
臨床工学技士に興味がある人のなかには「臨床工学技士にはどのような免許が必要?」「臨床工学技士の免許はどうやって取るの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
この記事では、臨床工学技士をめざしている方に向けて、免許の情報と申請および取得方法を解説します。
また、すでに臨床工学技士として働いている人に必要な再発行についても説明するので、ぜひ参考にしてください。
目次
臨床工学技士の免許について
臨床工学技士は、血液浄化装置や人工心肺装置、人工呼吸器などの生命維持管理装置の操作や保守点検を行う者を指し、免許は厚生労働大臣によって発行されます。
免許を取得するには、臨床工学技士養成学校で厚生労働大臣が指定する科目を修得し、国家試験に合格することが必須です。
免許を取得したあとに破損や紛失をした場合は、再発行を申請できます。
臨床工学技士の免許取得方法
前述したように、臨床工学技士になるには国家資格に合格しなければなりません。
ここでは、受験資格の取り方と履修科目を説明します。
受験資格を得る
臨床工学技士は国家資格であり、まずは国家試験における受験資格の取得が必須です。
受験資格を取得するには、高校を卒業後、大学や短大、専門学校で学ぶ方法、もしくは医療系国家資格者が大学・養成校で2年以上修業して学ぶ方法があります。
夜間の学校もあり、それぞれの状況に沿ったコースが存在しているため、自分に合った進路を選択しましょう。
学校の指定カリキュラムを修了して卒業すれば、受験資格が得られます。
国家試験に合格する
臨床工学技士国家試験の受験資格を得たら、国家試験合格をめざしましょう。
下記のとおり、試験科目は多岐にわたります。
- 医学概論
- 臨床医学総論
- 医用電気電子工学
- 医用機械工学
- 生体物性材料工学
- 生体機能代行装置学
- 医用治療機器学
- 生体計測装置学
- 医用機器安全管理学
臨床工学技士国家試験に合格するには、過去問を解くことと得意分野を復習することが大切です。
前述したとおり、臨床工学技士国家試験には幅広い問題が出題されるため、各分野をまんべんなく学び、特に得意分野の問題での正答率を上げておくようにしましょう。
概要を簡単に紹介しましたが、国家試験合格率も含めた臨床工学技士の詳しい内容は、こちらの記事をご覧ください。
免許の申請・再発行・更新手続き
臨床工学技士の免許証に関して、各種手続き方法を説明します。
免許の申請と再発行手続きを一つずつ見ていきましょう。
免許の申請
臨床工学技士に合格したら、厚生労働省医政局医事課試験免許室に申請します。
すると、臨床工学技士名簿に登録され、厚生労働大臣に免許を発行してもらえます。
免許申請を行わず、臨床工学技士名簿に登録されていない人が業務を行うと、行政処分の対象になるので注意しましょう。
ここでは申請方法をはじめ、いつ届くのか、また届かない際の対応を解説します。
申請方法
まずは免許の申請方法を見ていきましょう。
免許申請には以下の書類が必要です。
- 臨床工学技士免許申請書
- 診断書(発行から1ヵ月以内のもの)
- 住民票の写しまたは戸籍抄(謄)本(発行日から6ヵ月以内のもの)
- 登録免許納付のための収入印紙9,000円分
- 「免許証送付用」封筒
- 登録済証明書用はがき(希望者のみ)
提出する際には、上から臨床工学技士免許申請書、診断書、住民票の写しまたは戸籍抄(謄)本の順にそろえて、ホチキスで右上部を留めましょう。
「免許証送付用」封筒には575円分の切手を貼ります。
早く免許証がほしい場合は、合わせて速達分の290円切手も貼り、速達と朱書すると対応してもらえます。
受取可能な住所と受取人氏名を表面に記入し忘れないようにしましょう。
最後に、所定の免許申請用封筒に575円分の切手を貼り、必要書類を入れて厚生労働省へ書留で郵送します。
なお、免許申請書は厚生労働省の資格申請案内の1.免許申請手続で印刷できます。
申請期限
臨床工学技士の免許申請には期限がありません。
必要書類を提出すれば、過去に合格した試験の免許も申請可能です。
ただし合格して1年以上が経過すると、申立書の作成が必要になります。
申立書では、次の2点を明記しましょう。
- 今までに臨床工学技士免許の登録をしていないこと
- 報酬をともなう臨床工学技士の業務に従事していないこと
申請書に添付する診断書は1ヵ月以内、戸籍抄(謄)本は発行日から6ヵ月以内のみ有効なので注意が必要です。
免許はいつ届く?
臨床工学技士の免許が届くまでには、だいたい2〜3ヵ月かかります。
混雑の状況によって変わるため、余裕を持って申請しましょう。
希望者のみが対象の登録済証明書用はがきに63円の切手を貼って提出している場合、登録日から1両日中に登録済証明書が発行されます。
免許が届くまではこの証明書で代用できます。
届かない場合
免許がなかなか届かない場合、就職活動や転職活動ができずに困る方もいるでしょう。
免許証の到着は保健所の管轄外となるため、厚生労働省医政局医事課試験免許室で確認してください。
再発行手続き
臨床工学技士の免許を紛失・破損した場合は、再発行手続きができます。
必要な書類は以下のとおりです。
- 臨床工学技士免許証再交付申請書
- 住民票の写しまたは戸籍抄(謄)本(発行日から6ヵ月以内のもの)
- 免許証の原本(き損の場合)
- 手数料納付のための収入印紙3,100円分
提出する際には、上から臨床工学技士免許証再交付申請書、住民票の写しまたは戸籍抄(謄)本、免許証の原本(き損の場合)の順にそろえて、ホチキスで右上部を留めましょう。
そのあと、書留で厚生労働省に郵送します。
なお、再交付申請書は厚生労働省の資格申請案内の1.免許申請手続きで印刷できます。
臨床工学技士の免許取得後にできること
では、臨床工学技士の免許取得後には何ができるでしょうか。
免許取得後の就職先、主な業務内容を紹介します。
主な就職先
臨床工学技士の主な就職先は以下のとおりです。
- 病院
- 透析クリニック
- 医療機器メーカー
- 商社
- 養成学校や大学などの教育機関
臨床工学技士の就職先は病院が一般的であり、大学病院や総合病院、クリニックなど規模はさまざまです。
また、透析クリニックでは人工透析装置の操作や保守点検を行うために臨床工学技士が必要不可欠です。
選びやすい職場の一つといえるでしょう。
また、医療機器メーカーや商社で医療機器の営業やそのサポートをする人もいます。
なかには、臨床工学技士の経験を積んだあとに講師になったり、博士号を取得して大学の研究者になったりする人もいます。
主な業務内容
臨床工学技士は医療機器の専門家であり、病院などで医療従事者とチームになって生命維持管理装置の操作を行います。
また、さまざまな医療機器の保守点検や管理にも携わります。
臨床工学技士は、主に呼吸治療業務や人工心肺業務、血液浄化業務、手術室業務を行うため、現代医療に欠かせない存在です。
生命維持管理装置は誤差や故障が生命に直接関わるため、責任感の必要な仕事といえるでしょう。
厚生労働省の就業者統計データによると、臨床工学技士の年収は426.4万円となっています。
臨床工学技士の年収を詳しく知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
免許取得方法を正しく理解して臨床工学技士を目指そう
臨床工学技士は、生命に直接関わる医療機器の専門家です。
まずは、国家試験に合格して免許を取得する必要があります。
また、合格しただけでは業務に従事できず、厚生労働省医政局医事課試験免許室への申請が必要です。
臨床工学技士名簿に登録し、免許が発行されてようやく働けます。
この記事では、免許申請のために必要な書類などを詳しく解説しました。
臨床工学技士の免許申請や再発行の際にはぜひ参考にしてください。