医療系の仕事として人気が高い医療ソーシャルワーカー。
「医療ソーシャルワーカーとして働きたけれど、どのような人が向いていのだろう?」と疑問に思っていませんか?
また、どうしたら医療ソーシャルワーカーになれるのかを知りたい方も多いでしょう。
この記事では、医療ソーシャルワーカーに必要な適正や向いている人の特徴、さらに、医療ソーシャルワーカーとして働くために必要な資格までわかりやすく解説します。
目次
医療ソーシャルワーカーに向いている人
患者さんが安心して社会復帰できるよう支える医療ソーシャルワーカー。
非常にやりがいがある仕事ですが、その一方で、キツイ、大変という声もあります。
医療ソーシャルワーカーは、どのような人に向いている職業なのでしょうか。
具体的には、次のような特性がある人は医療ソーシャルワーカーに向いているといわれています。
- 人と関わることが好き
- 相手の目線で考えられる
- 気配りができる
- 責任感が強い
一つずつ見ていきましょう。
人と関わることが好き
医療ソーシャルワーカーの仕事は、患者さんやそのご家族の悩みをヒアリングし、問題解決に導いていくことです。
そのため、人と関わることが好きで、どのような性格の人でも抵抗なく受け入れる能力が求められます。
また、困っている人を放っておけない人も、医療ソーシャルワーカーに向いているといえるでしょう。
社会貢献したい、困っている人の手助けをしたいという気持ちは、医療ソーシャルワーカーとして働くうえでの原動力になります。
関係する機関や行政と連携して支援する機会も多いため、コミュニケーション能力も必要です。
相手の目線で考えられる
医療ソーシャルワーカーがサポートする患者さんには、重い病気の人や、人生に希望を失くしている人など、さまざまな状況の人がいます。
医療ソーシャルワーカーは、相手の立場になって物事を考え、問題を解決に導かなければなりません。
解決策を提案するだけではなく、相手の気持ちを理解して寄り添うことが大切です。
まず、患者さんが何を望んでいるのか、何が一番相手に必要なのかを把握します。
そのうえで患者さんの利用できそうな制度を伝え、アドバイスを行い、問題解決に導いていくスキルが求められます。
気配りができる
気配りができる人も医療ソーシャルワーカーに向いています。
患者さんのなかには話すことが困難な人や苦手な人もいます。
そんなときは、患者さんの小さな変化に気がついて、悩みや不安の解消を手助けしなければなりません。
表情や行動から気持ちを察する能力、いわゆる観察眼があると、相手との信頼関係を築きやすくなります。
責任感が強い
患者さんが適切な医療や福祉制度を利用できるかどうかは、医療ソーシャルワーカーにかかっています。
そのため、医療ソーシャルワーカーは責任感の強さも求められます。
「目の前にいる患者さんをサポートができるのは自分だけだ!」という強い責任感を持ち、率先して行動を起こせる人は、医療ソーシャルワーカーに向いているでしょう。
医療ソーシャルワーカーに向いていない人
医療ソーシャルワーカーになりたいという気持ちが強ければ強いほど、自分が医療ソーシャルワーカーに向いていなかったらどうしようと不安になるものでしょう。
医療ソーシャルワーカーに向いていないのは、次のような特徴を持つ人です。
- 他人に興味がない
- チームワークが苦手
- 柔軟性がない
- 口が軽い
他人に興味がない
医療ソーシャルワーカーは、患者さんやそのご家族だけではなく、病院・福祉施設のスタッフなど、多くの人と関わります。
そのため、他人に興味がない人は医療ソーシャルワーカーにあまり向いていません。
特に、患者さんに寄り添う気持ちが大切なので、人と話すことが苦手だったり、人のために何かすることが苦痛に感じたりする人は難しい職業でしょう。
無理に人を好きになる必要はありませんが、患者さんに興味を持てることや、患者さんの気持ちに寄り添って考えられる力は必要です。
チームワークが苦手
医療ソーシャルワーカーは、行政や福祉施設、病院といった関連施設のスタッフとチームで仕事を行います。
事務作業など一人で行う仕事もありますが、誰とも関わらずに作業をするわけではありません。
他の人との情報共有が欠かせない仕事なので、チームワークが大切です。
チームワークが苦手だと感じている人も、経験不足が原因であれば、経験を積むことで改善されていく可能性もあります。
柔軟性がない
柔軟性がない人も医療ソーシャルワーカーには向かないでしょう。
医療ソーシャルワーカーは、患者さんの状況によってさまざまな対応を求められ、ときにはイレギュラーな対応をしなくてはならないこともあります。
そんなときに、自分のやり方に固執し、患者さんの気持ちに寄り添えず、自分の意見を押し付けてしまうとトラブルの原因になります。
自分に柔軟性がないという自覚がある場合は、少しずつ物事を柔軟に考えるようにしましょう。
世の中にはさまざまな意見を持つ人がいると理解するだけでも、思考の癖に変化が出てくるのでおすすめです。
口が軽い
医療ソーシャルワーカーは、患者さんの状況を把握するために個人情報を扱います。
当然のことながら、患者さんのプライバシーに関する内容を勝手に口外するのは厳禁です。
しかし、仕事に慣れていくうちに「これくらいは問題ない」「ここだけの話……」などと、つい軽い気持ちで他人に話してしまう人もいるようですが、それは大きな問題です。
医療ソーシャルワーカーは常に患者さんの人権を尊重し、強い責任感を持って行動しなければなりません。
医療ソーシャルワーカーになるために必要な資格やスキルを解説
医療ソーシャルワーカーになるためには、具体的に何が必要なのでしょうか。
ここでは、持っているとよい資格やスキルについて解説します。
医療ソーシャルワーカーになるために持っているとよい資格
医療ソーシャルワーカーは資格がなくても働ける仕事です。
しかし、多くの医療機関では社会福祉士や精神保健福祉士の国家資格が必須になっています。
ここでは、社会福祉士と精神保健福祉士の仕事内容や受験のルートをみていきましょう。
社会福祉士
社会福祉士は、社会福祉に関する悩みを抱える人をサポートします。
例えば、介護や障害、児童虐待、生活保護などが当てはまります。
国家試験である社会福祉士を受験するためには、以下のルートがあります。
■福祉系大学・短大で指定科目を履修するルート
・保健福祉系大学等(4年)+指定科目履修
・保健福祉系短大等(3年)+指定科目履修+相談援助実務(1年)
・保健福祉系短大等(2年)+指定科目履修+相談援助実務(2年)
■短期養成施設ルート
・福祉系大学等(4年)+基礎科目履修+短期養成施設等(6ヵ月)
・福祉系短大等(3年)+基礎科目履修+相談援助実務(1年)
・福祉系短大等(2年)+基礎科目履修+相談援助実務(2年)+短期養成施設等(6ヵ月)
・社会福祉主事養成機関+相談援助実務(2年)+短期養成施設等(6ヵ月)
・児童福祉司/身体障害者福祉司/査察指導員/知的障害者福祉司/老人福祉指導主事の実務(4年)+短期養成施設等(6ヵ月)
■一般養成施設ルート
・一般大学等(4年)+一般養成施設等(1年)
・一般短大等(3年)+相談援助実務(1年)+一般養成施設等(1年)
・一般短大等(2年)+相談援助実務(2年)+一般養成施設等(1年)
・相談援助実務(4年)+一般養成施設等(1年)
(参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「社会福祉士国家試験」)
精神保健福祉士
精神保健福祉士は、心の病を抱える人をサポートします。
精神病院やクリニックなどでカウンセリングを行う場合は、精神保健福祉士の資格が条件になっていることが多いです。
国家試験である精神保健福祉士を受験するためには、以下のルートがあります。
■保健福祉系大学・短大で指定科目を履修するルート
・保健福祉系大学等(4年)+指定科目履修
・保健福祉系短大等(3年)+指定科目履修+相談援助実務(1年)
・保健福祉系短大等(2年)+指定科目履修+相談援助実務(2年)
■短期養成施設ルート
・福祉系大学等(4年)+基礎科目履修+短期養成施設等(6ヵ月)
・福祉系短大等(3年)+基礎科目履修+相談援助実務等(1年)
・福祉系短大等(2年)+基礎科目履修+相談援助実務等(2年)+短期養成施設等(6ヵ月)
・社会福祉士登録者+短期養成施設等(6ヵ月)
■一般養成施設ルート
・一般大学等(4年)+一般養成施設等
・一般短大等(3年)+相談援助実務(1年)+一般養成施設等(1年)
・一般短大等(2年)+相談援助実務(2年)+一般養成施設等(1年)
・相談援助実務(4年)+一般養成施設等(1年)
(参考:公益財団法人社会福祉振興・試験センター「精神保健福祉士国家試験」)
医療ソーシャルワーカーに必要なスキル
医療ソーシャルワーカーに必要なスキルは、主に以下の3つです。
- コミュニケーション能力
- 臨機応変に対応できる能力
- マルチタスクができる能力
医療ソーシャルワーカーに向いている人の特徴とも共通しているといえますね。
では、一つずつみていきましょう。
コミュニケーション能力
医療ソーシャルワーカーは、患者さんやそのご家族と信頼関係を築いていかなければならないため、コミュニケーション能力を求められます。
相手の気持ちに寄り添いながら、会話のキャッチボールが自然にできるスキルがあるとよいでしょう。
医療ソーシャルワーカーは、患者さんが理解できるように社会制度や福祉のサービスを説明しなければなりません。
また、チームスタッフに対して、患者さんの情報を常に共有する必要があります。
コミュニケーション能力に加えて、物事をわかりやすく説明できることも、医療ソーシャルワーカーとして求められるスキルです。
臨機応変に対応できる能力
医療ソーシャルワーカーは、いつも決まった仕事をするわけではないため、どのようなときも臨機応変に対応できるスキルが求められます。
それぞれの患者さんにとって最適なサポートを考え、状況に合わせて物事を解決していく必要があるからです。
医療ソーシャルワーカーの仕事は、マニュアル通りに進めるだけではないと覚えておくとよいでしょう。
マルチタスクができる能力
医療ソーシャルワーカーの仕事は、相談業務・入退院の日程調整・事務手続き・病院内での情報共有・他機関とのやりとり・電話対応・患者さんやそのご家族との面談など、多岐にわたります。
また、複数の患者さんのサポートを同時並行で行うため、複数の業務を並行して行うマルチタスクのスキルが求められます。
とはいえ、最初からすべての仕事をしなければならないわけではないので、安心してくださいね。
医療ソーシャルワーカーに求められているスキルを理解しよう
この記事では、医療ソーシャルワーカーに必要な適正や向いている人、資格などをご紹介しました。
自分が医療ソーシャルワーカーに向いていないと感じても諦める必要はありません。
経験やスキルを積むなかで、適性を身につけていくことは不可能ではないからです。
医療ソーシャルワーカーに求められているスキルを理解し、強い気持ちを持って自分を変えていこうとすれば、「向いていない」という壁はきっと乗り越えられるはずです。