
介護職員は資格なしでも専門資格の保有者でも働けます。
実際にハローワークの求人を確認すると、「無資格」「未経験」の求人が複数あります。
なぜ介護職は無資格でも働けるのか、ずっと無資格で働き続けても大丈夫なのかなどと疑問に思っている方もいるでしょう。
この記事では、介護職員が資格なしでも働ける理由や、資格なしで働くメリットを紹介します。
介護業界に興味を持っている方や介護職員への転職を考えている方は、参考にしてください。
最後まで読むことで、「無資格でも大丈夫」と自信をもって介護業界への就職活動をスタートできるでしょう。
目次
介護職員は資格なしでも勤務可能な3つの理由
介護職員は資格なしでも働ける理由が3つあります。
- 資格なしでもできる仕事がある
- 高齢者の増加により介護職員が不足している
- 働きながら資格取得ができる
順番に説明していきます。
資格なしでもできる仕事がある
介護の現場には資格なしでもできる仕事が多くあり、おもに以下の内容です。
無資格でもできる仕事 | 内容 |
生活援助 | 介護サービス利用者の自宅や施設において掃除、洗濯、調理などを本人の代わりに行う |
訪問入浴 | 訪問入浴は複数人のスタッフで実施され、資格なしでも更衣・入浴の介助が可能 施設によっては資格取得者に限定される場合もある |
介護保険外サービス | 介護保険外サービスは資格なしでも対応可能 具体的には庭の草むしりや水やり、犬の散歩、洗車など |
事務作業・送迎車の運転 | デイサービスやショートステイでの利用者の送迎業務や物品発注、給料計算などの事務作業 |
上表の仕事であれば資格なしでも働けるため、無資格・未経験者も介護現場では求められています。
高齢者の増加により介護職員が不足している
厚生労働省の公表によると、2025年に必要な介護職員は約32万人不足すると予想されています。
介護職員は数が不足しており、資格保有者だけでは間に合わない状況です。
そのため、資格なし・未経験でも募集している求人が多いです。
2024年2月時点で、無資格・未経験の介護職員の求人件数の合計を見ると80,000件以上もあり、全国に求人があるため好きな場所の求人に応募できます。
介護業界の人手不足は、すぐに解消される可能性は低いです。
今後も多くの施設から、無資格・未経験の求人が出るでしょう。
働きながら資格取得ができる
介護系の資格は、働きながら取得することができます。
資格なしで介護職に就職したからといって、ずっと無資格で働き続けなければいけないわけではありません。
2~3年働いた時点で介護職が自分に合っていると感じたら、スキルアップのために資格取得をめざすと良いでしょう。
資格取得支援制度を設けている施設もあり、介護職員初任者研修や介護福祉士実務者研修などの取得をサポートしています。
資格支援制度の具体例を紹介します。
資格名 | 費用 | 資格取得支援制度の補助内容の例 |
介護職員初任者研修 | 5~8万円程度 | 5.5万円や受講費用全額補助 |
介護福祉士実務者研修 | 8~22万円程度 | 最大10万円補助や受講費用全額補助 |
介護福祉士 | 18,380円 | 受験料1万円補助や受験料全額補助 |
施設により補助内容に差はありますが、制度を利用すれば自己負担を抑えられ、資格取得のハードルが低くなります。
将来的な資格取得の可能性を踏まえて、就職先をチェックする際には、資格取得支援制度の有無を確認しておきましょう。
資格なしの介護職員ができない仕事
資格なしの看護職員ができない仕事は2つあります。
- 単独での身体介助
- 医療的ケア
順番に説明します。
単独での身体介護
資格なしの介護職員は、単独での身体介護が認められていません。
身体介護は利用者さんの身体に直接触れる行為で、主に以下のような介助動作です。
- 口腔ケア
- 全身・部分浴の補助
- 排泄補助
- 身体を拭く
- 更衣の補助
- 寝返り補助、姿勢の変更
- 歩行時の支え、車いすへの移動補助
資格なしで働く場合は、単独では身体介助ができず、訪問介護業務もできません。
ただし、施設内に限り介護福祉士の指示のもとであれば身体介助ができます。
医療的ケア
医療行為は資格なしの介護職員だけでなく、介護資格を持っていてもできません。
しかし、必要な研修を受ければ、喀痰吸引や経管栄養などの医療的ケアは担うことができます。
「喀痰吸引等研修」を修了すれば、うまく出せない口腔内や鼻腔内のたんの吸引や胃ろう、腸ろうの経管栄養ができます。
資格なしで働き始め、仕事の幅を増やしたいと感じた際には受講を検討しても良いでしょう。
記事後半では他にもおすすめの資格を紹介しているので、そちらも参考にしてください。
資格なしで介護職員として働くメリット
資格なしで介護職員として働くメリットは、おもに以下の2つです。
- お金と時間をかける前に自分に合っているか判断できる
- 無資格の正社員採用もある
順番に説明します。
お金と時間をかける前に自分に合っているか判断できる
資格なしで介護職員として働くことで、資格取得にお金と時間を使う前に介護の仕事が自分に合っているか判断できます。
介護の資格を取得する際には、5~20万円程度が必要です。
資格を取得したあとに働き始め、自分には向いていなかったと感じて辞めてしまうと、資格取得に投じたお金と時間が無駄になります。
介護業界で今後も働きたいと思ってから資格にチャレンジしても遅くはありません。
働きながら得た知識は、資格勉強でも活かせるため、資格なしで介護職員として働くメリットは大きいでしょう。
無資格の正社員採用もある
介護業界には、無資格でも正社員採用をしてくれる求人もあります。
正社員で雇用されるメリットは、毎月決まった額の収入が見込め、ボーナスも期待できる点です。
社会保険も整っており、厚生年金に加入できるので、将来もらえる年金も増えるでしょう。
派遣やパート・アルバイトで働く場合は、雇用期間に限りがあったり、正社員よりも低い賃金で働くことを求められたりします。
雇用期間を満了したり、雇用主から解雇されたりして継続して働けない場合には、都度新しい職場を探さなければいけません。
派遣やパート・アルバイトは時給制でボーナスが支給されないケースもあります。
そのため、正社員よりも低い賃金になりやすく、正社員雇用のメリットは大きいといえるでしょう。
資格なしの介護職員の年収
資格なしの介護職員で働く際のデメリットに、年収が低いことが挙げられます。
下表では、資格保有者と比較してどの程度違うのかを紹介します。
保有資格 | 平均勤続年数 | 平均年収 |
保有資格なし | 5.4年 | 約322万円 |
介護職員初任者研修 | 8.1年 | 約360万円 |
介護福祉士実務者研修 | 6.8年 | 約363万円 |
介護福祉士 | 9.6年 | 約397万円 |
介護支援専門員 | 12.9年 | 約452万円 |
社会福祉士 | 8.3年 | 約420万円 |
資格なしで働く場合、平均年収は約322万円で、月収にすると26万8,000円程度です。
資格を取得することで約40万円の年収アップが期待できるので、次項に紹介するおすすめ資格を参考にしてチャレンジしてください。
資格なしの介護職員におすすめの資格
資格なしで働く介護職員におすすめの資格は以下の3つです。
- 認知症介護基礎研修
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
順番に説明します。
認知症介護基礎研修
認知症介護基礎研修は資格なしの介護職員を対象に実施されますが、資格保有者でも受講できます。
令和3年度から義務付けられた研修です。
認知症の介護サービス利用者さんやそのご家族の視点を重視した介護を提供するための、基礎的な知識と技術、実践する際の考え方を学びます。
令和6年度から新規採用・中途採用された資格なしの介護職員は、1年以内に認知症介護基礎研修を受講しなければいけません。
受講料は自治体により異なり、無料から5,000円程度です。
研修は集合型研修やeラーニングなど自治体で変わるため、勤務地の自治体のホームページを確認してください。
介護職員初任者研修
介護職員初任者研修は、資格なしの介護職員におすすめの資格です。
おすすめの理由は、専門資格の入門的な資格と位置づけられているからです。
研修内容は「介護の基本」、「老化・認知症・障害の理解」など、介護に必要な基礎的な内容が含まれています。
研修時間数は130時間で、取得にかかる期間は1~4ヵ月です。
受講方法は通信講座と通学を組み合わせたプランが一般的ですが、全課程を通学で受講するプランもあります。
開催しているスクールにより学習プランが違うため、自分に適した学習方法を提供しているスクールを選びましょう。
介護福祉士実務者研修
介護福祉士実務者研修が資格なしの介護職員におすすめな理由は、無資格でも受験できるからです。
介護福祉士実務者研修は、介護福祉士の国家試験を受験するために必要な資格です。
将来介護福祉士の資格を取りたいと考えているのであれば、介護職員初任者研修を受けずにいきなり介護福祉士実務者研修に挑戦することで、いち早くキャリアアップできます。
必要な研修時間は450時間で、取得までの期間は6ヵ月ほどです。
早めに介護のキャリアを積みたい方は、介護福祉士実務者研修にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
資格なしの介護職でも仕事はできるが資格取得をめざすのがおすすめ
資格なし、未経験でも介護職員として働けます。
資格がなくても正社員で採用され、介護の仕事が自分に合っているかを確かめることができます。
介護職を続ける場合は、資格を取得しキャリアアップを図りましょう。
資格を取れば給料も上がり、できる仕事が増えます。
本記事で紹介したおすすめ資格を参考に、資格取得をめざしましょう。