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医療従事者の働き方を見つけるインタビューVol.5|ケアマネジャーとして働く方のホンネ【前編】

お話を伺った人
コタローさん

コタローさん

現在ケアマネジャー。介護業界で働きはじめて20年目となる。介護福祉士/社会福祉士/介護支援専門員を取得し、訪問介護で10年、在宅ケアマネジャー6年、施設で2年間の経験をしており、幅広い分野に携わった経験を持つ。介護の現場で培った経験を活かし、介護職の働き方や、在宅・施設介護における家族介護者へのお役立ち情報についてのブログ執筆を行っている。

介護のコタローブログ / Twitter

医療・介護業界で働いたことがある人に仕事のホンネを伺うインタビュー企画。第3回目の今回は、現役でケアマネジャーとして働くコタローさんにお話を伺いました。介護業界で20年近い経験を持つコタローさんに、ケアマネジャーをめざしたキッカケ・介護に携わるうえで大切にしている「介護観」について聞いてみました。

介護業界に進んだキッカケは?

――今日はよろしくお願いします。まずはコタローさんがなぜ介護業界に進んだかを教えてください。

漠然とした「人を助けたい」という思いが高校生の頃からありました。自分は、工業高校の電気科に通っていました。進路を考える頃になって、工業系の大学に進学したり、就職する友人が多かったのですが、純粋に「自分はなにをやりたいのか?」と考えたとき、やっぱり「人を助ける仕事」をしたいなという結論になり、福祉系の大学への進学を決めました。

――「人を助ける仕事をしたい」という思いはどこから生まれてきたのでしょうか?

学校の帰り道、道に困っているご老人がいたんです。「ここはどこ?お家に帰れなくて困っているの。」と声をかけられたんです。特に急いでるわけではなかったので、ご老人のわかる場所まで案内してあげました。別れ際、今までに経験したことがないほど感謝してもらえたんです。その言葉が、当時の自分にとってはとてもうれしくて。
自分は何気ない善意でしたつもりだったけど、助けを求めている人・困っている人からしたら、救世主のようにみえていたのかもしれない。日常にある些細な出来事かもしれないけど、自分はこのような経験から人助けに興味を持つようになりました。それ以降、自分にできる「人助け」はすすんで行おうと心に誓いました。特に、その方がご高齢の方だったこともあり、介護業界に興味を持ったキッカケとしてあるかもしれません。

――介護業界で働きはじめてからのやりがいも、やはり「感謝」にあるのでしょうか?

そうですね。介護って利用者さんの人生に密着している部分が多く、生活の大部分に関わります。その分きちんと接し、生活を支えてあげることで、利用者さんから感謝されることも増えていきます。その言葉が自分にとってのやりがいになっていますね。
いまはケアマネジャーをしているのですが、自分は過去に、訪問介護員を10年間経験していました。そうすると、利用者さんの家の中のことが結構みえてくるんです。「利用者さんの歩んできた人生」や、「昔好きだった趣味」「ご家族との関係性」とか……。その方のパーソナルな情報も知ったうえで、最大限の配慮をしながら介護をするケースが多いです。

――そういった配慮をしながら介護をしていくんですね。

利用者さんに対して配慮する姿勢ってとても大切だと思うし、利用者さんへの配慮は必ず伝わります。良い関係性を築く一歩になると思いますし、利用者さんへの「リスペクト」を忘れずに取り組むことで、お互いに理解しあえて、より良い介護を行えるんじゃないかなって。

ケアマネジャーになったキッカケは?

――コタローさんは現在ケアマネジャーとして働いていますが、ケアマネジャーになった経緯を教えていただきたいです。

ケアマネジャーをめざすキッカケとなったのは「介護現場とは違った仕事内容も経験してみたいな」という思いです。現場での経験もある程度積めて、介護業界のことをもっと俯瞰的に知りたいという思いが芽生え、ケアマネジャーをめざしてみようと考えるようになりました。相談業務をメインにすることで、よりたくさんの方と関わることができるのではないかと考えたのも影響していますね。

――たしかにケアマネジャーは携わる業務の幅が広いですよね。

そうですね。要介護の方に向けた「最適な事業所・サービスの紹介」「利用者さんの単位数を計算し、枠内に収まるように調整」「利用者さんの状態を詳しく把握するために、病院の先生や看護・リハビリ職の方との会話」など、本当にたくさんの業務がありますね!

介護に携わるうえで大切にしている介護観について

――利用者さんに対して配慮することの大切さについてお話いただきましたが、介護に携わるうえで、大切にしている考え方はありますか?

とにかく「利用者さんの心」に寄り添うことが大切だと考えています。自分は、介護業界に身を置いて長いので、施設・訪問・ケアマネジャーなど、さまざまな働き方をしてきましたが、利用者さんの心に寄り添うことがもっとも大切だと感じています。家族という表現はいい過ぎかもしれないけど、訪問介護員をしていると、利用者さんについていろいろなことを知る機会が多いんです。

――利用者さんと接する回数を重ねるごとに関係性は深まっていきますもんね。

そうですね。利用者さんの心に寄り添うことで、自分に対して気軽に質問をくれるようになりますし、話しづらいことも打ち明けてもらえると気付いたんです。金銭面の相談や、家族関係のしがらみなども打ち明けてくれるようになりました。
利用者さんが求めるより良い介護をするためには、利用者さんのことも深く知らないといけないです。寄り添い、お話にうなずき、能動的に理解しようとする姿勢が大切なんです。いつも「なんでも受け止めてあげるからね」という気持ちです。

――ケアマネジャーとしての「実際に経験したエピソード」はありますか?

自宅の片付けを一切していない男性の相談にのったときですね。その利用者さんはまったく部屋の片付けをしていなくて。いわゆるテレビ番組などで登場する、ゴミ屋敷のような家でした。しかし大切なのは、掃除を促すことではなく、まず話を聞くことなんです。そうするとだんだん理由がわかってきました。

――どんな理由だったんですか?

その利用者さんは「家事のやり方」を知らなかったんです。奥さまと二人暮らしをしていたのですが、数年前に奥さまが亡くなってしまってからは一人で住んでいました。奥さまが亡くなる前まで、ご自身では、一度も家事をしたことがなかったようです。今の若い男性たちはなかなか理解できないと思いますが、本当なんです。部屋の掃除、風呂洗い、あと、ご飯を作ったり……。こういったことを一度 も経験していないというご高齢の方は意外と多いんですよね。

――その利用者さんにはどういった対応をされたのでしょうか?

自立支援を目的として、訪問介護の援助を導入しました。ここで、代わりに片付けをするのではなく、利用者さん自らが動いてもらえるような声かけ・きっかけ づくりを行いました。「ヘルパーさんがきたら◯◯をする」のような、利用者さんとの小さな約束を交わしたんです。
もともと掃除をやったことがない方に「掃除やってみましょう!」と声かけをしたり、料理を作ったことがない方に「いっしょにお料理作りましょう!」って言うのは、難しいお願いだし、こちら側のエゴになってしまいかねません。

――どんな声かけをしたのか気になります。

まずは「小さな目標」を立てました。「買ってきたものを電子レンジで温める」「朝起きたらポストを確認する」など、小さな行動を少しずつ達成することを目標にします。そうすると、利用者さん自身も少しずつ「もしかしたら自分にも家事ができるかも」と、自己肯定感を感じてもらうことができるんです。このような流れで、行動のきっかけとなるスイッチを押してあげるイメージで促していきます。

――小さな目標から達成していく……。これは本当に大切なことですよね。私自身も、目標は小刻みに設定するように心がけています。

介護業界でのさまざまな経験を「ケアマネジャー」として活かしていた

若くして介護業界に興味を持ったコタローさん。高校生の頃にした「人助け」をキッカケに、困っている人に手を差し伸べることの素晴らしさを知ったようです。施設・訪問・ケアマネジャーなど、介護業界でさまざまな経験を積んだ結果、現在はケアマネジャーとして介護保険に関するスペシャリストとして「全体の調整役」として活躍されています。

前編では、介護業界(ケアマネジャー)をめざしたキッカケや大切にしている「介護観」について伺いました。

【後編】では、「お給料事情」「介護業界のキャリアパス」「介護業界を目指す方へのメッセージ」を、コタローさんにお話いただきます。

執筆者について

情報かる・けるは、医療・介護従事者として働いている方や、これから目指す方の「知りたい」に応えるメディア。 全国54,000件以上の求人を扱う弊社スタッフが、編集部として情報発信! “いい仕事が見つかる・いい仕事を見つける”ための、有益なコンテンツをお届けします。 https://twitter.com/karu_keru

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