訪問看護師には、どのような役割があるのでしょうか。
高齢化が進むなかで、病院に入院せず住み慣れた自宅での療養や治療を希望する方や、人生の最期を自宅で迎えたいと考えている方など、在宅医療を受ける患者数が増えています。
そのような患者さんの自宅を訪れ、看護やケアを行うことが訪問看護師の役割です。
この記事では、訪問看護師の役割を4つ詳しくご紹介します。
訪問看護師として働くことを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護師の役割とは
訪問看護師の役割は、大きく分けて以下の4つです。
- 患者さんの看護・ケア
- 患者さんの希望に沿った療養生活を提供
- 患者さんのご家族の相談対応
- 他職種との連携
看護だけではなく、医療と生活の両方の視点から、患者さんにとってのベストな暮らしをめざすことが特徴です。
そのためには、患者さんだけでなく、そのご家族や他職種とも連携を取っていく必要があります。
患者さんの看護・ケア
訪問看護師の1つ目の役割は、患者さんの看護とケアです。
また、ケアのなかには、排泄介助などの日常ケアと、緩和ケアが含まれています。
以下で、それぞれの詳細について見ていきましょう。
看護
訪問看護師も、病棟の看護師と同じく、バイタルチェックや点滴、注射などの看護を行います。
また、看護を行うなかで、患者さんの体調の変化を見つけることも大切です。
訪問看護は、常に患者さんの様子を確認できるわけではありません。
訪問したときに病状の変化を見逃してしまうと、次回の訪問までに症状が悪化してしまうおそれがあります。
日常ケア
訪問看護の患者さんは、日常生活の自立度がそれぞれ異なります。
なかには寝たきりの方や、自分で食事をしたり、排泄したりすることが困難な方もいるでしょう。
患者さんのADLを適切にアセスメントし、体位交換や褥瘡ケア、食事介助、排泄介助など必要な日常生活ケアを行うことも訪問看護師の役割です。
緩和ケア
緩和ケアとは、生命の危機に直面している患者さんに対して、痛みや不安などの心身の苦痛や社会的な苦痛を取り除くケアです。
患者さんが感じている苦痛を取り除くことで、その人らしく生きられるようにサポートします。
例えば、がんに罹患した患者さんは、腫瘍の増大や転移などによって疼痛を感じることがあるでしょう。
鎮痛薬の使用状況や効果を把握して、適切な服薬指導を行ったり、温罨法など非薬物療法によって患者さんの苦痛を和らげられるようケアを提供します。
ケア対象は、患者さんだけでなく、そのご家族も含まれます。
患者さんやそのご家族の不安な気持ちを和らげるために相談にのるなどコミュニケーション能力が求められます。
患者さんの希望に沿った療養生活を提供
患者さんが希望に沿った生活が送れるようにサポートすることも、訪問看護師の役割の一つです。
その際、医療者の考える最善が、患者さんの考える最善とは限らないということを念頭に置いておく必要があるでしょう。
病院は治療を目的とする場ですが、訪問看護師が看護を行う在宅は患者さんが生活を送る場所です。
例えば、病院では転倒リスクを軽減できる療養環境を整えることができますが、患者さんのご自宅ではすべての転倒リスクを排除することは難しいでしょう。
患者さんの生活が中心となるため、どのような生活を望んでいるのかをしっかりと把握して、療養環境を整えることが大切です。
患者さんの希望を尊重しつつ、医療的な観点から外すことのできない治療をうまく取り入れていくスキルが必要です。
患者さんのご家族の相談対応
訪問看護師は、患者さんによりますが、自宅を毎日訪れるわけではありません。
そのため、患者さんと毎日関わるご家族のサポートも重要です。
訪問看護師はご家族に対して、医療機器の操作の仕方を教えたり、ご家族が治療をサポートするうえでわからない部分を手助けしたりと、ご家族と患者さんが円滑に関わっていけるようにサポートします。
また、必要に応じてご家族からの相談に乗ったり、福祉用具に関するアドバイスをしたり、地域との連携を図る場面もあるでしょう。
他職種との連携
訪問看護師は、医師や介護士、ケアマネジャーなど、さまざまな医療職と連携しながら、患者さんに最適なケアを提供していきます。
例えば、医師との連携においては、医療に関する方針や変更点を聞き、チーム内で情報を共有していく役割も果たします。
逆に患者さん側の不安や要望を訪問看護師が聞き出し、医師に伝えることも必要です。
訪問看護師が中心となり、多職種間のご家族と連携をとることで、患者さんの療養生活をより良いものにすることができるでしょう。
訪問看護師は患者さん・他職種との架け橋となる重要な役割
訪問看護師の仕事は、看護やケアを行うだけではありません。
患者さんとそのご家族、医師、その他の医療従事者との橋渡しも、訪問看護師の役割です。