視能訓練士（ORT）は、目に関する検査や訓練を行う専門職です。
本記事では、視能訓練士の給与について確認していきましょう。
勤続年数や地域別の給料、他職種との給与比較なども併せてご紹介します。
目次
視能訓練士の平均給料は？
仕事選びにあたって、給料は大事なポイントです。
ここでは視能訓練士の平均年収、平均月収、初任給、時給相場を見ていきます。
給料以外にも、視能訓練士について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。
平均年収
2020年に日本視能訓練士協会が実施した調査によると、視能訓練士の年収は300万円以上400万円未満が相場で、平均年収は378.5万円です。
ただし、正規職員に限定すると平均年収は423.9万円 になります。
また、年齢によっても平均年収が異なります。
正規職員の場合、20代が313.2万円で最も少なく、50代が561.2万円、60～65歳未満が573.2万円と、年代ごとに上がっていくことが特徴です。
なお、65歳以上になると464.5万円となり減少します。
平均月収
厚生労働省によると、2021年度における視能訓練士の平均月収は24.9万円です。
月収から計算すると、おおよその手取りは約19万円～21万円になります。
初任給
新卒の初任給は18万円～20万円程度です。
手取りにすると14万円～17万円程度となります。
一般企業に就職した大学卒業者と比較すると、金額はやや低い状況です。
ただし、勤務先の労働条件やボーナス、福利厚生などによって金額は異なります。
時給相場
2020年に日本視能訓練士協会が実施した調査によると、視能訓練士の平均時給は2020年の時点で1,976.0円でした。
1,500円以上2,000円未満の割合が全体の36.6％で最も高く、次いで1,000円以上1,500円未満が26.0％、また全体の4割弱が2,000円以上の時給です。
2018年時点と比較すると、約6割が変化なし、約3割が上がったとなっています。
そのため、時給の場合も一部では昇給している状況です。
視能訓練士の合格率に関しては、以下の記事をご参照ください。
視能訓練士の給料｜年数・地域・性別・勤務先別
視能訓練士の給料は、勤務年数や勤務先によって変化するのでしょうか。
年数・地域・性別・勤務先別に解説します。
なお、データはすべて2020年に日本視能訓練士協会が行った実態調査を参考にしています。
視能訓練士実態調査報告書2020年（日本視能訓練士協会）
勤務年数によって給料はアップする
正規職員であれば、給料は勤続年数ごとに上がっていく傾向です。
年収は5年未満が312.5万円で、そこから年数と比例して上がっていきます。
30年以上35年未満が最も高く、591.3万円です。
5年未満の段階との差は約280万円程度です。
なお、年齢と勤続年数の給料は同じような形で推移します。
40年以上になると498.1万円となり、約100万円弱減少しています。
地域別では東京都が高い
正規職員の年収を地域別でチェックすると、東京都が最も高く447.6万円です。
最も年収が低い地域は東北で376.0万円となっており、約70万円の差が生じています。
東京都に次いで高い東海北陸は442.6万円、近畿は434.7万円といったように、430万円弱～440万前後が基本となっています。
東北、九州、北海道の3エリアでは、400万円を切る数値となりました。
給与の男女差はあまりない
男女別の勤務先による年収を見ると、基本的に男女差はありません。
しかし、私立病院と眼科診療所では男女差が発生しています。
私立病院は平均年収が385.4万円なのに対して、男性は451.9万円、女性は370.4万円と約80万円の差、眼科診療所は平均年収373.7万円に対して、男性459.4万円、女性355.5万円と約100万円の差です。
このように、勤務先によっては男女差がある状態となっています。
なお、視能訓練士は女性が全体の85.7％を占め、圧倒的に女性が多い職種です。
私立大学病院が高い
平均年収は私立大学病院が最も高く、510.1万円です。
次に国公立医療機関が平均485.2万円、準公立医療機関が平均456.8万円といった順で推移しています。
反対に、平均年収が低い勤務先は眼科診療所で、平均年収は373.7万円です。
また、男女別でも給料に開きがあります。
私立大学病院の女性は全体で最高額の514.2万円であるのに対して、眼科診療所の女性は355.5万円と約160万円の差があります。
視能訓練士の給料は高い？安い？他職種と比較
視能訓練士の給料は、他の医療職と比べて高い金額なのでしょうか。
看護師、歯科衛生士、作業療法士と比較します。
なお、視能訓練士の年収は前述している日本視能訓練士協会が2020年に行った実態調査のデータをもとにしています。
看護師との給与比較
厚生労働省のデータによると、2021年度における看護師の平均年収は498.6万円となっています。
それに対して視能訓練士の平均年収は全体で378.5万円、正規職員に限定した場合423.9万円です。
そのため、平均的には看護師に比べて視能訓練士の給料は低い状況にあります。
ただし、看護師は夜勤もあるため、生活リズムが不規則になりがちです。
視能訓練士は一般的に日勤だけの仕事であり、ライフワークバランスを取りやすいメリットがあります。
歯科衛生士との給与比較
厚生労働省のデータでは、2020年 における歯科衛生士の平均年収は386.7万円です。
視能訓練士の全体的な平均給与とあまり変わらない結果となっています。
歯科衛生士は視能訓練士と同じく、日勤がメインの勤務形態です。
また、就業者に女性が多い点も視能訓練士と共通しています。
出産などでいったん仕事を離れても、国家資格を活かして復帰するケースがあり、20代後半から40代後半まで就業者数がほぼ均等となっています。
歯科衛生士と視能訓練士は勤務環境など似ている点があり、給料も同等程度です。
作業療法士との給与比較
厚生労働省による作業療法士の平均給与は、2021年 度時点で426.5万円となっています。
視能訓練士全体と比較した場合は作業療法士が高い金額となっていますが、正規職員に限定した年収ではあまり差がありません。
作業療法士の勤務先は、病院やリハビリテーション施設、障がい者施設、保健所などです。
給料は勤務先で働く他の医療技術者と同水準で設定されており、勤務先によって異なります。
一般的に夜勤はなく、女性が多い労働環境である点は視能訓練士と同じです。
給料を上げるためには
視能訓練士として給料を上げるためには、どのような点に着目すれば良いのでしょうか。
技術を磨く、条件の良い職場へ転職するといった2つのポイントを紹介します。
技術を磨く
視能訓練士としてスキルを磨くことが、年収を増やすポイントです。
日本視能訓練士協会、日本視能矯正学会、日本弱視斜視学会など、国内には視能訓練士に関するさまざまな協会や学術集会が存在します。
こうした団体では、勉強会や研修が定期的に実施されています。
そこに参加することで、最新の研究に関する知識を得て、技術を高めることが可能です。
技術向上により、勤務先での評価が上がり、昇給につながることもあります。
また、技術を磨くことは転職活動の際にも有効です。
条件の良い職場に転職する
視能訓練士の勤務先は、大学病院や地域の診療所などさまざまです。
そうした多数ある勤務先のなかから、より条件の良い職場を選択することも給料アップにつながります。
視能訓練士の給料は病院経営の利益から配分されるため、潤沢な資金を持つ病院のほうが、給料や福利厚生などの条件が良い傾向です。
前述のとおり、私立大学病院や国公立医療機関の公務員などは平均的に給料が高くなっており、平均年収が500万円以上の勤務先もあります。
厚生労働省によると、令和3年度における視能訓練士の有効求人倍率は3.17倍です。
求職者一人に対して3件以上も求人がある状態のため、条件を比較しながら就職活動を行うことも手段の一つでしょう。
技術向上や勤務先の条件で給料は上げられる
視能訓練士の平均年収は378.5万円で、勤続年数によって昇給している傾向です。
地域別や男女別で若干の違いはありますが、基本的にはあまり差がありません。
勤務先によっては給料が異なり、私立大学病院が最も高くなっています。
視能訓練士として給料を上げるためには、こうした条件の良い勤務先に転職したり、学会などに参加して技術を向上させることが有効です。
視能訓練士の将来性に関しては、以下の記事をご参照ください。
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