介護福祉士の給与は、令和4年2月から9月までの期間限定で9,000円の引き上げ措置が行われました。
この引き上げは令和4年度介護報酬改定により、同年10月以降も継続されています。
この記事では、介護福祉士の賃上げや今後の給料の推移などについて、詳しく解説しています。
目次
【2022年10月】介護福祉士の給料が9,000円アップ
令和4年度介護報酬改定による介護士の給与引き上げの背景や、その概要を見ていきましょう。
賃上げの背景は介護士の人材不足
令和4年度介護報酬改定により、介護福祉士や障害福祉職員などの月額給与が、平均9,000円(常勤換算)引き上げられました。
これは前述のとおり、令和4年2月から9月までの期間行われていた同額の賃上げを引き継いだものです。
介護士や保育士は慢性的な人材不足と言われており、その原因や背景には賃金水準の低さが関係しています。
今回の賃上げはコロナによるエッセンシャルワーカーの重要性を鑑み、人材確保や定着を図ることが目的です。
賃上げは一定条件を満たす事業所のみ
介護福祉士の賃上げが実施されるのは、以下に挙げる介護職員処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのうち、いずれかに該当する事業所に勤務する介護職員です。
- 加算Ⅰ:キャリアパス要件のうち①+②+③を満たし、かつ職場環境等要件を満たす
- 加算Ⅱ:キャリアパス要件のうち①+②を満たし、かつ職場環境等要件を満たす
- 加算Ⅲ:キャリアパス要件のうち①or②を満たし、かつ職場環境等要件を満たす
また、キャリアパス要件とは以下のとおりです。
キャリアパス要件 | 解説 |
要件① | 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備をすること |
要件② | 資質向上のための計画を策定して、研修の実施または研修の機会を設けること |
要件③ | 経験もしくは資格等に応じて昇給する仕組みまたは一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること |
また、職場環境要件を満たすためには、介護ロボットの導入など介護職員の身体的負担の緩和や、子育てと仕事の両立を希望する職員のための休業制度、事業所内託児所の設備といった両立支援などを実地をする必要があります。
必ずしも9,000円上がるわけではない
今回の賃上げは、介護職員改善加算Ⅰ~Ⅲに該当していれば必ず9,000円賃上げされるわけではありません。
交付される金額は標準的な配置基準に基づいて計算されるため、基準よりも多い介護人員がいる事業所の場合は、一人あたりの配分金額が少なくなります。
また、事業所の判断で介護職員以外の栄養士や事務員など他の職種に分配することも可能なので、さらに配分が少なくなるケースもあるでしょう。
具体的には、処遇改善加算Ⅰ~Ⅲのいずれかを取得し、補助金の3分の2を介護職員等の給与アップに用いている事業所には、今回の賃上げと同等の加算の算定を認めるとしています。
介護福祉士の年収の今後は?
介護福祉士の年収は、今後も上がっていく可能性が高いといえるでしょう。
ここでは、介護福祉士の賃上げの予測を解説します。
介護福祉士の平均給料は年々増加している
介護福祉士の平均給料は年々増加しています。
下表は、2017年~2021年の介護福祉士の給料推移です。
年 | 平均給与額 |
2017年 | 302,550円 |
2018年 | 304,630円 |
2019年 | 313,920円 |
2020年 | 322,680円 |
2021年 | 328,720円 |
上記のとおり平均給与額は年々上昇しているので、今後も上がっていくことが期待できます。
また、介護職員は介護職に関わるその他の職種よりも、給料の上がり幅が大きいです。
下記は、2019年と2021年の給料を介護職に関わる職種で比較した表です。
職種 | 2019年給料 | 2021年給料 | 差額 |
介護職員 | 300,970円 | 316,610円 | +15,640円 |
看護職員 | 372,070円 | 369,210円 | -2,860円 |
生活相談員・支援相談員 | 321,080円 | 338,370円 | +17,290円 |
理学療法士、作業療法士、 言語聴覚士または機能訓練指導員 |
344,110円 | 350,080円 | +5,970円 |
介護支援専門員 | 350,320円 | 353,560円 | +3,240円 |
事務職員 | 307,170円 | 301,940円 | -5,230円 |
調理員 | 254,450円 | 259,270円 | +4,820円 |
管理栄養士・栄養士 | 309,280円 | 311,190円 | +1,910円 |
上記のとおり、上がり幅が1番多いのは生活相談員や支援相談員ですが、介護職員も15,000円以上賃上げしています。
介護職員不足による待遇面改善に期待
厚生労働省の「介護人材確保に向けた取り組み」によると、介護職員は2023年には約22万人もの人員が必要になる見込みです。
人材不足が切迫していることもあり、待遇改善が急ピッチに進められる可能性もあるでしょう。
介護職員の給料が年々増加していることに加え、人材確保も急務なことから、今後も給料アップが期待できます。
介護福祉士は今後の給料も上がる可能性が高い
今回は、介護福祉士の給料アップについて解説しました。
介護士の給与は、令和4年2月から9月の期間限定で9,000円の引き上げがされたあと、同年10月以降も同額の引き上げが継続されています。
今後の給料に関しても、近年の給料推移や人員不足の観点から、上がっていく可能性が高いです。
介護福祉士は、賃上げが期待できる将来性の高い仕事といえるでしょう。