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臨床開発モニター(CRA)とはどんな仕事?仕事内容や将来性について

臨床開発モニターという職業を耳にしたことはあるでしょうか。

英語表記Clinical Research Associateの頭文字をとってCRAとも呼ばれ、新薬開発のためのデータ収集やプロジェクト管理を行いながら、治験の流れ全般に関わる仕事です。

耳慣れない職業で、どのような業務内容なのかイメージがつかない方も多いと思います。
この記事では、臨床開発モニターの概要や仕事内容、将来性などについて解説していきます。

臨床開発モニター(CRA)とは

まずは、臨床開発モニター(CRA)とは何なのか、概要を説明します。
臨床開発モニターと混同されやすい、治験コーディネーターとの違いも合わせて解説するので、参考にしてください。

臨床開発モニター(CRA)の概要

新薬開発には、約9~16年という長い研究期間がかかります。
また、新しい薬ができあがってもすぐに発売できるわけではありません。
動物や培養細胞を用いた実験や、人を対象とした臨床試験を経て、有効性や安全性が確認できたのちに、患者さんに使用できるようになります。

臨床開発モニター(CRA)は、新薬開発の一環である、人を対象とした臨床試験=治験に携わるのです。
治験においては、被験者の安全が守られるよう、法律や規則が定められています。

臨床開発モニターは、治験が法律や規則などルールのもと医療機関において正しく行われているかを確認する仕事です。
製薬会社に勤めるか、治験を委託している企業に勤め、仕事を行います。

臨床開発モニター(CRA)と治験コーディネーター(CRC)の違い

臨床開発モニター(CRA)は、製薬会社・企業側の立場から治験のスケジュール管理や治験実施計画書の確認を行います。
対して、治験コーディネーター(CRC)は、主に医療機関で働き、医療チームと協力して被験者に寄り添いながら治験のサポートを行うことが業務です。

いずれも、臨床試験の最前線で被験者となる患者さんと接するため、医学や薬学について知識の豊富な人が採用される傾向が高く、薬剤師や看護師の資格を持っていると優遇される場合があります。
臨床開発モニターと名前が似ている仕事として、臨床検査技師も挙げられますが、これは診療に必要な検査を行うもので、まったく異なる職業です。

臨床開発モニターの仕事内容

臨床開発モニターの仕事内容

ここからは、臨床開発モニター(CRA)の具体的な仕事内容を、詳しく見ていきましょう。
治験が正しく安全に、かつ円滑に行われるよう、臨床開発モニターは多くの業務をこなします。

治験開始前

新薬で治験を行うことが決定したら、臨床開発モニターは治験開始の準備へ向けて動き出します。
具体的な作業としては、以下のとおりです。

治験を実施する医療機関、治験責任医師を選定する

どの医療機関、医師のもとで治験を行うかは、治験の結果を左右する重要な要素です。
治験を行うためのシステムが充実しているか、時間的余裕があるかなどを考慮し、治験責任医師の臨床経験や治療実績などを基準に検討します。

医療機関への治験実施依頼、契約を行う

選定した医療機関・医師に治験を依頼し、合意を得ます。
その際、製薬メーカーが作成した治験実施計画書(プロトコル)を提示し、医師や治験コーディネーターに、治験の内容や進め方の説明を行います。

対象疾患の病態や治験薬の作用機序について、理解を深めておく必要があり、常に勉強が欠かせません。

治験開始

治験が開始されると、臨床開発モニターは医療機関と自社を行き来しつつ、仕事を進めていきます。
以下がその具体的な流れです。

治験がプロトコルに沿って実施されているかモニタリングを行う

医師へのヒアリングやカルテの閲覧を行い、治験がプロトコルどおりに進められているか、被験者に副作用症状が出現していないかなどをチェックします。
また、国の規則であるGCP(Good Clinical Practice)が遵守されたうえで治験が行われているかという点も、重要なモニタリング項目です。

症例報告書(CRF)を回収する

治験にともない、担当の医師には被験者のデータをまとめた症例報告書(CRF)を作成してもらいます。
臨床開発モニターは、医師からCRFを回収し、内容に不備がないか確認を行います。

モニタリング報告書を作成する

帰社後には、その日の被験者の状態や医師へのヒアリング内容など、詳細を報告書にまとめます。

治験終了時

全被験者への薬剤投与が終了したら、臨床開発モニターは、治験終了へ向け以下の業務を行います。
その内容は、以下のとおりです。

  • プロトコルに沿って治験が行われたことを最終確認する
  • 医師からすべての症例報告書(CRF)を回収し、記載漏れや不備がないか確認する
  • 治験薬の使用数、廃棄数などを確認し、確実に引き下げる

最後に、医療機関、治験責任医師に治験の終了を報告し、通知書を提出して、治験終了です。

臨床開発モニター(CRA)の日常

臨床開発モニター(CRA)の日常

前項までで、臨床開発モニター(CRA)がどのような業務を行っているか、イメージできたでしょうか。
臨床開発モニターは医療機関への行き来が多く、多職種と連携を図るなど、多忙な毎日を過ごしています。
臨床開発モニターの日常のなかでも特徴的なポイントを、2つご紹介します。

医療機関への全国出張が多い

所属する製薬会社や地域によっては、頻繁に出張を命じられる場合があります。
臨床開発モニターは、治験の拠点となる医療機関へ直接訪問し、医師へのヒアリングやCRFの確認・回収を行わなくてはなりません。

治験は全国各地の病院で、複数同時進行で行われるため、任される案件が多いと、連日新幹線や飛行機での長距離移動を余儀なくされることもあるのです。
その移動中に報告書の作成や、自社・医療機関との連絡調整を行わなくてはならない場合があります。

拘束時間も長く、かなりのハードワークとなります。
しかし、自分でスケジュールを管理しながら複数の案件をこなすため、やりがいも大きく、社会人としてかなりのスピードで成長していくことができるでしょう。

書類作成スキルを求められる

臨床開発モニターには、医学・薬学の知識の他、多職種との連携を図るためのコミュニケーション能力、スケジュール管理能力などさまざまなスキルが求められます。
なかでも、書類作成スキルはとても重要です。

治験では、準備段階からモニタリング業務中、終了後の報告まで、すべてに書類が必要です。
また、治験はしばしば同時進行で行われ、担当する案件分の書類を作成・確認しなければならないため、業務量が膨大となってしまうことも珍しくありません。

一つひとつの書類には納期が設けられており、計画的に進めていかなければプロジェクトの進行に影響を及ぼしてしまうこともあるため、責任重大といえます。

臨床開発モニター(CRA)の将来性

新薬の開発は、各製薬メーカーで日々活発に行われています。
新薬を世に売り出すための治験において、欠かせない存在である臨床開発モニター(CRA)は、今後も活躍の場が多くあるでしょう。

実際、製薬メーカーへの転職は需要も高く、高収入で待遇も良いことから、臨床開発モニターとしての就業を考える人も多いと考えられます。
特に、医師を含む医療チームとのコミュニケーションをうまくとることのできる臨床開発モニターは、医療機関から信頼され良い成績をあげるといわれています。
経験次第で、スキルアップやキャリアアップをめざせることも、臨床開発モニターという仕事の魅力です。

臨床開発モニターは求められる能力が高いだけに将来性ある仕事

ハードワークな一面があり、求められるスキルや能力も高い臨床開発モニター(CRA)ですが、将来性や年収・待遇面に心配はなく、やりがいのある仕事といえるでしょう。
医学や薬学の知識、経験を持っていると優遇されやすいですが、無資格でもチャレンジできます。
臨床開発モニターの仕事に興味がある方は、ぜひ検討してみてください。

執筆者について

情報かる・けるは、医療・介護従事者として働いている方や、これから目指す方の「知りたい」に応えるメディア。 全国54,000件以上の求人を扱う弊社スタッフが、編集部として情報発信! “いい仕事が見つかる・いい仕事を見つける”ための、有益なコンテンツをお届けします。 https://twitter.com/karu_keru

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