%
東京都 14.6% 12.3% 20.7%
神奈川県 14.6% 11.2% 20.4%
新潟県 9.3% 7.6% 14.0%
富山県 8.8% 5.1% 12.3%
石川県 9.6% 6.6% 14.2%
福井県 8.4% 3.7% 8.7%
山梨県 7.4% 8.6% 13.4%
長野県 8.3% 5.3% 7.0%
岐阜県 9.3% 12.8% 14.8%
静岡県 11.7% 4.1% 17.9%
愛知県 12.8% 8.3% 13.0%
三重県 10.8% 6.6% 20.0%
滋賀県 10.9% 5.8% 17.8%
京都府 12.0% 9.8% 15.8%
大阪府 14.3% 12.3% 23.5%
兵庫県 12.8% 12.4% 17.7%
奈良県 12.3% 7.9% 15.1%
和歌山県 10.5% 11.2% 23.1%
鳥取県 7.7% 11.2% 15.8%
島根県 7.5% 6.6% 8.1%
岡山県 9.9% 9.2% 14.7%
広島県 10.1% 10.3% 17.0%
山口県 10.1% 11.5% 15.6%
徳島県 5.9% 11.1% 16.4%
香川県 9.4% 17.1% 22.1%
愛媛県 10.8% 12.0% 12.1%
高知県 9.7% 9.8% 17.5%
福岡県 11.3% 10.4% 15.4%
佐賀県 8.0% 9.0% 8.8%
長崎県 11.0% 13.3% 15.8%
熊本県 10.1% 8.3% 19.5%
大分県 10.8% 11.3% 16.9%
宮崎県 10.5% 11.0% 16.9%
鹿児島県 10.0% 9,1% 19.2%
沖縄県 11.3% 7.7% 11.6%

参照元:日本看護協会

都道府県別で見ると、正規雇用看護師の離職率1位は、東京都と神奈川県の14.6%でした。
次いで千葉県の13.5%と、首都圏で離職率が高い傾向にあります。

新卒採用者の離職率が高いのは、栃木県の14.3%、長崎県の13.3%、岐阜県の12.8%です。既卒採用者の離職率は、岩手県の24.0%、大阪府の23.5%、和歌山県23.1%で高い結果となっています。

【厚生労働省調査】3年以内の離職率

厚生労働省が行った令和2年度の調査によると、産業別の新卒から3年以内の離職率は以下のとおりです。

【高校】

産業 離職率
宿泊業・飲食サービス業 61.1%
生活関連サービス業・娯楽業 56.9%
教育・学習支援業 50.1%
小売業 47.8%
医療・福祉 46.2%

参照元:新卒看護職員の離職率が 10.3%に増加

【大学】

産業 離職率
宿泊業・飲食サービス業 51.5%
生活関連サービス業・娯楽業 46.5%
教育・学習支援業 45.6%
医療・福祉 38.6%
小売業 37.4%

参照元:新卒看護職員の離職率が 10.3%に増加

高校卒業の場合、新卒から3年以内の医療・福祉の離職率は、46.2%でした。
離職率の高さは上位5位の産業に該当する結果です。
また、大学の場合は38.6%で4位に該当します。

医療・福祉分野の職種別で詳細な調査結果ではありませんが、看護師の離職率も高いと考えられます。

看護師の離職率はほかの職種に比べて高い?

看護師の離職率は、ほかの職種に比べて高いのでしょうか?
厚生労働省による令和4年雇用動向調査の結果を見てみましょう。

   離職率
宿泊業、飲食サービス業 26.8%
サービス業(ほかに分類されないもの) 19.4%
生活関連サービス業、娯楽業 18.7%
医療、福祉 15.3%
教育、学習支援業 15.2%
卸売業、小売業 14.6%
不動産業、物品賃貸業 13.8%
運輸業、郵便業 12.3%
情報通信業 11.9%
複合サービス事業 11.0%
電気・ガス・熱供給・水道業 10.7%
学術研究、専門・技術サービス業 10.0%
建設業 10.5%
製造業 10.2%
金融業、保険業 8.3%
鉱業、採石業、砂利採取業 6.3%

参考:令和4年 雇用動向調査結果の概要|厚生労働省
(2 産業別の入職と離職 )

調査結果によると、医療・福祉業界の離職率は15.3%で、全体では4位でした
全職種のなかで最も高い離職率は、宿泊業・飲食サービス業の26.8%です。

看護師の離職率が高い病院と低い病院の傾向

ここからは、看護師の離職率が高い病院と低い病院の傾向を紹介します。

離職率が高い病院の傾向

前項で紹介した都道府県別の看護師離職率表にあるとおり、基本的には大都市圏のほうが離職率が高い傾向です。
それ以外の傾向としては、休みがとりにくい、コミュニケーションがとりにくい、人手不足、昇給しにくいなどの病院は離職率が高いといえます。

新卒の場合は民間病院や規模が小さい病院の離職率が高く、これは教育体制が整っていないことが離職の原因である可能性があります。
看護師の仕事にやりがいを感じていたとしても、職場環境が悪いと離職につながってしまうでしょう。

離職率が低い病院の傾向

離職率が低い病院は、病院内の雰囲気が良い、コミュニケーションがとりやすい、休みがとりやすい、人数が確保されているなどの傾向があります。

また、小さい規模よりも大きい規模の病院のほうが離職率が低いのも特徴です。
規模が大きい病院の場合、採用人数が多く、マニュアルもしっかり整備されており、働きやすい環境が整っているケースが多いからでしょう。

キャリアアップを支援している病院などもあり、転職しなくても昇給できることも理由の一つとして考えられます。

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看護師の離職理由・原因

看護師が離職する主な理由としては、以下6つが挙げられます。

  • 結婚や出産などライフスタイルの変化
  • 待遇面への不満
  • 人間関係のストレス
  • 本人の健康問題
  • キャリアアップ目的
  • 新型コロナウイルス対応など仕事に対する不安

それぞれ詳しく見ていきましょう。

人間関係の不満

看護師の職場は女性が多く、閉鎖的な雰囲気になることも少なくありません。
どうしても馴染めない環境の場合は、人間関係を理由に離職する人もいます。

また、医師や他職種、患者さんやそのご家族とのコミュニケーションも必須の職業です。
状況によっては厳しい言葉をかけられ、ストレスを感じてしまうこともあります。

職場環境の不満

看護師は業務内容がハードで、残業を避けられない職場もあります。
また、シフト制でまとまった休暇がとりにくいケースも少なくありません。
このことから、「超過勤務が多い」「休みがとりにくい」といった理由で退職する人もいます。

加えて、病院によって夜勤手当や基本給に差があるため、業務量に対して給料が安かったり手当が少ないと感じることも離職の理由です。

本人の健康状態

看護師の仕事は患者さんのケアが中心です。
寝たきりの患者さんの身体を拭いたり体の向きを変えたりするときに、無理な姿勢を取ることで腰を痛めてしまう看護師も少なくありません。

また、病院で働く看護師には夜勤もあり、不規則な生活によって体調を崩しやすいです。
そのため、年齢を重ねるにつれて、日勤のみやパート・アルバイト勤務ができる職場へと転職する傾向にあります。

スキルアップ・キャリアアップ

看護師のなかには、専門的なスキルアップやキャリアアップのために離職する人もいます。

地域医療に貢献するために訪問看護ステーションに転職したり、終末期医療に携わるためにホスピスや緩和ケア病棟のある職場に転職したりと、人によってさまざまです。

さらに、看護師とは違う道に進む人もいれば、別の資格取得をめざして学びの時間を確保するためにと、いったん退職する人も一定数います。

結婚・出産などライフステージの変化

日本看護協会の調査によると、看護師の退職理由のなかでも「出産・育児のため」は22.1%と最も多く、「結婚のため」も17.7%と多い結果が見て取れます。

看護師は女性の多い職種です。
結婚・出産・子育てといったライフスタイルの変化をきっかけに、退職するケースは多くなるでしょう

結婚をきっかけに引越し、通勤が困難になることも考えられます。
子育てに専念したいと考える人や、仕事と子育ての両立が難しく職場を変える人もいます。

また、親の介護などを理由に離職する人も少なくありません。

新型コロナウイルス対応など仕事への不安

近年、新型コロナウイルス感染症への対応など、仕事に対する不安も離職の理由に挙がっています。

日本看護協会が行った実態調査で、新型コロナウイルス感染症対応を理由とした離職率を以下の表にまとめました。

離職率
病院 15.4%
介護保険施設(老健) 3.4%
介護保険施設(特養) 4.0%
訪問看護ステーション 4.5%

参照元:日本看護協会「看護職員の新型コロナウイルス感染症対応に関する実態調査」結果概要

調査結果によると、病院全体で15.4%、老健で3.4%、特養4.0%、訪問看護ステーションでは4.5%の離職率となっています。

看護師として働き続けたい、と答えた看護師は全体の82.3%と高い数値ではありましたが、
「離職して看護師以外の仕事で働きたい」8.9%、「働きたくない」8.9%という結果も見られました。

理由として、新型コロナウイルスによる自分やご家族への感染リスクだけでなく、平常時の業務への支障、患者家族への対応、人員不足による業務負担などが考えられます。

離職率が低い職場で看護師として働こう

今回は、さまざまな条件での看護師の離職率を紹介しました。
他業種と比較すると、看護師の離職率は平均よりやや高いのが事実です。
しかし、規模の大きな病院や地方にある病院は離職率が低い傾向にあります。

看護師は資格職であり、比較的再就職が容易ですが、長く同じ職場で働きたい場合は離職率の低い職場を選ぶようにしましょう。

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執筆者について

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