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歯科レセプトとは?業務の流れや取得しておきたい資格を紹介

この記事の監修者
Naomi(Nao32)
【資格】
歯科医師

【プロフィール文】
歯科医師国家試験合格後、歯科医師臨床研修終了。
都内審美歯科医院や小児歯科医院勤務。
現在は歯科医師、歯科WEBライター・編集

歯科医療の現場におけるレセプトは、医療費を回収し、自院を運営するために重要な役割を担っています。
レセプト業務は、主に歯科助手や医療事務スタッフの仕事となり、正確な作成・点検スキルとともに、医療保険制度をはじめとした歯科医療に関する幅広い知識が必要です。

本記事では、歯科レセプト業務の基本的な流れや正確かつスムーズに進めるためのポイント、役立つ資格などを紹介します。
歯科医院や歯科クリニックで働く方はもちろん、医療事務の仕事に興味がある方も、ぜひ参考にしてみてください。

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歯科レセプトとは?

歯科レセプトとは?

歯科レセプトとは、歯科治療を行った歯科医院・クリニックで作成される診療報酬明細書のことです。
健康保険組合などの保険者に医療費を請求するために使用され、通常は院内スタッフが事務作業の一環として作成します。
歯科レセプトの主な記載項目は、以下のとおりです。

  • 患者さんの基本情報
  • 施設情報
  • 薬剤情報
  • 診療内容
  • 傷病情報
  • 保険医療材料
  • 診療報酬点数

これらの情報を正確に記録し提出することで、医療機関は報酬である医療費を受け取れます。

歯科レセプト業務の流れ

歯科レセプト業務は次のような手順で進められ、いずれも健全な施設運営に欠かせない工程です。

  1. 必要情報を入力
  2. レセプトの作成
  3. ミスがないかを調べる
  4. 医師による最終チェック
  5. 審査支払機関へ提出

歯科レセプト業務の基本的なやり方を、各工程の注意点とともに見てみましょう。

必要情報を入力

レセプト業務は、必要情報の入力から始まります。
患者さんの基本情報、診療内容、使用した薬剤などを正確に記録しましょう。

歯科診療所のレセプト提出期限は、翌月10日までです。
期限直前の業務負担を軽減するためにも、診療後すぐに情報入力を完了させておくと、スムーズにレセプトの作成を進められるでしょう。

入力ミスや情報の欠落があった場合、医療費の受け取りが遅れたり、適切に支払われなかったりなど、歯科医院の経営に影響を与えかねません。
診療終了後すぐに情報を入力する習慣をつけると、レセプト作成・点検に余裕を持って取り組みやすくなります。

レセプトの作成

レセプト作成は、前述したとおり翌月10日までに行われます。
レセプトに必要な項目は、患者さん一人ひとりの基本情報や1ヵ月分の薬剤情報、診療情報などです。
この際、以下3つのポイントを念頭に置いておきましょう。

  • 患者さんが加入している保険者が治療を受けた月内に切り替わった場合、保険者ごとにレセプトを作成する
  • レセプトの作成には鉛筆やシャープペンシルを使用しない
  • 審査支払機関には、電子媒体を用いて電子データで提出するか、インターネットを利用してオンラインで提出する

以上のルールを守り、適切にレセプトを作成する必要があります。

ミスがないかを調べる

作成したレセプトの提出前には、入念なチェック作業が欠かせません。
診療内容の入力ミスや請求金額の誤りなどがあると、返戻の原因になります。
返戻によって医療費の回収が遅れたり、正しく回収できなかったりなどの事態を避けるためにも、間違いや不備がないよう複数人でチェックすると良いでしょう。

高額な治療に関するレセプトは、大きな金額が動くぶん、ミスが発生した場合に医療機関へ与える影響も相当のものになります。
レセプトのチェックリストを作成し、複数人で確認作業を行うほか、過去の返戻事例を参考に、よくあるミスのパターンを把握するなどの対策を講じることが重要です。

医師による最終チェック

レセプト確認の最終段階で、歯科医師にも目を通してもらう必要があります。
医師は、保険医療機関及び保険医療養担当規則第23条の2(適正な費用の請求の確保)の定めにより、自身が行った診療に対して、適正な医療費が回収できるよう努めなければなりません。

レセプト作成を行った医療スタッフも、入力内容に不安がある場合や、診療内容と請求内容の整合性に疑問を感じたときには、きちんと医師から確認をとりましょう。
修正後、あらためて医師にチェックを依頼し、レセプトを完成させます。

審査支払機関へ提出

完成したレセプトは、審査支払機関へ提出します。
審査支払機関とは、主に以下の3つの役割を果たす機関のことです。

  • レセプトの審査
  • 保険者へ診療報酬の請求
  • 医療機関へ医療費支払

治療月の翌月10日の提出期限に間に合わなかった場合、「月遅れ分」の扱いで翌月に請求する形となり、医療機関の利益回収にも遅れが生じてしまうでしょう。
また、審査によってレセプトに不備が見つかると、返戻・保留となる可能性があります。
返戻されたレセプトは修正後に再請求できますが、こちらも月遅れ分同様に、診療報酬の支払いが1ヵ月以上遅れる点に注意が必要です。

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レセコンを導入して歯科レセプトを効率化

多くの歯科医院や歯科クリニックでは、レセプトコンピューター(レセコン)を導入しています。
レセコンとは、患者さんの診療情報などを電子データとして正確に記録し、1ヵ月分の診療報酬点を自動的に計算してくれるソフトです。
レセコンを使用することで、レセプトを迅速かつ正確に作成できるため、受付業務や事務作業の負担軽減につながります。

電子カルテと連携したレセコンの場合、患者さんの情報が電子カルテから自動的に反映され、入力漏れや誤入力を防ぎやすくなるのがメリットです。
診療報酬の計算も自動で行ってくれるため、作業の正確性が医療スタッフの熟練度に左右されにくくなり、レセプト業務の効率化を実現できるでしょう。

歯科レセプト業務を行う場合に取得しておきたい資格

歯科レセプト業務に対応するには、専門的な知識とスキルが求められます。
歯科助手や医療事務の方がレセプト能力の向上をめざすうえで、以下のような資格の取得も視野に入れてみましょう。

  • 歯科 医療事務管理士技能認定試験
  • 歯科助手資格認定制度

資格取得によって実務スキルを磨けるだけでなく、一定の専門性を身につけた証明となり、就職・転職時やキャリアアップを考えた際にも有効活用できます。
各資格の特徴をふまえて、自分に合ったレベル・内容のものを検討してみてください。

歯科 医療事務管理士®技能認定試験

歯科 医療事務管理士®技能認定試験は、株式会社技能認定振興協会(JSMA)が主催する、歯科領域における医療事務管理士の資格認定試験です。
合格によって、医療保険制度や歯科医療に関する専門知識を身につけ、レセプト作成、カルテ管理、窓口業務まで幅広く対応できることの証明になります。
例えば、次に当てはまる方は同資格の取得を考えてみましょう。

  • 資格を活かして就職・転職先の選択肢を増やしたい方
  • 資格取得を通して実践的なスキルを磨きたい方
  • 業界での認知度を重視して資格を選びたい方

レセプトの作成・点検を行う実技試験も実施されるため、医療事務の経験をある程度積み、レセプト能力の向上をめざしている方にも適しています。

歯科助手資格認定制度

日本歯科医師会が運営する歯科助手資格認定制度は、歯科医療の円滑な提供に貢献する歯科助手の育成・資質向上を目的とした資格です。
乙種第一、乙種第二、甲種の3つのレベルに分かれており、都道府県の歯科医師会が開催する講習会の受講が基本の認定ルートになります。
各レベルの認定要件は、以下のとおりです。

  • 乙種第一:主に診療室内で働く方が、52時間以上の訓練を修了する
  • 乙種第二:主に事務職に従事する方が、40時間の訓練を修了する
  • 甲種:420時間以上の訓練を修了する、あるいは甲種歯科助手の資格で3年以上の業務経験を積んだ方が補充研修訓練基準による訓練を修了する

歯科医院で働く歯科事務の基礎から実践までを学びたい方はもちろん、歯科助手の方がスキルアップをめざすときにも挑戦できる資格です。

歯科レセプトを作成する際の注意点

歯科レセプトの作成は、医療機関の運営を支える重要な業務であり、正確性が求められます。

提出後のレセプトに不備が見つかった場合、保険者から返戻される可能性があります。
返戻されたレセプトは、修正や再確認の手順を踏んであらためて請求する必要があり、追加作業の発生によって医療スタッフの負担が増してしまうでしょう。

また、返戻分の医療費は、再請求の処理が完了するまで支払われず、歯科診療所の経営にも影響を及ぼしかねません。
レセプトの返戻を発生させないための対策は必要不可欠です。

診療内容や傷病名の整合性のほか、患者さんの氏名、性別、保険証などの基本情報も毎回きちんと点検し、不明点はきちんと医師に確認をとりましょう。
チェックリストの活用やレセコンの導入も、レセプトの正確性を維持するのに役立ちます。

歯科レセプトの業務の流れや取得しておきたい資格を知って参考にしよう

歯科レセプトの作成・提出は、医療機関の運営を支える重要な業務です。
主に医療事務や歯科助手などがレセプト業務に携わり、必要情報の入力、点検、そして医師による最終確認の段階を経て、審査支払機関へ提出されます。
現在はレセコンを導入している医療機関も多く、レセプト業務は効率化が進んでいる一方で、提出前の目視による点検作業は欠かせません。

歯科レセプトの点検を含め、業務への理解を深めるには、資格の取得も視野に入れてみましょう。
歯科 医療事務管理士や歯科助手資格認定制度など、歯科レセプトに関連する資格は複数あります。
自分に合った資格に挑戦しながら専門性を磨き、レセプト能力の向上をめざしてみてください。

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