登録販売者試験は難易度やレベルが高く、難しいというイメージを持っている人は多いかもしれません。
実際は、出題範囲や出題傾向を押さえて、基礎知識を確実に身につければ、合格は決して難しくない試験です。
勉強時間が取れないなどの理由でなかなか受からない人のために、とっておきの効率的な勉強方法や苦しいときの対処法などを紹介していきます。
目次
登録販売者試験で受からないときの対処法
登録販売者試験の合格率は都道府県でかなりの差がありますが、合格率50%を超えている都道府県も多く、他の国家試験と比較しても難易度は高くないといえます。
【平成28年度~令和2年度の登録販売者試験実施状況】
受験者数(名) | 合格者数(名) | 合格率 | |
平成28年度 | 53,369 | 23,330 | 43.7% |
平成29年度 | 61,126 | 26,606 | 43.5% |
平成30年度 | 65,500 | 27,022 | 41.3% |
令和元年度 | 65,288 | 28,328 | 43.4% |
令和2年度 | 52,959 | 21,953 | 41.5% |
登録販売者試験は年に1回実施されるので、もし不合格になったら次の機会は1年後になります。
何回受けても受からない場合は、原因を究明してみてください。
不合格の原因は人それぞれですが、主なものを挙げると次のようになるでしょう。
- 勉強時間がなかなか取れない
- 専門用語になじめない
- ほかの人と比較してしまう
合格難易度や何回目で合格した人が多いかなどは別の記事でまとめていますので、そちらで確認してください。
以下、試験に受からないときの対処法をくわしく解説していきます。
勉強の精度と効率を上げる
年1回の試験で一発合格を目指すためには、勉強の精度と効率を上げる必要があります。
合格ラインである全体の70%(合格点84点)以上の得点を目標にして、重要項目を中心にポイントを絞って学習していくことが合格のカギです。
過去問と苦手問題対策に取り組む
効率良く合格ラインに達するための対策をまとめました。
1.最低でも3年分の過去問に取り組む
登録販売者試験は厚生労働省の「試験問題作成に関する手引き」(以下「手引き」という)から作成・出題されます。
この手引きの内容は、厚生労働省のホームページなどで確認できます。
2.苦手分野を徹底的に攻略する
登録販売者試験の出題範囲は5項目で、その内容は次のとおりです。
第1章:医薬品に共通する特性と基本的な知識
第2章:人体の働きと医薬品
第3章:主な医薬品とその作用
第4章:薬事関連法規・制度
第5章:医薬品の適正使用・安全対策
第3章が試験問題120問のうち40問(約33%)を占め、最も多く出題されるので、勉強の重点は第3章に置くことになります。
3.間違えた問題やわからないところを集約する
過去問を繰り返し解きましょう。
間違った問題やよくわからない箇所はノートに書き留めて復習できるようにするなど、わからない部分をそのまま放置しないことが大切です。
朝活で勉強時間を確保する
朝は1日のうちで脳が最もよく働く時間帯であるといわれています。
脳がスッキリしている朝の時間を有効活用して、効率よく勉強時間を確保しましょう。
朝が勉強に適した時間帯であるといわれている理由は次のとおりです。
1.思考するのに適している
脳は眠っている間に前日の記憶を整理整頓します。
目覚めたときの脳はクリアな状態です。
2.集中力がアップする
脳がクリアな状態であることに加え、身体の疲れも回復しているため、勉強に取りかかるには最適で、自分のやりたいことに集中できます。
3.学習の習慣化が可能となる
朝なら邪魔が入らず、毎日同じ時間に勉強できます。
同じリズムで勉強しているうちに、朝の学習が習慣になるでしょう。
勉強する科目の優先順位を明確にする
登録販売者試験に合格するために、まずは勉強する科目の優先順位を明確にしましょう。
ここでは各章ごとのポイントを説明します。
第1章からはじめて第3章の勉強時間を確保する
第1章では一般的な知識が求められます。
難易度が低いため、勉強のスタートには最適の科目です。
第2章には専門用語が頻出しますが、頻出ポイントを押さえれば確実に得点できます。
第3章は登録販売者試験の中心となる重要な分野です。
この分野を確実に攻略することが合格のポイントとなります。
十分な勉強時間を確保し、重要事項を効率良く整理して記憶する必要があります。
第4章は医薬品に関係する法律などについて問われるので、問題を解きながら正確な知識を身につける方法がおすすめです。
第5章は経験の浅い人にとっても比較的取り組みやすく、他の章との関連が多い分野です。
各章の仕上げとして取り組むことができるでしょう。
いったん捨て科目を作るのもあり
全分野のすべての項目をまんべんなく勉強するのではなく、メリハリをつけた勉強、時間の配分が重要となります。
このことは実際の受験者アンケートの結果からも明らかです。
また、おおむねどの地域でも第3章の漢方が難しいとの意見が多いようです。
第3章に注力して勉強を進めるためにも、ほかの章の勉強にかける時間をうまく配分しましょう。
勉強を続ける上で注意すること
登録販売者試験は、「手引き」や過去問が公開されていますので、的確な受験対策さえすれば独学でも無理なく合格できます。
独学で勉強する際に特に注意する点は次のとおりです。
- 勉強しない日を作らない
- いろいろな参考書に手を出さない
いずれも独学で陥りがちなことですが、よりくわしい説明は「独学で勉強するコツ」をまとめた記事を参考にしてください。
勉強しない日を作らない
仕事を続けていると、勉強したくない日も出てくるでしょう。
毎日勉強する代わりに、週末に「集中型学習」をすれば良いと考えたくなりますが、実はこの方法は忘れるスピードが速く、記憶が定着しにくいのです。
異なる種類の学習を一定間隔で行う「間隔型学習」をすると効果的に知識を獲得できます。
前述のように、「朝活」を活用して、短い時間でも構わないので毎日勉強する習慣をつけてください。
いろいろな参考書に手を出さない
自分にとって最適であると思えるテキストを選んだら、同じテキストを何度も繰り返すほうが「知識の穴」を作る心配もなくなります。
図表を多用し、重要事項がコンパクトにまとまり、解説が充実したテキストと問題集を1冊ずつ選びましょう。
問題集は知識を確認する簡単なものから過去問レベルまで網羅されているものがおすすめです。
登録販売者試験で受かる気がしないときの乗り越え方
毎日試験勉強を続けていると、自信をなくすこともあれば、不安になることもあります。
逆境のときこそ真価を問われることになり、そこを乗り越えないことには合格というゴールは見えてきません。
SNSを利活用してモチベーションを高める
若い世代ではSNSが急速に普及し、SNSを使いこなしている方も多いでしょう。
SNSを利活用するメリットは次のとおりです。
- 勉強した内容を記録・発信して習慣化できる
- たくさんの同志と切磋琢磨できる
- 相談相手ができ効率的な勉強方法を学べる
勉強した内容を記録・発信して習慣化できる
「勉強垢」(「垢」はアカウントを表すネットスラング)とは、SNSにおいて勉強関連のことを投稿するアカウントのことです。
勉強専用アカウントを作る人は増えており、それぞれの目的のために活用しています。
勉強専用アカウントの活用方法としては、以下のようなものが考えられるでしょう。
- 勉強の状況を記録し、成績を管理する
どの教科を何時間勉強したかを投稿して、自分の勉強の進捗管理に利用します。
勉強の習慣化に貢献するでしょう。 - モチベーションアップに使う
また、勉強記録が積み重なるのを見ると自信につながり、モチベーションアップになります。
たくさんの同志と切磋琢磨できる
同じ試験を目指している人と交流を持つことで、時間管理や勉強方法などの情報を共有したり、質問をし合ったりして切磋琢磨できます。
一人で勉強していると、どうしても孤独になりがちですが、仲間がいると思えるだけで、モチベーション維持になるでしょう。
相談相手ができたり効率的な勉強方法を学べる
リアルな友達に話せないようなことを相談したり、先輩合格者の効率的な勉強方法を学んだりできます。
悩みや不安を共有するだけでも気が楽になります。
SNSのメリットは大きいといえるでしょう。
勉強がしんどいときにやり抜く対策
勉強が思うように進まないときなどは、マイナス思考になりがちですが、スランプは誰にでもやって来ます。
どのように乗り切るかを知ることが重要です。
対策1. 合格後のキャリアプランを明確にする
自分の合格後の姿を想像するだけで、モチベーションを維持する効果があります。
試験合格後は販売従事者登録をして、指定の外部研修を受講し、一定の実務経験を経ることで、正規の登録販売者として勤務ができるようになります。
登録販売者のキャリアアップは、勤務する会社により異なりますが、一般的には店舗店長を目指すことになるでしょう。
このように登録販売者として、自分がどのような道を歩いていきたいのかを頭に描いていくと、試験合格の重要性をあらためて確認できます。
対策2. 行動計画を決めて勉強を習慣化させる
登録販売者試験の合格のために必要な勉強時間は、400時間程度と考えられます。
これは平日3時間、休日6時間勉強したとして、約3ヵ月の期間を要する計算です。
自分なりのスケジュールを組んで、400時間を確保するには何ヵ月必要か計算し、計画的に勉強を進めていくことが重要です。
テキストの大枠をつかみながら通読したら、専門用語などは頭に入らなくても構わないので、すぐ過去問に取り組むことをおすすめします。
過去問で問題傾向をつかみ、同時に重要事項をチェックしましょう。
そして、間違ったところや不明なところはノートかカードに書き出し、自分の不得意分野や苦手項目を集約します。
試験会場に持っていくのはそれだけで十分です。
登録販売者試験に一発合格し、明るい未来を切り開こう
登録販売者試験は誰でも受験でき、勉強方法を間違えなければ一発合格できる試験です。
効率的な勉強方法やなかなか受からないときのメンタル面での対処方法などをくわしく解説してきました。
登録販売者試験に合格するための勉強方法に王道はありません。
紹介した方法を参考に試行錯誤を繰り返して、自分なりの勉強方法を見つけましょう。