
介護職員初任者研修とは、介護業界の基礎となる資格で、未経験でも取得に挑戦できます。
無資格で働ける介護業界でも、本資格を取得していれば多くのメリットを受けられるでしょう。
本記事では、介護職員初任者研修の資格概要や活躍できる勤務先、資格取得のメリットや取得までの流れなどを解説します。
介護業界に興味がある人は、知っておくと活用できるでしょう。
目次
介護職員初任者研修の資格概要
介護職員としてキャリアをスタートするための基礎となる、介護職員初任者研修。
どのような資格なのか、次の視点から解説します。
- 介護職員初任者研修の資格の目的
- 無資格者と介護職員初任者研修者の違い
- 介護職員初任者研修者と他介護系資格との関係性
介護職員初任者研修の資格の目的
介護職員初任者研修は、介護職のキャリアをスタートする人や介護に携わる人が、業務についての知識や技術、実践、考え方などを身につけるための資格です。
資格を取得すると、最低限の介護の知見が身につき、基本的な介護業務の遂行に活かせるでしょう。
これまでの介護経験や取得資格などの条件がなく、誰でも資格取得をめざせます。
介護職員初任者研修は、民間資格ではなく厚生労働省の基準に準じた資格です。
資格取得までのカリキュラム基準も設定されており、国をあげて必要とされている仕事だといえるでしょう。
無資格者と介護職員初任者研修修了者の違い
介護の仕事は無資格でも従事できますが、介護職員初任者研修を修了していれば、業務内容や勤務場所の範囲が広がります。
大きな違いは、資格を取得すると、一人で身体介護を行えるようになる点です。
食事や入浴、排泄などの行為に欠かせない身体介護は、無資格者では介護福祉士の監督のもとに限って実施可能です。
介護職員初任者研修を修了していない場合、無資格でもできる生活援助や送迎、事務などの仕事を任されることが多くなるでしょう。
単独で身体介護が行える介護職員初任者研修者修了者は、訪問介護でも活躍できます。
介護職員初任者研修と他介護系資格との関係性
介護職員初任者研修は、他の介護系資格取得に必要な土台であり、現場の介護で求められる基礎知識や技術を身につけられる資格です。
介護福祉養成課程の実務者研修と連動しており、経験を積みながら上位資格である実務者研修修了をめざせます。
実務者研修を修了すれば、介護福祉士やケアマネジャー、認定介護福祉士などのキャリアアップの道も開けるため、資格に応じて待遇を高めることもできるでしょう。
介護職員初任者研修が勤務可能な施設や仕事内容
介護職員初任者研修を修了すると、次の施設での勤務が可能になります。
仕事内容も勤務先で異なるため、働くイメージをしてみてください。
勤務先 | 主な仕事内容 |
施設(老人ホームやデイサービスなど) | 食事、入浴、排泄などの身体介護、レクリエーションなど |
訪問介護(利用者さんの自宅での介護) | 食事、入浴、排泄などの身体介護 |
調理、洗濯、掃除などの生活介護など | |
関連サービスを提供する企業 | 旅行、飲食、住宅などの分野で介護知識を活用 |
病院 | 食事配膳、患者さんの搬送、ベッドメイキングなど、患者さんの入院生活の支援 |
介護職員初任者研修を取得すると、単独での身体介護が可能となるため、より多くの施設や訪問介護で働けます。
介護業務だけではなく、介護の知識を活かした関連サービスでも需要があり、幅広い職場で活躍できるでしょう。
介護職員初任者研修の取得メリット
無資格でも働ける介護業界において、介護職員初任者研修を修了する大きなメリットは、次の3つがあります。
- 就職先の選択肢が増えて仕事の幅が広がる
- キャリアアップがめざせる
- 全国どこでも安定して働ける
それぞれのメリットを詳しく解説します。
就職先の選択肢が増えて仕事の幅が広がる
介護職員初任者研修を修了すると、就職先の選択肢が増え、仕事の幅が広がるメリットがあります。
前述したとおり、無資格では単独で身体介護を行えないため、施設での補助的な勤務が主です。
一方で、研修修了者は単独で身体介護を行えるため、訪問介護の仕事も受けられます。
研修を修了することで就職先を選べるようになり、仕事のやりがいも感じられるでしょう。
キャリアアップがめざせる
介護職員初任者研修を修了すると、さらなるキャリアアップがめざせるメリットがあります。
介護職員初任者研修からめざせる上位資格は、介護福祉士実務者研修や介護福祉士、認定介護福祉士などです。
次のステップである介護福祉士実務者研修では、介護職員初任者研修を修了していると共通科目が免除されるため、より資格を取得しやすいでしょう。
全国どこでも安定して働ける
高齢者が増えている現状で、介護業界は慢性的に人手不足となっています。
介護職員初任者研修を修了しておけば、一定の知識と技術を持つことを証明でき、全国どこでも安定して働けるのがメリットです。
厚生労働省は、介護職員の必要数について、2025年には約243万人、2040年には約280万人必要と推測しています。
今後も需要増が予想される介護の仕事は、資格を持っていれば全国地域問わず、需要が高い仕事であるといえるでしょう。
※出典:介護人材の処遇改善等
介護職員初任者研修の受講〜取得までの概要
介護職員初任者研修は、経験や学歴に関わらず、通学や通信講座で取得できます。
講座受講から資格取得までの流れを解説するので、参考にしてください。
取得方法|通学や通信講座で受講する
介護職員初任者研修は、通学や通信講座での受講が一般的です。
独学や通信講座のみでの受講はできませんが、通学のみか、通学と通信をかけ合わせた受講かを選べます。
通学と通信をかけ合わせる受講方法では、働きながら自宅でも勉強を進められます。
全内容を通信学習で済ませることはできず通学も必要になりますが、ライフスタイルに合わせて受講できるでしょう。
一般的な受講期間は、1週間あたりの受講回数によって変わります。
通信と通学を併用すると1〜4ヵ月程度、通学のみだと1〜2ヵ月程度が目安でしょう。
講座内容|講義と演習を受講する
介護職員初任者研修の講座内容や受講時間数は、厚生労働省によって定められており、どのスクールでも内容は下記のとおりです。
受講科目 | 受講時間 |
1.職務の理解 | 6時間 |
2.介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
3.介護の基本 | 6時間 |
4.介護・福祉サービスの理解と医療の連携 | 9時間 |
5.介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
6.老化の理解 | 6時間 |
7.認知症の理解 | 6時間 |
8.障害の理解 | 3時間 |
9.こころとからだのしくみと生活支援技術 | 75時間 |
10.振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
※出典:介護員養成研修の取扱細則について
合計130時間の受講で、通信併用の場合は最大40.5時間を通信で、残りを通学で学びます。
130時間には、座学だけではなく演習も含まれており、介護の基礎が体系的に学べるため、介護職未経験でも自信がつくでしょう。
修了評価|各スクールで修了試験を受ける
介護職員初任者研修で修了評価を受けるには、各スクールで修了試験を受ける必要があります。
修了試験はカリキュラムの時間数には含まれていませんが、厚生労働省の基準に合わせた内容で1時間程度の筆記試験です。
試験内容は各スクールによって異なりますが、全国で通用する資格であるため、修了後は履歴書に記載してアピールできます。
介護職員初任者研修の講座受講には補助制度を活用できる
介護職員初任者研修は、補助制度の活用により無料で受講できたり、補助金を受けられたりと優遇されます。
自治体ごとでも異なりますが、次の補助金制度を知っておくと良いでしょう。
- 自治体の補助金制度を確認する
- ハローワークの職業訓練を受講する
- 介護資格スクールの利用で学費無料になる場合もある
それぞれ、自身が該当しているかどうか確認してみてください。
自治体の補助金制度を確認する
自治体によっては、介護職員初任者研修の補助金制度を用意している場合があります。
支給対象や費用なども自治体によって異なるため、自身が住む自治体の制度を調べることが必要です。
例えば、渋谷区では条件を満たした受講者は、最大70,000円の補助金を受けられる補助金制度があります。
お住まいの市区町村のホームページなどで、補助金制度の有無や概要を確認してみましょう。
ハローワークの職業訓練を受講する
ハローワークの職業訓練の受講対象であれば、給付金を受けたり、無料で受講できたりといった支援を受けられます。
職業訓練は公共職業訓練と求職者支援訓練の2つで、支援対象者は離職中の人です。
テキスト代は実費ですが、講座は無料で受けられます。
場合によっては職業訓練受講給付金を受け取りながら勉強でき、就職サポートも受けられるため、安心して勉強できるでしょう。
ただし、職業訓練を受けられるのは該当者全員ではありません。
申し込み後の選考試験を経て受講の可否が決まるため、一刻も早く就職したいという人には不向きでしょう。
介護資格スクールの利用で学費無料になる場合もある
介護資格スクールでのキャンペーンやサービス内容によっては、学費が無料になる場合もあります。
受講から6ヵ月以内に勤務できる人や、スクールが提供する就職支援を受ける人などの条件があるため、それぞれのスクールの条件を調べると良いでしょう。
スクールによって無料提供の有無は異なりますが、該当すれば無料で研修を受講したい人にはおすすめの方法です。
介護職員初任者研修で未経験からキャリアアップしよう
介護職員初任者研修では、介護業界で活躍するための基本が習得でき、未経験でも受講が可能です。
無資格で働く場所を選ぶよりも仕事や勤務場所などの選択の幅が広がり、より自分にあった就職先を選べます。
高齢化社会が進む日本でより重宝される資格であり、全国どこでも安定して働けるため安心できるでしょう。
働きながらでも取得可能な介護職員初任者研修に、ぜひ挑戦してみてください。