「福祉用具専門相談員の仕事がキツいのはどうして?」
「ノルマが大変って本当?」
福祉用具専門相談員の仕事に興味がある方は、上記のような疑問を持たれることが多いものです。
高齢者の支えになりたいという強い気持ちがあっても、「キツい」と聞くと不安になってしまいます。
しかし、福祉用具専門相談員の辛さを明確に把握しておけば、仕事を楽しむためのポイントもつかみやすくなります。
今回は、福祉用具専門相談員の仕事がキツいといわれる理由を具体的に解説していきましょう。
目次
福祉用具専門相談員がきつい・大変といわれる理由
福祉用具専門相談員がきつい、大変といわれるのは、以下のような理由が考えられます。
肉体的な負担が大変
福祉用具専門相談員は、重量のある福祉用具の搬入や搬出、組み立てを行う機会が多く、身体的な負担が大きい仕事です。
福祉用具専門相談員が出向く利用者さんのお宅は、エレベーターのない集合住宅であったり十分な動線が確保されていなかったりすることもあります。
移動用リフトや特殊寝台、スロープ・手すりなど、大きくて重いものを一人で運ばねばならないこともあり、腰を痛めてしまうこともあるでしょう。
事業所によっては福祉用具の搬入・搬出を外部に委託しているところもあり、女性でも福祉用具専門相談員として活躍することはできます。
専門知識など覚えることが多い
福祉用具専門相談員の仕事は、専門知識を要し、覚えることが多いのも特徴です。
例えば、利用者さんに自己負担額やサービス利用に必要な手続きなどを伝えるには、介護保険制度のことを知っておく必要があります。
この介護保険制度は3年ごとに内容が変わるため、定期的に最新の情報を確認しておかねばなりません。
また、利用者さんのニーズに合った福祉用具を提供するために、数ある商品の特徴や仕組みをしっかりと理解しておくことも福祉用具専門相談員の重要な仕事です。
福祉用具にはさまざまな種類があるうえ、新しいタイプの商品が常に開発されています。
このため、福祉用具専門相談員には常に情報をアップデートする心がけが必要となります。
肉体労働があるうえ、覚えることも多い福祉用具専門相談員の仕事が、キツいと感じてしまうのも無理はありません。
仕事が難しい
福祉用具専門相談員が対応するのは、さまざま日常生活動作(ADL)や生活環境、背景を持つ高齢者や障がい者です。
日頃から福祉用具の情報収集や介護保険制度の勉強を行っていたとしても、マニュアル通りに作業が進むわけではなく、ときにはイレギュラーなトラブルに見舞われることもあります。
福祉用具専門相談員としての実践的なスキルを上げるには、ひたすら経験を積んで問題解決力を身につけるしかありません。
努力がすぐに結果に結びつかず心が折れてしまうこともあるでしょう。
営業ノルマがある
事業所によっては下に挙げた項目にノルマが課される場合があり、福祉用具専門相談員が感じるストレスの一つとなっています。
- 新規で契約した利用者さんの数
- ケアマネージャーへの営業の回数
- 福祉用具のキャンペーンにて受注した数
他の事業所との競争があるなか、契約を獲得するには福祉用具専門相談員の提案力にかかっています。
ノルマが達成できない月には、「目標に到達しなければならない」と焦燥感に駆られることもあるでしょう。
また、利用者さんに福祉用具が必要ない状態は本来ならば喜ばしいことでもありますが、営業ノルマが課された福祉用具専門相談員にとっては一概に晴々しい気持ちにもなれません。
利用者さんへの想いと実績を上げられないもどかしさとの板挟みになってしまうことも、福祉用具専門相談員の辛さといえます。
書類作成が多い
福祉用具専門相談員の仕事は営業や用具の運搬などの外回りだけでなく、書類の作成も多くあります。
例えば、下に挙げた書類の作成も福祉用具専門相談員の仕事です。
- 福祉用具の使用目的や効果などを一覧化した「福祉用具サービス利用計画書」
- 利用者さんの経過を確認するための「モニタリング報告書」
- 福祉用具を安全に使用いただくための「メンテナンス報告書」
これらの業務に多くの時間を費やさねばならず、ときには残業せざるを得なくなることもあります。
事務作業が苦手な方にとっては、外勤との両立に負担を感じてしまうこともあるでしょう。
福祉用具専門相談員が効率的な書類の作成をめざすには、パソコンスキルの向上やスマートフォン・タブレットの活用、研修の参加などを試みる自己研磨も必要となります。
ケアマネージャーや利用者との関係構築が必要
先にお伝えしたように、福祉用具専門相談員にとって、営業成績を上げることは重要です。
そして、この成績に直結するといっても過言ではないのがケアマネージャー・利用者さんとの関係性です。
とくに、福祉用具専門相談員が営業をかけることの多いケアマネージャーとは、確かな信頼関係を構築しておくことが大切。
なぜなら、ケアマネージャーは利用者さんやご家族との距離が近く責任ある立場であるため、信頼のおける営業しか受け入れてもらえない可能性があるからです。
ケアマネージャーは利用者さんのADL・目標に見合ったケアプランの作成や利用者さん・ご家族からの相談対応を行う点で、介護サービス提供の要となる存在です。
定期的に挨拶回りを行ったりコミュニケーションを取ったりすることで、福祉用具の営業がいつでもできる状態にしておかねばなりません。
人間関係に疲れやすい場合、福祉用具専門相談員の仕事に辛さを感じやすくなるでしょう。
給料が高くない
福祉用具専門相談員のモチベーション低下につながる理由の一つに、給与の低さが挙げられます。
多くの施設では福祉用具専門相談員を介護職員の枠組みで雇用しており、一般的な介護職と同じ給与水準となるためです。
介護職員の給与水準は他の産業に比べるとまだまだ低いのが現状です。
実際、国税庁による「民間給与実態統計調査」では、令和2年度の全体平均給与が433万円であったのに対し、医療福祉分野のみの平均給与は397万円とされています。
また、福祉用具専門相談員は介護福祉士のような国家資格ではないので、資格手当による大幅な収入アップにも期待できません。
ハードな仕事内容に見合わない給与水準に、嫌気が差してしまっても無理はありません。
福祉用具専門相談員の将来性について、気になる方は以下のサイトをご覧ください。
福祉用具専門相談員は大変そうと不安を感じる方へ
ここまで、福祉用具専門相談員の仕事がキツいといわれる理由を解説してきました。
記事を読んで福祉用具専門相談員の実態に触れた方は、負担だらけの仕事ではないかと不安になられたかもしれません。
しかし、福祉用具専門相談員の仕事は利用者さんの住環境を整えることで、ADLだけでなく心も支えられます。
利用者さんの心身の変化を目の当たりにでき、大きなやりがいにつながるものです。
知識やスキルの向上に前向きな方や、高齢者の生活に深く関わりサポートしたい方は、福祉用具専門相談員の仕事を楽しいと感じやすいでしょう。