
介護福祉士は、高齢者や障がい者の生活をサポートする、重要な役割を担う専門職です。
しかし、その資格の必要性についてはさまざまな意見があります。
本記事では、介護福祉士になることのメリットや資格取得のメリット、さらには「資格は必要ない」といわれる理由について詳しく解説します。
介護の仕事に興味がある方や、キャリアアップを考えている方にとって、有益な情報となるでしょう。
介護福祉士の実態と、その資格が持つ真の価値について、考えていきましょう。
目次
介護福祉士になるメリット
介護福祉士になることで得られるメリットは多様です。
この仕事には、他の職業では味わえない独特の魅力があります。
人々の生活を支え、直接的に社会に貢献できる喜びは、介護の仕事ならではといえるでしょう。
ここでは、介護福祉士という職業そのものが持つ魅力について、具体的に見ていきます。
人から感謝される
介護職は、人々の生活に直接的な影響を与える重要な仕事です。
そのため、介護福祉士は日々の業務を通じて、多くの人から感謝される機会に恵まれます。
利用者さんやそのご家族から、直接「ありがとう」と言葉をかけられることは珍しくありません。
感謝の言葉は介護福祉士のモチベーションを高め、仕事への誇りを強く感じさせてくれます。
自分の行動が誰かを笑顔にできるという実感は、何物にも代えがたい喜びです。
介護福祉士ならではのこの魅力は、日々の仕事に大きな意義を与えてくれるでしょう。
人の変化や成長を感じられる
介護福祉士という仕事の醍醐味の一つは、利用者さんの変化や成長を間近で見ることができる点です。
継続的なケアやリハビリテーションの成果が、目に見える形で現れる瞬間は格別です。
身体機能の回復だけでなく、メンタル面での変化も顕著に感じられることがあります。
例えば、以前は無表情だった利用者さんが、適切なケアにより笑顔を取り戻すこともあるでしょう。
また、高齢者であっても、適切な支援と本人の努力により、ADL(日常生活動作)が改善することもあります。
このような変化や成長を目の当たりにできるのは、介護福祉士の大きな魅力です。
人生の晩年を支える立場として、利用者さんの人生に寄り添い、その変化を見守れることは、介護福祉士ならではの貴重な経験なのです。
介護福祉士の資格を取得するメリット
介護福祉士の資格を取得することで、単に介護の仕事ができるようになるだけではありません。
この資格は、キャリアアップや待遇改善の可能性を広げてくれます。
また、より専門的な知識と技術を身につけることで、質の高いケアを提供できるようになります。
ここでは、介護福祉士の資格を取得することで得られる具体的なメリットについて詳しく見ていきましょう。
資格手当が得られる
介護福祉士の資格を取得すると、多くの職場で資格手当が支給されます。
公益財団法人社会福祉振興・試験センターの調査によると、介護福祉士の資格手当の相場は月平均9,055円となっています。
一見すると少額に感じるかもしれませんが、毎月の収入にプラスされる金額としては決して小さくありません。
年間で考えると10万円以上の収入増加につながり、モチベーションアップにもつながるでしょう。
また、資格を持っているだけで収入が増えるのは、他の職種にはない介護職ならではのメリットといえます。
長期的に見れば、キャリアアップとともに手当も増加する可能性があり、将来的な収入増加も期待できます。
より専門性の高い仕事ができる
介護福祉士の資格を取得することで、より専門性の高い業務に携われるようになります。
この資格の取得には、実務経験3年程度の深い経験や知識が求められるため、資格保有者は一定レベルの技術と知識を持っていると認識されます。
そのため、資格取得後は、チームのリーダーや主任といった責任ある立場に就く可能性が高まるのです。
より高度な介護技術を要する利用者さんのケアを任されたり、新人スタッフの指導役を担ったりすることも増えるでしょう。
さらに、介護福祉士の資格を足がかりに、認定介護福祉士やケアマネジャーなどの上位資格取得をめざすこともできます。
これにより、さらなるキャリアアップの道が開け、より幅広い分野で活躍することも可能になります。
専門性の向上は、自身の成長だけでなく、提供するケアの質の向上にもつながり、利用者さんにとっても大きなメリットとなるのです。
転職で有利になる
介護福祉士の資格は、介護分野における国家資格として高く評価されています。
そのため、この資格を持っていると転職市場で有利な立場に立つことができます。
介護業界は慢性的な人手不足に悩まされており、特に経験豊富な人材の需要が高いのが現状です。
介護福祉士の資格を持っていれば、即戦力として期待され、採用される可能性が格段に高まります。
また、資格を活かしてより好待遇の職場を探すこともできるでしょう。
転職時に交渉力が上がり、より良い条件での就職が期待できます。
さらに、介護福祉士の資格は全国で通用するため、地域を問わず幅広い求人に応募することが可能です。
ライフスタイルの変化に合わせて働く場所を選べるのも、メリットの一つといえるでしょう。
介護福祉士の資格が必要ないといわれる理由
介護福祉士の資格には多くのメリットがありますが、一方で「必要ない」という声が聞かれるのも事実です。
この見方には、介護業界の現状や資格取得のプロセスに関する誤解が含まれていることも考えられます。
ここでは、介護福祉士の資格が必要ないと言われる主な理由を詳しく解説します。
これらの理由を理解することで、資格の真の価値や意義について、より深い洞察を得ることができるでしょう。
資格がなくても介護の仕事はできるから
資格がなくても介護職には就くことができるため、介護福祉士の資格は不要だと考える人もいます。
実際、無資格者でも応募できる介護施設や事業所の求人も多く見られます。
有資格者の監督の下で働くことで、無資格でも基本的な身体介護などは行うことが可能です。
このような状況から、わざわざ時間と費用をかけて、介護福祉士の資格を取得する必要はないと感じる人もいるでしょう。
しかし、資格の有無によって担当できる業務の範囲や責任の度合いが異なることも事実です。
無資格でもある程度の仕事ができるからといって、資格が不要というわけではありません。
資格取得に費用がかかるから
介護福祉士の資格取得には、一定の費用がかかります。
この費用負担が、資格取得を躊躇する理由の一つとなっています。
介護福祉士をめざす場合、3年以上の実務経験を積んだうえで、実習者研修などを受講することが必要です。
この研修は専門機関で受講する必要があり、他の介護資格を持っていない場合は10万円以上の費用がかかることもあります。
さらに、国家試験の受験費用として18,380円が必要です。
また、試験合格後に介護福祉士として登録しようとすると、登録料としてさらに1万2,320円かかります。
これらの費用を合計すると、資格取得までにかなりの金額を投資する必要があることになります。
このような費用面でのハードルが、「資格を取得するまでもない」という考えにつながっている面があります。
しかし、長期的な視点で見れば、資格取得による収入増や、キャリアアップの可能性を考慮する必要があるでしょう。
取得が簡単だと思われているから
介護福祉士の資格が比較的取得しやすいと思われていることも、「必要ない」といわれる理由の一つです。
2024年の介護福祉士国家試験の合格率は82.8%と、高い数字を示しています。
これは同じ介護職資格である介護支援専門員(ケアマネジャー)の2023年の合格率21%と比較すると、かなり高い数値です。
このような高い合格率から、「誰でも取れる資格」という印象を持たれ、その価値が過小評価されている面があります。
しかし、合格率の高さは必ずしも資格の価値を下げるものではありません。
むしろ、介護福祉士として必要な知識と技術を持つ人材を適切に育成し、業界全体のケアの質を向上させる役割を果たしているといえるでしょう。
責任のある仕事を任せられるから
介護福祉士の資格を取得すると、リーダーや主任として重要なポジションを任されるケースが増えます。
これは一見すると良いことに思えますが、職場によっては資格手当や役職手当が十分に支給されないこともあるでしょう。
その結果、業務量や責任が増えるのに対して、収入が見合わないという声も聞かれます。
このような状況から、「資格を取得しても業務量が増えるだけで、意味がない」と考える人もいるのです。
たしかに、責任ある立場に就くことで、ストレスや負担が増える可能性はあります。
しかし、これは同時にキャリアアップの機会でもあり、長期的には更なる成長や昇進につながる可能性も高いのです。
介護福祉士のメリットを活かして働こう
介護福祉士の資格には、たしかにさまざまなメリットがあります。
人から感謝される喜びや、利用者さんの成長を間近で見られる満足感は、この仕事ならではの魅力です。
また、資格取得により専門性が高まり、キャリアアップや転職の際に有利になることも大きな利点です。
一方で、資格取得の費用や責任の増加など、デメリットととらえられる面もあります。
しかし、これらは長期的な視点で見れば、自身の成長や収入増加につながる投資ともいえるでしょう。
介護福祉士の資格は、単なる肩書きではなく、より質の高いケアを提供するための重要なツールなのです。
資格取得をめざす方は、これらのメリットとデメリットを十分に理解したうえで、自身のキャリアプランに照らし合わせて判断することが大切です。