
診療放射線技師は、レントゲンやCTなどの検査と放射線治療を専門に行う仕事です。
医療関係者のなかでも医師や看護師と比べるとあまり知られていませんが、医師が適切な診療や治療を行うためには診療放射線技師の力が不可欠です。
診療放射線技師の仕事は、給与面でもやりがいの面でも、多くの魅力があります。
ここでは、診療放射線技師の魅力ややりがいを感じる場面を紹介しながら、診療放射線技師に向いている人の特徴なども紹介します。
目次
診療放射線技師として働く魅力とは
診療放射線技師は、魅力が多い職業です。
景気に左右されない安定している仕事であることはもちろん、患者さんとのふれあいのなかでやりがいを感じることも多いでしょう。
どのような景気でも給料が安定しやすい
診療放射線技師が扱うレントゲンやCTそれにマンモグラフィなどの検査は、けがや病気の診療で使用されます。
また、放射線治療は昨今の癌の治療には欠かせません。
景気によって求人の数や給与が左右される仕事が多いですが、診療放射線技師はこれに該当しません。
経済状況に関係なく必要とされる職業なので、求人の数や給与の推移も安定しています。
診療放射線技師は、看護師ほど仕事が見つかりやすいわけではないと言われることもありますが、2016年度の大卒診療放射線技師の就職率は97.3%から100%と非常に高い水準です。
また、2018年の診療放射線技師の求人倍率は3.16倍なので、就職しやすいといえるでしょう。
これから診療放射線技師をめざす方にとって、資格取得後に安定したキャリアを構築できるのは大きな魅力なのではないでしょうか。
診療放射線技師の年収平均はおよそ550万円です。
日本全体の平均年収である461万円や同じ医療職の看護師の約498万円と比べても高い水準で、管理職になればさらに年収はあがります。
患者さんとの距離が近い
患者さんのなかには、検査や治療に不安を感じている人もいます。
患者さんと直接会話したり検査や治療をしている際に彼らの不安を解消できれば、感謝を伝えられることも多いでしょう。
「役に立った」「力になれた」と実感できることは、日々の活力になります。
患者さんとの距離が近く、常に寄り添う立場にいられることも、診療放射線技師の仕事の魅力です。
スキルアップが目指せる職業
診療放射線技師の仕事には検査と放射線治療があり、レントゲンやCT、それにMRIやマンモグラフィなどと、検査範囲も多岐に渡っています。
そのため、それぞれの検査や治療の分野に特化した認定資格が多数あります。
- 検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師
- 血管撮影・インターベンション専門診療放射線技師
- 肺がんCT検診認定技師
- 胃がん検診専門技師
- 核医学専門技師
- 第1種放射線取扱主任者
- 放射線治療専門放射線技師
これらの認定資格を取ることで、その分野の知識と技術が確かなものであると証明でき、診療放射線技師の免許にプラスして、さらなる強みが生まれます。
より条件の良い職場への転職もしやすくなりますし、病院によっては資格を取得することで手当がつくこともあります。
また、認定資格所有者だけを対象にしている求人もあるため、診療放射線技師は認定資格の取得をめざす人がとても多いです。
資格取得というわかりやすい方法でキャリアアップする道があることも、診療放射線技師の仕事の魅力です。
診療放射線技師の資格の種類やそれぞれの難易度については、こちらの記事で詳しくご確認いただけます。
診療放射線技師がやりがいを感じる場面
診療放射線技師は、医療を支える仕事なだけに、やりがいを感じる機会も多いです。先輩の診療放射線技師がやりがいを感じた場面をいくつか紹介します。
チーム医療の一員として成長を感じたとき
レントゲンやCTなどの検査は、機械を正しく操作したら誰でも同じクオリティの画像が取れるような単純なものではありません。
骨折や病巣をわかりやすく映し出せるかどうかは、それぞれの診療放射線技師の技術力にかかっています。
診療放射線技師として場数を踏むほど、より質の高い画像を撮影できるようになってくるでしょう。
質の良い画像をとることで医師から評価されることもありますし、なにより撮影した画像を見て自分の成長を自分で実感できます。
体調が悪かったり怪我で自立が難しかったりする患者さんの場合、検査の体勢に工夫が必要ですし、検査のたびによくとれるよう角度や撮影方法について試行錯誤することになります。
患者さんの抱える問題をしっかり写し出すことができれば、効果的な治療につながります。
医療チームの一員として患者さんの治療に貢献できることも、診療放射線技師の大きなやりがいの一つです。
患者さんから「ありがとう」の言葉をもらったとき
診療放射線技師は、多くの場合夜勤もある大変な仕事です。
また、放射線を取り扱うため、安全管理にも気を配らないといけません。
さらに、資格取得後も、検査の機器を使いこなすために新しい機器や技術についての勉強が日々必要になります。
ただ、患者さんからの「ありがとう」の言葉で、そんな仕事の大変さやプレッシャーも乗り越えられると語る診療放射線技師が、非常に多くいることも事実です。
自分の仕事が目の前の患者さんの助けになることは、やりがいにつながり、使命感や充実感も得られるでしょう。
診療放射線技師に向いている人の特徴とは
診療放射線技師の資格を取得するには何年もかかり、試験も決して簡単ではありません。
そのような苦労や時間を費やして診療放射線技師になったのは良いものの、自分には合わなかったとなると困ってしまうでしょう。
診療放射線技師に向いているのはどのような人なのか、確認しておいてください。
幅広い範囲の知識を貪欲に吸収できる
診療放射線技師は専門性の高い職業で、求められる知識は広範囲にわたります。
放射線や医学に関する知識はもちろん、扱う機器を理解するためにコンピューターや電子工学の知識も必要です。
キャリアを積んで技術力を高めていきながら、常に新しい情報や機器を学び適応することを求められます。
そのため、狭い範囲で知識を深めたい方より、さまざまな分野に興味を持ち、自分から新しいことをどんどん吸収できる人に適性があるといえるでしょう。
仕事をしていくうえでいろいろな知識に触れることができ、知的好奇心が満たされます。
人当たりが良い
診療放射線技師は技術職のイメージが強いですが、実際は検査や治療で直接患者さんと接する機会が多い仕事です。
しかも、患者さんの体調やコンディションはさまざまで、レントゲン自体を怖がる小さな子供もいます。
検査も治療も、患者さんの協力なしではうまくいきません。
そのため診療放射線技師は、患者さんに安心してもらえるような接し方を心がける必要があります。
どれだけ技術が高くても、機械に向かってただもくもくと作業をするだけでは、患者さんの不安な気持ちに寄り添うことはできません。
患者さんと何気ない会話を交わしたり、笑顔で接したりといった人当たりの良さも求められます。
また、基本的に医師の指示にしたがって仕事を行いますが、ときには画像を見ながら診療放射線技師から追加の検査を提案することもあります。
良い仕事をするためにはコミュニケーション能力も大切なことの一つです。
診療放射線技師の仕事内容については、こちらの記事で確認していただけます。
魅力ある診療放射線技師をめざしてみよう
診療放射線技師の国家試験の合格率は、90%を超える看護師の合格率と比べるとやや低く75%~85%程度になります。
ただ、その分年収が高く、さらに社会情勢に関わらず必要とされる安定した魅力のある仕事です。
医療チームの一角を担うため責任は大きい面がある一方、患者さんとのふれあいのなかでやりがいを感じることも多いでしょう。
求められる知識は多いですが、学ぶ意欲や新しいことに興味を持てる人には向いている仕事といえます。
魅力や適性を確認して自分に向いていると思うなら、ぜひそのまま診療放射線技師をめざしていってください。