
臨床工学技士は、医療機器の専門的な知識を持ち、医療施設を中心に活躍しています。
医療において、高度な医療機器は必要不可欠です。
医療機器を安全に管理し、操作できる臨床工学技士は 、医療現場になくてはならない存在です。
しかしAI(人工知能)やロボットの開発により、2025年までに人が行う作業の半数以上の仕事がなくなる との報告書が出されました。
臨床工学技士の仕事もこの流れにのって、縮小してしまうのでしょうか?
本記事では、臨床工学技士の将来性や今後の変化、必要とされる働き方を解説いたします。
目次
臨床工学技士は将来性がないのか
AI(人工知能)やロボットの進出により、2025年までに半数以上の仕事はロボットなどの機械が担うことになるとの報告書が出されました。(2018年世界経済フォーラムより)
このことは、医療機器の専門家である臨床工学技士の仕事にも影響があるのでしょうか?
臨床工学技士の将来性について解説します。
臨床工学技士の業務内容にも変化が
国家資格としての臨床工学技士は、1988年に誕生 しました。
当初、臨床工学技士の仕事は、人工透析、人工心肺、機器管理が主なものでした 。
近年は医療機器の進歩により、カテーテル手術や集中治療室などの業務が増えています 。
2021年には法律改正が行われ、静脈穿刺や内視鏡のビデオカメラの操作など、医師が行っていた医療行為が追加 されました。
また今後の展望として、医療現場にもAI(人工知能)やロボットが導入されます。
しかしこのことで、「臨床工学技士の仕事がなくなってしまうのではないか?」と不安に思う必要はありません。
ロボットやAIが安全に作動するために管理する、新しい仕事が生まれることを意味しています。
医療環境や技術の進化によって臨床工学技士の業務内容も変化していくでしょう。
医療機器市場の拡大が続く
今後、少子高齢化が進み、高齢者の人口は増加していくことがわかっています 。
高齢者が増えることで、医療の需要は高まっていくでしょう。
時代の変化にあわせて医療機器の開発も進み、医療機器市場の規模は今後も拡大が見込まれます。
今まで臨床工学技士の仕事は、医療機器の安全な操作や管理でした。
しかし医療機器市場の拡大にあわせ 、医療現場の仕事だけでなく医療機器開発の支援など、新たな仕事が生まれています。
医療機器メーカーでの活躍も期待
臨床工学技士の病院以外の就職先として、医療機器メーカーがあげられます。
専門知識を活かして、 営業支援の役割を担うことが可能です。
臨床工学技士が在籍していない施設へは、導入後のフォローなどもでき、活躍の場は広がっています。
医療機器メーカーは病院とは違い、勤務時間も規則的なことも魅力の一つです。
臨床工学技士が直面している現実
臨床工学技士の将来性については上記のとおりです。
では、現在の労働環境はどのようなものでしょうか。
ここでは、現在出されている求人情報を参考に、臨床工学技士として求められている仕事内容を考察していきます。
臨床工学技士の現状について
2022年3月22日現在、公益社団法人日本臨床工学技士会のWebサイトに掲載されている求人情報は108件 ありました。
内訳は以下のとおりです。
個人病院、クリニック | 45件 |
大学病院、地域基幹病院 | 60件 |
医療機器メーカー | 1件 |
臨床工学技士養成学校 | 2件 |
個人病院、クリニックの求人のうち血液浄化(人工透析)の仕事のみを募集する求人が25件ありました。
それ以外の大学病院から個人病院までの80件は、血液浄化以外に心臓カテーテル、手術室、集中治療室など多岐にわたる仕事募集でした。
この結果から求人情報からみる現在の臨床工学技士の仕事のうち、外すことのできないものとして血液浄化があげられます。
病院関係以外の求人は3件あり、臨床工学技士養成学校2件と医療機器メーカー1件です。
学校の求人は2件とも教員募集でした。
医療機器メーカーの募集内容は“技術責任者として当社製品のセールスと協力し営業促進を担当する”でした。
将来性の項目でも触れましたが、営業支援の仕事です。
今後も必要とされる臨床工学技士になるには
2021年に臨床工学技士法の改正がありました(令和3年厚生労働省令第119号、第203号 )。
この法改正により、医療従事者の業務範囲が再検討されました。
新たに臨床工学技士としてできるようになったことは以下の4つです。
- 静脈に針を刺せるようになった
- 身体に電気刺激を与える機械の操作
- 内視鏡手術のビデオカメラ操作
- 人工透析業務における動脈への穿刺
上記は今まで、医師が行っていた医療行為でした。
厚生労働省では医師の負担を減らすための働き方改革 として、医師による医療業務を医療従事者へ移行する動きがあります。
ま た、団塊の世代が75歳以上となることで注目されている2025年問題 を解決するために、地域包括ケアシステム が厚生労働省によって推進されています。
そのなかで、IoTが応用された在宅医療機器 の保守管理を臨床工学技士が担うことが予想され、在宅医療への新しい道が開けるかもしれません 。
どちらの動きにもいえることですが、より人と関わることが増えていくことが予想されています。
今後も必要とされる臨床工学技士とは、人との関わり合いを大事にできる人材かもしれません。
医療の発達とともに働き方が変わる!多くの業務をこなせる臨床工学技士になろう
技術の発展や医療を取り巻く環境から、臨床工学技士の働き方も変わってきています。
その動きは将来性がなくなるようなことではなく、できることが増える方向へシフトしていく模様です。
さまざまな変化に対応できるよう、多くの業務をこなせるようになりましょう。
医学と工学の知識を持った臨床工学技士は、今後も医療現場に欠かすことのできない 、魅力的な職業です。