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臨床検査技師の仕事は主に検体・生体検査で、薬剤師の仕事は調剤や服薬指導・管理です。
本記事では、臨床検査技師と薬剤師の仕事内容やキャリア、給料、職場、労働環境などの違いを解説します。
お読みいただくことで、ダブルライセンスを取得するメリットやめざす方法も理解できます。
「臨床検査技師か薬剤師のどちらをめざそうか悩んでいる」という方は、ぜひ参考にしてください。
目次
臨床検査技師と薬剤師の違い
臨床検査技師と薬剤師の違いは、次のとおりです。
臨床検査技師と薬剤師の違い | ||
項目 | 臨床検査技師 | 薬剤師 |
仕事内容 | 検体・生体検査 | 調剤・服薬指導・服薬管理 |
キャリア | 役職への昇進 関連資格の取得 |
役職への昇進 関連資格の取得 |
給料 | 年収496万円 | 年収581万円 |
職場 | 病院・診療所・臨床検査センター・研究機関・製薬会社・保健所 | 病院・調剤薬局・製薬企業・行政機関・大学 |
労働環境 | 基本は日勤業務 医療機関により休日・夜勤体制あり |
調剤薬局ごとの営業時間の勤務 医療機関により休日・夜勤体制あり |
試験難易度 (2022年) |
全体:75% 新卒者:86% |
全体:68% 新卒者:85% |
有効求人倍率(2021年) | 1.42倍 | 2.87倍 |
出典:賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種|厚生労働省
第68回臨床検査技師国家試験の合格発表について|厚生労働省
第107回薬剤師国家試験の合格発表を行いました|厚生労働省
有効求人倍率|職業情報提供サイト|厚生労働省
有効求人倍率|職業情報提供サイト|厚生労働省
ここからは、臨床検査技師と薬剤師の仕事内容やキャリア、給料などの違いを一つひとつ解説します。
仕事内容の違い
臨床検査技師は医療関連の検査を行う技術者で、薬剤師は薬の専門家です。
臨床検査技師の仕事内容は、医師の指示のもとで臨床検査を行うことです。
臨床検査は次の2つの種類に分類できます。
検査対象 | 検査目的 | |
検体検査 | 血液・尿・組織 | 細菌・ウイルス・酵素・脂質・ホルモンなどを分析して病気の原因や健康状態を調べる |
生体検査 | 体表面・体内部 | 心電図や脳波計を用いて心臓や脳などの機能を検査する 腫瘍の診断のために超音波診断装置を用いて画像を記録する |
一方、薬剤師の仕事内容は、病院や調剤薬局で調剤・服薬指導・服薬管理を行うことです。
具体的な業務は、
- 調剤:医師の処方をもとに正確に薬を調合する
- 服薬指導:患者さんに薬の効果や服用方法を説明する
- 服薬管理:医薬品の在庫管理・記録をする
以上の3つに分けられます。
キャリアの違い
臨床検査技師も薬剤師も、将来のキャリアビジョンとして、昇進して管理職をめざす道があります。
具体的には、臨床検査技師であれば技師長や室長、薬剤師であれば管理薬剤師や薬局長などが考えられるでしょう。
どちらにしても、キャリアアップするには一定の勤続年数とスキルが必要です。
加えて、上司からの信頼を勝ち取る必要もあるでしょう。
また、臨床検査技師や薬剤師には多数の関連資格が存在します。
- 臨床検査技師:心電図検査・認知症検査・救急検査の認定資格など
- 薬剤師:がん・腎臓病・HIV・リウマチの認定資格など
特定の分野の専門性を高めればキャリアアップできるだけでなく、資格手当をもらえたり転職に有利となったりもします。
資格取得をめざしてみたい方は、各資格認定団体のホームページを検索しましょう。
給料の違い
令和3年賃金構造基本統計調査を参考にすると、臨床検査技師と薬剤師の給料の違いは次のような結果となりました。
年収 | 月収 | 賞与 | |
臨床検査技師 | 496万円 | 38万円 | 91万円 |
薬剤師 | 581万円 | 40万円 | 96万円 |
職場や労働環境の違い
臨床検査技師と薬剤師、それぞれの職場は次のとおりです。
職場 | |
臨床検査技師 | 病院・診療所・臨床検査センター・研究機関・製薬会社・保健所 |
薬剤師 | 病院・調剤薬局・製薬企業・行政機関・大学 |
臨床検査技師の勤務時間は、一般的に日勤勤務です。
ただし、医療機関によっては緊急検査に備えた休日・夜間待機体制も存在します。
臨床検査は、患者さんや検査機器、検査材料に向かい、主に座ったまま仕事をします。
一方、調剤薬局で働く薬剤師の場合は、調剤薬局の営業時間に沿った勤務です。
近隣病院の状況にもよりますが、一般的には受診者の多い午前中が忙しくなります。
医療機関では、点滴対応などのため休日・夜勤が必要となる場合もあるでしょう。
試験難易度と需要
厚生労働省のホームページを参考にすると、臨床検査技師と薬剤師の国家試験合格率と有効求人倍率は次のとおりです。
国家試験合格率(2022年) | 有効求人倍率(2021年) | |
臨床検査技師 | 全体:75% 新卒者:86% |
1.42倍 |
薬剤師 | 全体:68% 新卒者:85% |
2.87倍 |
出典:第68回臨床検査技師国家試験の合格発表について|厚生労働省
第107回薬剤師国家試験の合格発表を行いました|厚生労働省
有効求人倍率|職業情報提供サイト|厚生労働省
有効求人倍率|職業情報提供サイト|厚生労働省
薬剤師のほうが合格率がやや低く、求人需要が高いことがわかります。
とはいえ、臨床検査技師も有効求人倍率が1.42倍と、人材不足の状況です。
臨床検査技師と薬剤師のダブルライセンスをめざす方法
薬剤師は大学で所定の科目を修了していれば、臨床検査技師の受験資格があります。
所定の科目とは、例えば臨床生理学などです。
厚生労働省ホームページの臨床検査技師受験資格に詳細が記されています。
また、入学を希望している大学で臨床検査技師の受験資格を得られるかを確認しましょう。
反対に、臨床検査技師が薬剤師資格を取得するのは大変なことです。
一般的なルートで臨床検査技師になった人の場合、薬剤師になるには、あらためて大学薬学部や薬科大学で6年間修学する必要があります。
臨床検査技師と薬剤師のダブルライセンスを取得するメリット
臨床検査技師と薬剤師のダブルライセンスを取得するメリットは、キャリアチェンジの選択肢が手に入ることです。
また、例えば薬剤師が臨床検査技師の資格を取得すれば、検査データへの理解が深まります。
検査データの理解が深ければ、薬の副作用の兆候にいち早く気付け、薬物療法の安全性・有効性をより高めることができるでしょう。
臨床検査技師と薬剤師はどちらも医療機関には欠かせない職業
臨床検査技師は健康状態や病気の原因を調べ、病気の予防や適切な治療へつなげます。
薬剤師は、安全かつ有効に薬物療法を行うために欠かせない存在です。
高齢化が進み医療機関を利用する人が増える現代では、臨床検査技師と薬剤師のどちらも必要とされる職業です。
本記事を参考にし、自分の興味関心や将来像を踏まえて職業選択をしましょう。