診療放射線技師になるには、まず国家資格を取得しなければなりません。
この記事では、診療放射線技師国家試験の内容や難易度、資格取得までのルート、資格取得後の就職難易度について解説します。
診療放射線技師の資格や仕事について具体的な数字を交えながら解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
診療放射線技師の国家資格取得の難易度は?
診療放射線技師国家試験は、合格基準を満たせば合格できます。
入試のように合格者数が決まっていないため、難易度(合格率)は試験内容に左右されます。
合格基準(第73回試験) | |
全科目受験者 | ・総得点 199点満点中120点以上 ・0点の試験科目が1科目以下 |
試験科目一部免除受験者※ | ・総得点 98点満点中59点以上 ・0点の試験科目が1科目以下 |
※診療エツクス線技師試験合格者などは一部試験科目が免除されるため、合格基準が異なります。
合格ラインはおおむね6割以上です。
ただし、各科目のなかで0点の科目が1つでもあると不合格となってしまうため、偏りなく勉強しなければなりません。
診療放射線技師国家試験の合格率の推移
ここでは診療放射線技師国家試験の合格率 と受験者数・合格者数がどのように推移しているのか確認しておきましょう。
診療放射線技師国家試験の合格率・合格者数の推移
診療放射線技師国家試験の直近5年間の合格率と合格者数は以下のように推移しています。
診療放射線技師国家試験 受験者数・合格者数・合格率(カッコ内は新卒者のみ)
回(年) | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
第69回(2017年 ) | 2,939人 (2,408人) |
2,511人 (2,311人) |
73.7% (82.8%) |
第70回(2018年) | 2,971人 (2,589人) |
2,237人 (2,196人) |
73.7% (82.8%) |
第71回(2019年) | 3,202人 (2,590人) |
2,537人 (2,315人) |
73.7% (82.8%) |
第72回(2020年) | 2,914人 (2,395人) |
2,397人 (2,207人) |
73.7% (82.8%) |
第73回(2021年) | 2,953人 (2,528人) |
2,177人 (2,092人) |
73.7% (82.8%) |
直近の合格率は70〜80%台で推移しています。
新卒者に限った合格率は80〜90%とさらに高く、しっかり対策をして臨めば合格できる可能性の高い試験といえるでしょう。
診療放射線技師国家試験には受験資格が必要
診療放射線技師国家試験は誰でも受験できるわけではなく、以下のような要件(受験資格)を満たさなければなりません。
(1)学校教育法(昭和22年法律第26号)第90条第1項の規定により大学に入学することができる者(法第20条第1号の規定により文部科学大臣の指定した学校が大学である場合において、当該大学が学校教育法第90条第2項の規定により当該大学に入学させた者又は法附則第11項の規定により学校教育法第90条第1項の規定により大学に入学することができる者とみなされる者を含む。)であって、文部科学大臣が指定した学校又は都道府県知事が指定した診療放射線技師養成所において、3年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習を終えたもの
(2)外国の診療放射線技術に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で法第3条の規定による免許に相当する免許を受けた者であって、厚生労働大臣が(1)に掲げる者と同等以上の学力及び技能を有するものと認めたもの
(3)58年改正法の施行の際(昭和59年10月1日)現に診療エツクス線技師又は診療エツクス線技師試験を受けることができた者であって、旧法第20条に規定する文部大臣が指定した学校又は厚生大臣が指定した診療放射線技師養成所において、1年以上診療放射線技師として必要な知識及び技能の修習を終えたもの(58年改正法の施行の際現に修習中の者であって、同法施行後にその修習を終えたものを含む。)
受験資格を得るには、原則として診療放射線技師養成課程のある大学や専門学校で3年以上学ぶ必要があり、独学では受験資格を得られません。
診療放射線技師養成課程のある教育機関は、大学と専門学校あわせて全国に約50校 あります。
学校ごとに特色があり、入試難易度やカリキュラム、試験に向けた取り組みや環境などは異なります。
まずは資料を請求したり、オープンキャンパスなどに参加したりして、自分にあった学校を見つけましょう。
診療放射線技師の就職難易度は?
診療放射線技師の就職率は高い傾向にあります。
しかし、診療放射線技師は一つの病院に1〜3名程度が勤務するケースが多く、医師や看護師などに比べて求人の絶対数は少なめです。
放射線医療の拡大に対し、それを担う診療放射線技師は不足状態です。
医療機器の進歩によって検査の自動化も進 んでいるものの、依然ニーズは高いといえます。
また、近年は女性技師のニーズも高まっています。
その理由は、乳がん検査のために行われるマンモグラフィー検査や乳腺MRI検査の増加です。
患者さんのほとんどは女性で、上半身裸で行う検査であるため、同性の女性技師が好まれ ます。
男性技師が女性看護師に補助してもらいながら検査することもできますが、一人で検査できる女性技師のほうがスムーズです。
診療放射線技師資格は受験資格を得るまでが大変
放射線医療は現在医学に欠かせない技術であり、診療放射線技師はそれを担う重要な役割を任されています。
専門性の高い診療放射線技師の就職率は高 く、近年は女性技師のニーズも高まっています。
国家試験の合格率は8割近く、対策をして臨めば合格できる可能性は高いでしょう。
しかし、受験資格を得るためには大学や専門学校で3年以上学ぶ必要があり、受験資格を得るまでに時間と労力がかかります。
すぐになれる仕事ではないため、チャレンジするのであれば強い意志をもって臨みましょう。