
患者さんの症状を詳しく知るために、医師からの指示を受けてさまざまな検査を行う臨床検査技師は、医療現場における重要な存在です。
本記事では、臨床検査技師の具体的な仕事内容や、求められるスキルについて勤務先ごとに解説していきます。
目次
臨床検査技師とはどんな仕事?仕事内容を簡単に解説
まずは臨床検査技師の仕事内容について、詳しく見ていきましょう。
臨床検査技師の仕事は法律に定められている
臨床検査技師の仕事内容は、臨床検査技師に関する法律によって以下のように定められています。
一 採血を行うこと
二 検体採取を行うこと
三 第二条の厚生労働省令で定める生理学的検査を行うこと
四 前三号に掲げる行為に関連する行為として厚生労働省令で定めるものを行うこと
厚生労働省:臨床検査技師等に関する法律
法律と照らし合わせると少し難しく感じますが、主に行う検査としては検体検査と生体検査の2種類に大別できます。
検体検査
検体検査とは、体内から採取された検体(血液・膿・尿・便など)を調べ、検査項目をチェックする検査です。
臨床検査技師だけの仕事というわけではありませんが、重大な疾患が見つかる可能性もあることから、そのほとんどを臨床検査技師が行っています。
生体検査(生理機能検査)
生体検査とは、患者さんの身体(生体)を直接検査する検査のことで、生理機能検査とも呼ばれています。
具体的には心電図・脳波検査・MRI検査などが挙げられ、精密な検査機器を使用し体内を詳しく調べることが目的です。
臨床検査技師は「チーム医療」の一員
チーム医療とは、専門性を異にするさまざまな医療従事者が、お互いに連携しながら治療に取り組む体制のことです。
厚生労働省によるチーム医療の推進に関する検討会においては、次のように説明されています。
チーム医療とは、「医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること」と一般的に理解されている。
厚生労働省:チーム医療の推進に関する検討会
臨床検査技師もチーム医療の一員として、医師や看護師、薬剤師などと連携しながら、患者さんの治療に取り組んでいきます。
臨床検査技師の具体的な仕事内容を勤務先別に紹介
臨床検査技師の仕事内容は、勤務先の種類や規模によっても異なります。
では、実際に働いている臨床検査技師はどのような働き方をしているのでしょうか。
臨床検査技師の具体的な仕事内容について、勤務先別に分けてご紹介します。
なお、臨床検査技師の年収について詳しく知りたい方は、以下のページを参照してください。
病院・クリニック
病院やクリニックで働く臨床検査技師の場合、勤務先の規模によって仕事内容も変化します。
小規模な病院やクリニックに勤める臨床検査技師の場合、生体検査の割合が高くなっています。
これは、検体検査を検査センターなどに外注していることが多いためです。
救急患者を受け入れている中〜大規模の病院では、検体検査と生体検査が分業となるため、自分の所属する部署に応じた検査を専門的に行うことになります。
また、病院やクリニックで働く臨床検査技師は、検査のなかで患者さんと直接会話をする機会が多いので、ある程度のコミュニケーションスキルが求められます。
臨床検査センター
臨床検査センターとは、検査設備が整っていない医療機関の代わりに、検体検査を行う施設のことです。
それぞれの病院から送られてきた検体を検査するため、患者さんと直接関わることなく検査だけを集中して行います。
ただし検体検査の数は他の勤め先よりも多く、検査用の機器や器具・試薬も膨大なので、やるべき仕事や求められるスキルは多岐にわたります。
健診センター
検診センターとは、健康診断や人間ドックなどを行う施設です。
検診センターに勤める臨床検査技師の仕事は、超音波検査や心電図などの生体検査が中心になります。
検診センターでの検査は効率を重視し、ほとんどの業務を担当制で行います。
日勤が中心で勤務形態がある程度決まっているため、整ったリズムで働きたい人におすすめです。
保健所
保健所で働く臨床検査技師は、感染症や食中毒の原因をつきとめるための検査が主な仕事です。
加えて、地域住民に向けた衛生管理の指導・観察も行います。
保健所で働く臨床検査技師のもう一つの特徴は、公務員であることです。
そのため残業や休日出勤が少なく、給与をはじめとした待遇も安定しています。
保健所で働く臨床検査技師についてもっと詳しく知りたい方は、以下のページを参照してください。
>>臨床検査技師は公務員をめざすべきか|難易度や仕事から検証
臨床検査技師の勤務先は、上記の他にも大学の研究室・医療機器メーカー・製薬会社などがあります。
自分の将来的な展望やライフスタイルも考慮して、希望に沿った勤務先を探してみましょう。
臨床検査技師のやりがいと大変なところ
ここでは、臨床検査技師ならではのやりがいや、大変な点について紹介します。
臨床検査技師のやりがい
臨床検査技師のやりがいとしてよく挙げられるのは、患者さんの診断や治療につながる異常を、自分の目で発見できるという点です。
命に関わることもあり責任は重いですが、そのぶん患者さんの回復に携われた際の実感も大きな仕事です。
臨床検査技師の大変なところ
臨床検査技師は命に関わる場面が少なからずあるため、その責任からプレッシャーを感じる人もいます。
また、業務の幅が広く常に新しい知識や技術を身につける必要があるので、休日を勉強に充てなければならない場面もあるでしょう。
また、職場によっては夜勤やオンコールもあります。
そういった職場の場合は生活リズムの作り方に苦労するかもしれません。
臨床検査技師の将来性は?
臨床検査技師は、将来的により幅広い場面での活躍が期待されています。
治療のために医師から指示される検査項目は年々増えていく傾向にあり、予防の観点から健康な人の検査も重視されるようになってきたことから、臨床検査技師の担う役割も増えていくことでしょう。
また検査機器の発展にともない、業務数自体は減っていくことが考えられますが、検査によって得られたデータをチーム医療のなかで正しく活かすためには、臨床検査技師のスキルが欠かせません。
それに加えて、超音波検査士や放射線技師の資格も取得すれば、将来的に活躍の場が広がります。
日々の努力を怠ることなく、長きにわたって第一線で働ける臨床検査技師をめざしてみましょう。
臨床検査技師の将来性についてより知りたい方は、下記のページを参照してください。
臨床検査技師は探究心・向上心を刺激するやりがいある仕事
常にステップアップすることが求められる臨床検査技師は、探求心や向上心が結果につながりやすい仕事です。
患者さんの命に関わる場面もあり責任は大きいですが、そのぶんやりがいも感じられるでしょう。
臨床検査技師としてどのように働きたいのかをイメージして、自分のライフスタイルにあった働き方ができる臨床検査技師をめざしてみましょう。