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管理薬剤師の勤務時間は?地域支援体制加算など薬剤師の労働時間要件も解説

この記事の監修者
桜会ふみ子
【資格】
薬剤師

【プロフィール】
薬局を営む家庭に育ち1990年薬剤師資格取得。以降、医薬品メーカーで市販薬の製造・品質管理にたずさわる。2020年から薬剤師ライターに転身。福山大学出身。

管理薬剤師をはじめとする薬剤師の勤務時間は、必要な内容によって多くの条件があり、多くの方が迷うことがあるのではないでしょうか。
管理薬剤師の勤務時間には、法律による明確な規定がない一方で、望ましいとされる基準や特定の加算を得るための要件が複数あります。

本記事では、管理薬剤師の勤務時間についての基本的な情報や、地域支援体制加算の要件について詳しく解説していきます。

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管理薬剤師に勤務時間の決まりはある?

管理薬剤師に勤務時間の決まりはある?

管理薬剤師の勤務時間には、法律による明確な規定が存在しません。
法律に明確に記載されているのは

  • 管理薬剤師が他の調剤薬局で働いてはいけない
  • 実地に調剤薬局を管理する

という2点のみです。

しかし、管理薬剤師は調剤薬局の管理運営に関する重要な責任を担う立場として、一定の勤務時間が求められます。

管理薬剤師の望ましい勤務時間には、一般的な労働基準が適用されます。
これは、管理薬剤師は調剤薬局の現場にて直接運営管理をする必要があるからです。

また、調剤薬局のあるべき姿として、午前8時から午後7時までの時間帯に、8時間以上連続して開局していることが求められています。
管理薬剤師が開局時間を管理すると考えれば、必然的に8時間勤務となるわけです。

このように、法律による明確な規定はないものの、調剤薬局の管理運営を実地にて行うための基準として、労働基準法の上限とされる1日8時間、週40時間が望ましいとされているのです。

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管理薬剤師の勤務時間が週32時間以上必要な場合

管理薬剤師の勤務時間について、週32時間以上と明確に求められる場合があります。
これは、調剤薬局が特定の加算を受けたい場合や、管理薬剤師を常勤薬剤師として算定したい場合です。
ここでは、週32時間以上の勤務が必要となるケースについて、詳しく解説していきます。

地域支援体制加算を受けたい場合

地域支援体制加算は、地域医療に貢献する調剤薬局に対して設けられた評価制度です。
この加算を受けるためにはかかりつけ薬剤師が必要で、勤務時間に関する特定の要件を満たす必要があります。
以下では、地域支援体制加算の概要と、求められる具体的な要件を詳しく紹介します。

地域支援体制加算とは

地域支援体制加算は、地域医療に貢献する調剤薬局に対する適切な評価を目的に設けられた制度です。
2018年の調剤報酬改定で新たに導入され、地域医療に貢献する体制を有し、実績がある調剤薬局に対して調剤報酬基本料が加算されます。

2024年の調剤報酬改定では、在宅薬学総合体制加算が新設されるなど、かかりつけ薬剤師導入の促進をめざす方向性が強化されました。
こうした変更は、調剤薬局が地域医療により深く関わることを推進するものといえるでしょう。

地域支援体制加算における管理薬剤師の要件

地域支援体制加算を受けるためには「かかりつけ薬剤師及び連携する他の薬剤師」など、十分な経験をもつ薬剤師が患者さんから同意を受けることが必要です。十分な経験があるとは、以下の勤務要件を満たしている場合を指します。

[施設基準]
「かかりつけ薬剤師と連携する他の薬剤師」は以下の要件を全て満たす保険薬剤師であること。
(1) 保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験があること。なお、保険医療機関の薬剤師としての勤務経験を1年以上有する場合、1年を上限として保険薬剤師としての勤務経験の期間に含めることができる。
(2) 当該保険薬局に継続して1年以上在籍していること。
(3) 当該保険薬局に週32時間以上(32時間以上勤務する他の保険薬剤師を届け出た保険薬局において、保険薬剤師について育児・介護休業法第23条第1項若しくは第3項又は第24条の規定による措置が講じられ、当該労働者の所定労働時間が短縮された場合にあっては週24時間以上かつ週4日以上である場合を含む。)勤務していること。
(4) 薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定制度等の研修認定を取得していること。
(5) 医療に係る地域活動の取組に参画していること。

引用:令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】

これらの要件は、かかりつけ薬剤師の要件ですが、加算を受けるためには、当然管理薬剤師も満たすべき要件であるといえます。

常勤薬剤師として算定したい場合

調剤薬局において、薬剤師を常勤薬剤師として算定したい場合にも、勤務時間の要件があります。
常勤薬剤師の定義や勤務時間の要件は、管理薬剤師の勤務形態を考えるうえでも重要な点です。
ここでは、常勤薬剤師の定義と、その勤務時間要件について詳しく解説します。

常勤薬剤師とは

常勤薬剤師は、調剤薬局の運営において重要な役割を果たす存在です。

常勤薬剤師とは、調剤薬局で定められた勤務時間のすべてを勤務する者を指します。
法律上、すべての調剤薬局に常勤薬剤師を置くことが義務付けられています。
また、調剤薬局の開局中または開店中は、少なくとも1名の薬剤師を常時配置して医薬品を販売しなければなりません。
これは、患者さんの安全と適切な医薬品の提供を確保するための規定といえるでしょう。

ただし管理薬剤師は常に常勤薬剤師であるものの、常勤薬剤師が必ずしも管理薬剤師とは限りません。

常勤薬剤師の勤務時間要件

常勤薬剤師の勤務時間要件は、薬事法の審査基準で以下のように定められています。

調剤薬局で定める勤務時間が週32時間未満の場合、1週間32時間以上勤務している者を常勤とみなします。
また、調剤薬局は基本的に1日平均40枚の院外処方箋に対して一人以上の薬剤師を配置する必要があります。

非常勤薬剤師の場合は、その勤務時間を、1週間の調剤薬局で定める勤務時間で割った数として換算します。
このとき、1週間の調剤薬局で定める勤務時間が32時間未満と定められている場合、換算する分母は32時間となります。

ただし、現在、処方箋枚数に基づく人員配置に関しては、業務プロセスやアウトカムによる評価への変更や、より柔軟な基準への見直しが求められています。
調剤薬局経営者は、規制や基準の動向も追いつつ、これらの要件を踏まえて適切な人員配置を行う必要があります。

管理薬剤師の勤務時間は原則8時間×5日が望ましい

管理薬剤師の勤務時間に関して、法律上明確な規定はありませんが、原則として週40時間(8時間×5日)が望ましいとされています。
これは、労働基準法の規定に基づいており、調剤薬局を実地で適切に管理運営するための基準です。

一方で、かかりつけ薬剤師として地域支援体制加算を受けたい場合や、常勤薬剤師として算定したい場合には、週32時間以上の勤務が必要となります。
地域支援体制加算では、管理薬剤師の経験や在籍期間なども考慮されます。

調剤薬局経営者や管理薬剤師は、これらの要件を理解し、必要な勤務体制を整備することが求められるでしょう。

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