
介護職はやりがいを感じやすい仕事である一方で、人間関係や労働環境などの悩みを抱え、辞めたいと考える方も少なくありません。
しかし、一時的な感情で計画性を欠いた退職や転職を行うと、後悔につながる可能性があります。
自分に合った道を選択するためには、介護職を辞めたい気持ちと向き合い、冷静な分析をもとに判断することが重要です。
本記事では、介護職を辞めたいと感じるときの解決策や、後悔しないためのポイントなどを解説します。
目次
介護職を辞めたいと感じる理由
介護職を辞めたいと考える裏には、どのような理由があるのでしょうか。
介護職員が辞めたくなる要因には、おもに以下のような状況が挙げられます。
- 人間関係に問題がある
- 給料や労働環境に満足できない
- 将来への不安を感じる
以下では、それぞれ詳しく解説します。
人間関係に問題がある
介護職を辞めたいと感じる理由の一つに、人間関係の問題が挙げられます。
介護職員は利用者さんのケアをチームで行うケースが多く、コミュニケーションが重要です。
しかし、年齢層や考え方の違いから、意見の食い違いや人間関係の悩みを抱えることがあります。
利用者さんの性格もさまざまで、きつく当たられたり、意思の疎通がうまくいかなかったりするなど、ストレスを感じるケースもあるでしょう。
給料や労働環境に満足できない
給料や労働環境に満足できないことも、介護職をしんどいと感じる理由の一つです。
介護施設では、夜勤や日勤などを組み合わせた変動的なシフト勤務も多く、生活リズムに影響がおよぶことがあります。
また、入浴や起床・就寝の介助といった利用者さんの身体介護をする場面があり、身体への負担を感じる場合もあるでしょう。
生活習慣の乱れやきつい仕事が続くと心身の疲労が蓄積し、気力・体力的に限界を感じて辞めざるを得ない事態になる可能性もあります。
将来への不安を感じる
介護の仕事の先行きに不安を感じて、介護職を離れる人もいます。
昇給やキャリアアップの制度が整っていない環境では、たとえ介護の仕事にやりがいを感じていたとしても、長く続けるのが難しいと考えてしまう可能性もあります。
また、年齢を重ねるにつれて、体力勝負の介護職を継続できるかどうかの不安が発生するケースもあるでしょう。
介護職が辛い・辞めたいと思うときの対処法
介護職を辞めるべきかどうか悩んだときは、どのように対処するのがベストなのでしょうか。
介護の仕事が辛く離れたいと感じたときには、以下の方法を試してみてください。
- 辞めたい理由を書き出す
- 信頼できる人に相談する
- ストレス解消法を見つける
- 職場環境の改善を提案する
- 転職を検討する
次から詳しく解説するので、自分に合った対処法を試してみてください。
辞めたい理由を書き出す
介護職を辞めたいと感じた場合には、理由を書き出してみましょう。
抱えている悩みを文字にすることで自身の状況を整理でき、問題の解決策が見つかる可能性があります。
自身の悩みが把握できたら、辞めたい気持ちが一時的なものかそうでないかを判断することも大切です。
一時の感情で大きな決断を下すと、あとで後悔する可能性もあります。
冷静に悩みと向き合いましょう。
信頼できる人に相談する
ご家族・同僚・友人・職場の上司など、信頼できる人に相談するのもおすすめです。
一人で悩みを抱え込んでしまうと視野が狭くなりがちで、解決の糸口が見つかりにくくなります。
他の人の意見を聞くと、新たな視点での解決策が見つかるかもしれません。
さらに、悩みを第三者に話すために言語化することで、客観的な判断も可能となるでしょう。
ストレス解消法を見つける
介護の仕事に疲れを感じたら、ストレス解消法を見つけましょう。
疲労が蓄積すると、不眠やイライラ、物忘れなどの症状が現れる場合があり、仕事や生活に支障をきたす可能性があります。
例えば、適度に身体を動かす・好きなものを食べる・親しい人と話すなど、自分に合った楽しみでリフレッシュしましょう。
仕事の休憩時間に好きな音楽を聞いたり、楽しめる動画を見たりして息抜きするのもおすすめです。
職場環境の改善を提案する
労働環境や待遇に不満がある場合は、職場に改善を求めることも一つの手段です。
例を挙げると、長時間労働や夜勤の多さに不満を感じる場合には、人員の補充やシフトの組み方の改善を提案してみることです。
働きやすい環境が整えば、介護の仕事を続ける意欲が湧くかもしれません。
同じような悩みを抱える仲間がいれば、ともに声をあげることで職場全体の問題解決につながる可能性もあるでしょう。
転職を検討する
自分の気持ちと向き合ったり、職場に改善を求めたりしても介護職の継続が難しいと感じる場合は、転職を検討するのが賢明です。
例えばハラスメントやいじめが常態化している、上司や経営陣の考え方に疑問を感じるなど、自分でどれほど努力しても変えられないこともあるでしょう。
無理に働き続けると、精神的な不調が現れるケースや、キャリアアップの機会を逃す可能性があります。
転職活動を行う際には、転職エージェントや転職サイトを利用するのもおすすめです。
辞めたいと考える介護職を続けるメリット
介護士やヘルパーなどの介護職を続けるメリットには、次の2つが考えられます。
- 雇用の安定
- 待遇改善の可能性
高齢化社会の日本では、将来的に介護施設の数は増えると予想され、介護職は今後も雇用が安定していると考えられます。
景気に左右されにくい職業であることから、安心して働きやすいといえるでしょう。
また未経験や無資格でも就職しやすく、働きながらキャリアを築きやすい点も介護職の魅力の一つです。
介護職の給与や働き方の改善に向けた取り組みも進んでおり、今後も待遇の改善が続くと期待できます。
介護職を辞めたい人が転職に後悔しないコツ
介護職を辞めたい人が転職に後悔しないためには、以下のポイントに留意する必要があります。
- 職場を変えるか介護職を辞めるかを明確にする
- 転職先に求める条件に優先順位をつける
- 徹底した情報収集を行う
- 転職先が決まってから退職する
以下の詳細を確認し、転職活動を進める際の参考にしてください。
職場を変えるか介護職を辞めるかを明確にする
現在の状況をふまえて、同じ介護業界で職場を変えるのか、別の職種に転職するのかを見極めましょう。
正しい判断を行うためには、自己を客観的に見つめ直し、能力や避けたいことを考慮する必要があります。
また将来の自分を見据えながら、キャリアプランを練ることも重要です。
ただし、介護職での疲労や精神的な負担が大きい場合には、転職活動を進める前にしばらく休養することも検討しましょう。
転職先に求める条件に優先順位をつける
転職を考える際には、次の職場に求める条件に優先順位をつけましょう。
譲れない条件を明確にすると、転職後のミスマッチを防ぎやすくなります。
例えば、ご家族との時間の増加を望む場合には、休日や雇用形態に重点を置いて転職先を探すことがおすすめです。
体力的な負担を軽減したい場合には、デスクワークなどの身体に負担が少ない仕事を探すのが賢明でしょう。
自分にベストな働き方を見つけるために、譲れないポイントを明確に把握しておきましょう。
徹底した情報収集を行う
転職先の情報を徹底的に調査することは、希望に合った職場を見つけるために不可欠です。
求人情報だけではわからないデータを収集するためには、転職先のホームページやSNSをチェックしたり、実際に働いている人に話を聞いたりするなどの方法があります。
また、転職サイトや転職エージェントを活用すると、転職先の情報を教えてもらえる可能性もあります。
入念な情報収集により転職先をしっかり理解すると、理想的な職場が見つかりやすくなるでしょう。
転職先が決まってから退職する
転職活動を成功に導くためには、現在の仕事を辞めるタイミングにも注意が必要です。
退職してからすぐに転職先が決まる保証はなく、転職活動が長期化する可能性があるためです。
退職後に収入面の不安から妥協して転職先を決めてしまうと、結果的に新たな不満を抱え、再び転職を考えざるを得ないケースも発生します。
後悔のない転職を実現するためには、働きながらじっくりと転職先を探すのがベストです。
介護職を辞めたい人が転職しやすい他職種の仕事
介護職を続ける決断をした場合には、同じ職種でより働きやすい環境を求めて転職先を探すのも選択肢の一つです。
一方で、介護職から離れて新たな仕事にチャレンジする場合には、以下のような仕事がおすすめです。
- 保育士・保育補助
- 介護ドライバー・介護タクシー
- 接客・サービス業
- 事務職
- 製造業
それぞれの仕事の特徴を理解しながら、自分にベストな職業を見つけましょう。
保育士・保育補助
介護職から転職しやすい仕事に、保育士・保育補助が挙げられます。
保育士は、遊びや体験を通して乳幼児の成長を促す仕事です。
保育士は資格が必要ですが、保育士のサポートを行う保育補助は無資格でも就労できます。
保育士や保育補助は、夜勤や深夜勤務などがないケースが一般的で、介護の仕事に比べて生活リズムが乱されづらいのがメリットです。
さらに介護福祉士の資格を保有していると、保育士の試験科目が一部免除される制度もあるので、新たな資格取得を検討するのも良いでしょう。
介護ドライバー・介護タクシー
介護ドライバーや介護タクシーなどは、介護の経験が活かしやすい職種の一つです。
介護ドライバーは、介護施設で利用者さんと自宅の間を送迎するドライバーを指し、普通免許があれば就労できます。
介護タクシーは高齢者や身体の不自由な人が利用できるタクシーのことで、運転するには普通自動車二種免許と介護職員初任者研修の取得が必要です。
接客・サービス業
人と接する仕事を続けたい方には、接客・サービス業もおすすめです。
飲食店のホールスタッフ、スーパーやショップのスタッフなど多様な就業先があり、未経験でもチャレンジしやすいのが特徴です。
また介護や福祉に関連する営業職では、介護の経験が強みとなり、採用に有利に働く可能性があります。
介護職で培ったコミュニケーション能力や提案力などを活かして活躍したい方に向いているといえます。
事務職
身体への負担を軽減したい方や、細かい作業が苦にならない方は、事務職への転職も検討しましょう。
事務の仕事は一般事務や営業事務、経理など多岐に渡るため、幅広い求人が期待できます。
また、介護事務や医療事務は、介護職の経験を活かしやすいと考えられます。
日勤のみの事務職であれば、規則正しい生活を送りやすいでしょう。
製造業
人間関係に疲れた、人とのコミュニケーションを避けたいなどと考える方には、製造業が向いています。
製造業は、部品や原材料の加工・組み立てを行い、製品の製造や販売を行う仕事です。
一人で黙々と作業するのが好きな方や、単純作業が苦にならない方に適しています。
未経験でも就労しやすく、仕事を通して専門知識を身につけられれば、昇進や昇給も期待できるでしょう。
介護職を辞めたい気持ちと向き合い自分に合った解決策を見つけよう
介護職を辞めたいと感じた場合には、安易な決断は避けて冷静に状況を分析し、悔いのない選択をする必要があります。
介護の仕事に行きたくないと感じたら、まず理由を書き出す、信頼できる人に相談するなどの対処法をとることで、退職を避けられる可能性もあります。
現在の職場では自分の悩みを解決できないのであれば、職場の変更や他の職種への転職を検討しても良いでしょう。
本記事で紹介した対処法や転職のコツを参考に、自分にとって最善の解決策を見つけてください。