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臨床検査技師になるには?必要な資格と高校で勉強すべき科目を解説

どんな仕事なのか、あるいは国家資格を取得するまでの流れを知らないまま、臨床検査技師になるのは難しいと思い込んでいませんか

この記事では、必要な資格や進学先の情報を解説します。臨床検査技師をめざす高校生が学んでおくと役に立つ科目、社会人から臨床検査技師になる方法など、それぞれの状況に応じて知っておきたい情報を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

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臨床検査技師になるには国家試験に合格しなければならない

臨床検査技師になるには国家試験に合格しなければならない

臨床検査技師になるには、まず国家試験に合格しなければなりません。

業務に必須の国家資格のほか、日本臨床検査医学会と日本臨床検査同学院が認定する、臨床検査士(一級・二級)や緊急臨床検査士といった認定技師資格(上級資格)もあります。

臨床検査技師国家試験の合格率

このパートでは、臨床検査技師国家試験の合格率と受験資格を解説します。

年に一度だけ実施される臨床検査技師国家試験の第63回(2017年)から第70回(2024年)までの合格率は以下のとおりです。

回(年) 合格率(%) 受験者数(人) 合格者数(人)
第63回(2017年)
(うち新卒者)
78.7
89.9
4,739
3,870
3,729
3,481
第64回(2018年)
(うち新卒者)
79.3
90.5
4,829
3,948
3,828
3,572
第65回(2019年)
(うち新卒者)
75.2
86.5
4,817
4,002
3,620
3,462
第66回(2020年)
(うち新卒者)
71.5
83.1
4,854
3,940
3,472
3,273
第67回(2021年)
(うち新卒者)
80.2
91.6
5,115
3,947
4,101
3,614
第68回(2022年)
(うち新卒者)
75.4
86.4
4,948
4,092
3,729
3,537
第69回(2023年)
(うち新卒者)
77.6
89.5
5,002
4,010
3,880
3,589
第70回(2024年)
(うち新卒者)
76.8
88.0
4,946
4,051
 3,800
3,565

※各回の厚生労働省発表データ(臨床検査技師国家試験の合格発表について)をもとに作成

合格率には幅がありますが、ここ数年は70〜80%で推移しています。
新卒者に限定した合格率は80〜90%であり、全体の合格率よりもかなり高い水準です。

臨床検査技師国家試験の難易度をより詳しく知りたい方は、次の記事をご覧ください。

臨床検査技師国家試験の受験資格

臨床検査技師国家試験の受験資格は、厚生労働省により定められています。最も一般的なのは、臨床検査技師の養成課程がある大学や専門学校で学ぶルートです。

受験資格(一部抜粋、要約)

  • 文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した臨床検査技師養成所において、3年以上臨床検査技師等に関する法律第2条に規定する検査に必要な知識および技能を修得したもの
  • 大学などで医学または歯学の正規の課程を修めて卒業したもの(卒業見込みを含む)
  • 医師もしくは歯科医師(外国で免許を受けたものを含む)

受験資格の詳細は、厚生労働省のサイト(臨床検査技師国家試験の施行)でご確認ください。

臨床検査技師国家試験の受験資格は大学・専門学校で簡単に取得できる

臨床検査技師国家試験の受験資格は大学・専門学校で簡単に取得できる

前述のように、臨床検査技師になるには必要な知識や技能が学べ、国家試験の受験資格が得られる大学または専門学校に進学するのが一般的なルートです。

どちらに進学しても国家試験の受験資格を得られますが、それぞれメリット・デメリットは異なります。大学でも国公立と私立では違いがあるため、よく比較して選びましょう。

臨床検査技師国家試験の受験資格が得られる大学に進学する

メリット デメリット
・卒業すると大卒資格(学士)が得られる
・学習カリキュラムに時間的な余裕がある
・資格取得に最短でも4年かかる
・私立大学は学費が年間100万円程度必要
・国公立大学は入試難易度が高い

大卒資格は、学歴を重視する医療機関や企業に入職(就職)する場合には非常に有利です。

また、一般的な3年制の専門学校に比べて修業期間が1年長く、比較的時間に余裕があるのもメリットです。

臨床検査技師に必要な知識や技能に加え、教養を身につけられる点やキャンパスライフを楽しめる点も大学に通う魅力でしょう。

国公立大学は私立大学に比べて入試難易度は高めですが、学費を抑えられるメリットがあります。

私立大学では学費が年間100万円以上かかる大学もあり、費用面はネックですが、国公立大学に比べて入試難易度は低めです。

臨床検査技師をめざせる大学について詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

臨床検査技師国家試験の受験資格が得られる専門学校に進学する

メリット デメリット
・最短で臨床検査技師をめざせる
・学費を抑えられる
・比較的入学しやすい
・大卒資格を得られない
・時間的な余裕が少ない

専門学校に進学するメリットは、臨床検査技師養成に特化した環境で学べる点です。

大学に比べて入学しやすく、低コスト・短期間で臨床検査技師をめざせるのは専門学校の魅力でしょう。
集中して学べるのはメリットですが、時間的な余裕が少ない点をデメリットに感じる方もいるでしょう。

また、卒業しても大卒資格は得られません。臨床検査技師以外の道に進むことになった場合、就職先の選択肢が狭まるおそれがあります。

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高校時代は理数系を中心に勉強しておくと後々が有利

高校時代は理数系を中心に勉強しておくと後々が有利

高校では臨床検査技師に必要な知識を直接学ぶ科目はありません。しかし、数学・生物・化学・物理といった理数系科目の知識や技能は、臨床検査技師国家試験にも役立ちます。

<臨床検査技師国家試験の受験科目>
臨床検査技師の国家試験は大きく10の科目で構成されています。
基本的には臨床検査に特化した内容で、各科目の概要は下記のとおりです。

科目 科目の概要
医用工学概論(情報科学概論及び検査機器総論を含む) ・医用工学概論は電気や電子回路の基礎知識、情報科学概論はコンピュータやネットワークなどに関する知識が問われる科目
・検査機器総論は、医療機器の原理や特性について問われる科目
公衆衛生学(関係法規を含む) ・公衆衛生学は、医療の仕事に関わるうえでの心構えや基礎知識を問われる科目
臨床検査医学総論(臨床医学総論及び医学概論を含む) ・臨床検査医学総論や医学総論は、呼吸器疾患や消化器疾患などについて問われる科目
・臨床医学総論は臨床検査技師の役割などについて問われる科目
臨床検査総論(検査管理総論及び医動物学を含む) ・臨床検査総論は臨床検査技師の役割や心構え、検査管理総論は臨床検査の意義などが問われる科目
・医動物学は、寄生虫病や感染症について出題される科目
病理組織細胞学 ・病理組織細胞学は、解剖学や細胞診、染色など、病理全般に関する知識が問われる科目
臨床生理学 ・臨床生理学は、生理系検査に関して出題される科目
臨床化学(放射性同位元素検査技術学を含む) ・臨床化学は、生化学の基礎知識を問われる科目
臨床血液学 ・臨床血液学は、血液学的検査に必要な基礎知識が問われる科目
臨床微生物学 ・臨床微生物学は、微生物の構造や感染症の診断、治療法などについて問われる科目
臨床免疫学 ・臨床免疫学は、免疫系の仕組みと免疫検査が必要な疾患、検査法などについて問われる科目

出典:臨床検査技師国家試験の施行(厚生労働省)

社会人が臨床検査技師になるには?具体的な流れを解説

社会人が臨床検査技師になるには?具体的な流れを解説

このパートでは社会人が臨床検査技師になる方法を解説します。

社会人が臨床検査技師をめざす場合も、高校生と同様に臨床検査技師の資格取得をめざせる大学・専門学校に通うのが一般的なルートです。

ただし、一定の条件を満たしていれば受験資格を得られるケースがあります。

厚生労働省が定める臨床検査技師国家試験の受験資格を持つ方

新たに大学や専門学校で学ばなくても臨床検査技師国家試験の受験資格が与えられるのは、次のような方です。

  • 医学・歯学の正規の課程を修めて卒業した方
  • 医師、または歯科医師、または外国で医師・歯科医師免許を受けた方
  • 獣医学、または薬学の正規の課程を修めて卒業した方(必須科目を履修している場合)
  • 獣医師、または薬剤師(必須科目を履修している場合)
  • 大学で保健衛生学の正規の課程を修めて卒業した方(必須科目を履修している場合)
  • 大学で臨床検査技師の必須科目を修めて卒業した方
  • 外国の医学校、歯科学校、獣医学校、薬学校を卒業し、獣医師免許または薬剤師免許を受けた方

参考:臨床検査技師国家試験の施行|厚生労働省

医師や歯科医師、大学などで臨床検査技師の必修科目を履修した獣医師、薬剤師などは、そのまま臨床検査技師国家試験を受験できます。

専門学校の夜間部に通う

上記に該当しない方が臨床検査技師国家試験を受験するには、大学や専門学校に入学して必要な知識と技能を学ばなければなりません。

収入の問題やすぐに仕事を辞めるのは難しいなど、働きながら臨床検査技師の資格取得をめざしたい方もいるでしょう。

昼間に仕事のある方は、専門学校の夜間部で学ぶ方法があります。夜間部を設けている専門学校は次の2校です。

  • 東京医学技術専門学校
  • 京都保健衛生専門学校

夜間部であれば、今の仕事を続けながら臨床検査技師をめざせます。ただし、臨床検査技師の国家試験は暗記科目が中心であり、仕事と学業の両立には強い意志が必要です。

臨床検査技師の年収

臨床検査技師全体の平均年収は448.2万円です。
年代別で見ると20代が300~360万円程度、30代が400~450万円程度、40代が470~550万円程度となっています。
男女別でも差が見られます。

年収について詳しく知りたい方は、次の記事をご参考ください。

時間をかけて勉強すれば臨床検査技師になれる

臨床検査技師になるには国家資格が必須であり、一から資格を取得するには3年以上の時間と費用がかかります。
しかし、国家試験の合格率は8割前後と高く、試験自体はそれほど難しくありません。
臨床検査技師になるという強い意志を持って学べば、なれる可能性の高い仕事といえます。

この記事で紹介した資格に関する情報や各教育機関のメリット・デメリットを知り、進学先の選択に役立ててください。

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