助産師は出産とその前後に、母子をケアする専門職です。
近年、助産師の就業者数は増加していますが、それでも助産師は人手不足が続いています。
病院や診療所、助産院、保健所などが助産師の職場ですが、一つの職場で働ける助産師の人数は限られています。
就職をめざすなら、しっかりとした履歴書を用意し面接対策を行って、希望の職場で働けるように準備することが大切です。
この記事では、助産師の志望理由を書く際のポイントや例文、助産師になりたい動機にはどのようなものがあるかなどをご紹介します。
目次
助産師の志望理由の書き方は?ポイントを解説
助産師の志望理由書は、以下のポイントを意識して書きましょう。
- なぜ助産師になりたいのか
- 助産師に向いている自己アピール
- 応募した施設を選んだ理由
- 応募した施設や地域にどう貢献したいか
では、一つずつ解説します。
なぜ助産師になりたいのか
志望理由書には、助産師をめざした理由を明確に書くことが求められます。
助産師は何となくなろうと思ったり、なりゆきでなったりする仕事ではありません。
助産師になりたいと思ったきっかけが必ずあるはずです。
まずは、自分が助産師になりたいと思ったきっかけや、助産師をめざしたい理由を具体的に書きましょう。
採用担当者が志望理由書を読んだときに、はっきりとイメージできる内容を意識することが大切です。
助産師に向いている自己アピール
自分自身に助産師に向く特性があることも、志望理由になり得ます。
助産師志望として、自己アピールできることを探してみましょう。
助産師に向いている自己アピールには、以下のようなものが挙げられます。
- 体力がある
- 忍耐力がある
- 臨機応変に対応できる
- 判断力がある
- 協調性がある
- コミュニケーションが得意
- 行動力がある
ただし、これらのことをそのまま書いても説得力がありません。
自分が経験してきたことを例として挙げながら、具体的なエピソードを交えて書きましょう。
例えば、体育会系の部活で活動していたから体力には自信がある、接客業のアルバイトをしてきたためコミュニケーションが得意など、具体的な例を挙げてください。
応募した施設を選んだ理由
助産師が働く場所は、病院や診療所、助産院、保健所などさまざまです。
志望理由書では、なぜその施設を選んだかも明確に伝えましょう。
だらだらと書くのではなく、目に留まりやすいように、わかりやすく簡潔に書くのがおすすめです。
例としては、
- 施設の理念に惹かれた
- 施設の雰囲気が良い
- キャリア形成の支援がある
- 施設内保育所がある
などが挙げられます。
惹かれた理由として、最初に給与や福利厚生といった待遇面を挙げると、悪い印象を与えてしまいがちです。
また、家から近いといった安易な理由もあまりおすすめできません。
施設側がポジティブに受け止められる選択理由を書くことが大切です。
応募した施設や地域にどう貢献したいか
志望理由には自分がなぜ助産師になりたいのか、なぜこの応募先を選んだかなど、おもに自分を中心とした内容を書きます。
しかし、それだけでは採用者の印象に残りにくく、他の応募者に差をつけることは難しいです。
採用者は、採用後に人材が自身の施設により大きな貢献をしてくれることを期待しています。
応募先で働くようになったらどのように仕事をしていきたいか、どのような助産師になりたいかなど、具体的な内容を書き添えておくと好印象を与えられます。
助産師として地域に貢献したいと考えている場合は、その希望を伝えるのも良いでしょう。
地域によっては、施設と地域で働く助産師が協同し、母子を支える取り組みを実践しているところもあります。
将来的な施設や地域への貢献の展望を具体的に伝えることで、助産師として働くための強い意志を持っていると理解してもらえるでしょう。
正しい文章を書く
志望理由を書く際には、正しい文章を書く必要があります。
どれほどすばらしい内容が書かれていても、構成や表記に問題があっては悪印象は避けられません。
具体的な志望理由の構成方法や表記方法を以下で解説します。
志望理由の構成方法
志望理由は以下の順に構成しましょう。
- 簡潔な志望理由
- 具体的な志望理由
- 過去の経験との関連
- どのような助産師になりたいか
まず、志望理由を簡潔に書き、次に応募施設を選んだ理由を含めて、応募した理由を具体的に説明していきます。
志望理由には具体性が大切なので、過去の経験を関連づけるのがおすすめです。
また、将来的にどのような助産師になりたいと考えているのかも書き添えておきましょう。
表記ミスに注意
志望理由を書くときは正しい文章を書くことが大切です。
漢字や用語などのミスを避けることはもちろん、読みやすくわかりやすい文章を心がけましょう。
正しい文章を書くためには、まず一文のなかに主語と述語、目的語をそろえましょう。
文章を長々と続けて書くのではなく、簡潔に伝わりやすい表現で書くことを意識してみてください。
パソコン入力ではなく手書きの場合は、丁寧な文字を書きましょう。
以下によくある表記ミスを紹介するので、志望理由書を書く際の参考にしてみてください。
誤った書き方 | 正しい書き方 | |
一人称 | 僕、自分 | 私 |
ら抜き言葉 | 見れる、決めれる | 見られる、決められる |
接続語 | なので、でも | そのため、しかし |
カタカナ | いらないモノ | いらないもの |
話し言葉 | はまる | 好む |
助産師の志望理由書の例文
助産師の志望理由の例文をご紹介します。
新卒で就職するケースや助産師から助産師に転職するケース、他業種から助産師に転職するケースなど、さまざまなケースに合わせた例文を用意しました。
新卒の例文
私は子どもと遊ぶのが好きだったため、将来は子どもたちに関わる仕事に就きたいと考えていました。
数年前、知り合いの女性が出産した際に、助産師による産後ケアを見て感銘を受け、私も助産師として母子のサポートをしたいと思い助産師資格を取得しました。
助産師の仕事は、資格があるだけで務まるような簡単なものでないことはもちろん承知しています。
就職活動をするにあたっては、総合病院やクリニック、保健所など、助産師の勤務先について調べました。
結果、丁寧で母子に寄り添った妊産婦ケアを理念とされている貴院こそ、自分の理想とする職場だと感じ、志望しました。
入社後はじっくりと経験を積み、スキルを身につけて妊産婦のサポートをしていきたいと思っています。
私は困難な分娩のときも女性を支え、健康な出産に貢献できる助産師になりたいと考えています。
きっかけは、母が私を出産したときの話を聞いたことです。
母は私を出産する際に大病を患っており、出産できるか、できたとしても生まれた子が無事に育つかがわからない状況にあったそうです。
実際に私は未熟児として生まれ、母もしばらくは予断を許さない状態でした。
しかし、当時の助産師のサポートとケアのおかげで、現在は母も私も元気に暮らしています。
この話を母から聞いたとき、現在の自分の暮らしが助産師のサポートのおかげであることに心から感謝し、私も同じような境遇の方を支えるべきだと強く思い、助産師をめざすようになりました。
助産師から助産師に転職する例文
前職では5年間大学病院の産婦人科に助産師として勤務していました。
分娩介助によって命の誕生に携わりたいと思っていましたが、大学病院では分娩を担当する機会に限りがあり、活躍の場を求めて転職を考えるようになりました。
貴院が自然分娩をメインとされていること、月の分娩件数が50件程度におよぶことに惹かれたのが、今回応募した理由です。
前職では、中期中絶や帝王切開の手術介助なども経験しました。
これまでの経験を活かしながら、ぜひ貴院に貢献したいと思っています。
他業種から助産師に転職する例文
私は昔から子どもが好きで、前職では小児科に看護師として3年勤め、自身の出産を機に退職しました。
学生時代に学び頭で理解していたことも、実際の出産では戸惑う点が多く、また産後の体調不良にも悩まされました。
そんななか、助産師の方には丁寧にサポートしていただき、とても心強かったです。
この経験から、自分も困っている産前産後の女性をサポートしたいと考え、助産師の資格を取得しました。
貴院は出産や分娩のサポートに加え、産前産後のケアや母親相談などをしっかりと提供しているところに魅力を感じ、今回応募させていただきました。
助産師としては未経験ですが、看護師として働いていたときには多くの方と積極的にコミュニケーションを図ってまいりました。
これまでの 経験を活かし、貴院に貢献していきたいと思っています。
助産師になりたい動機やきっかけは?
助産師の志望理由書の書き方や例文を見てきましたが、実際にはどのようなきっかけで助産師になりたいと思う人が多いのでしょうか。
助産師になりたいと思った動機やきっかけを見ていきましょう。
出産に立ち会える
出産に立ち会った経験が、助産師になるきっかけになる場合があります。
自身の弟や妹が誕生する際や、姉妹や親戚、友人などの出産の際に、助産師の仕事を目の当たりにすることで、助産師を志望するようになるケースです。
自身の出産をサポートをしてくれた助産師への感謝から、志望することもあります。
助産師は、命の誕生する瞬間に立ち会い、生命の神秘を感じられる仕事です。
妊産婦さんやご家族が心待ちにしていた赤ちゃんに出会い、喜ぶ姿を間近で見られるのはうれしいことです。
助産師は出産の瞬間だけではなく、産前から継続的に妊婦さんをサポートします。
長く絆を築いてきた妊婦さんが無事に出産をすると自分のようにうれしくなりますし、本人やご家族から深く感謝されることもあります。
出産という奇跡の瞬間に立ち会いたいこと、生命の誕生に関わることに大きなやりがいを感じられることが動機の人も多いでしょう。
妊婦や赤ちゃんをサポートできる
もともと赤ちゃんが好きだったり、人のサポートが好きだったりすることがきっかけになる場合もあります。
また、自分が出産したときに生まれたての赤ちゃんのかわいらしさの虜になり、助産師をめざす人もいます。
助産師は産前や産後、出産時に、直接母子をサポートする仕事です。
妊婦健診や妊婦の保健指導、分娩の介助、母子の保健指導などを行います。
妊娠と出産という人生の一大事にあたり、不安を抱える母親にとって、助産師はとても心強い存在です。
助産師は妊娠から出産まで母子に長く関わるため、無事に出産を終えて元気に退院する姿を見ると、ひと仕事終えたような安堵と大きな喜びを感じます。
また、自分が母子の助けになることに、やりがいを感じることもできます。
ただただ赤ちゃんが好きで、そのサポートに喜びとやりがいを感じたいことなども、助産師の志望動機になるといえるでしょう。
安定した職に就きたい
助産師は資格職であり、慢性的な人手不足から就職の機会も多い職種です。
また、看護師と比べても年収が高めなので、金銭的に安定した暮らしをしたい人にも選ばれます。
助産師資格を取るためには、事前に看護師資格を取得しておかなければなりません。
看護師資格と助産師資格の両方を保持することによって、幅広い選択肢のなかから働く環境を選べるのも魅力です。
志望理由書で助産師になりたい気持ちをしっかり伝えよう
産科の人手不足から助産師の需要は高くなっていますが、職場環境や条件、仕事内容についても吟味して就職先を選びたいものです。
とはいえ、人気の職場には応募する人が自然と増えるため、採用を勝ち取るためには、助産師への思いを伝える志望理由書を用意する必要があります。
具体的かつわかりやすい志望理由を考え、自分が助産師になりたい気持ちをしっかりと伝えましょう。