
助産師のキャリアアップを支援する制度に、「アドバンス助産師」があります。
この記事では、アドバンス助産師の定義や認定方法、取得のメリットについて詳しく解説します。
助産師としてのスキルアップをめざす方や、キャリアパスを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
アドバンス助産師とは
アドバンス助産師は、CLoCMiP(助産実践能力習熟段階:クリニカルラダー)でレベルIIIの認証を受けた助産師のことを指します。
CLoCMiPは、助産師が自己成長していくためのツールとして活用されているものです。
このクリニカルラダーは、助産師のスキルに合わせて新人からレベルⅣまでの5段階に分かれています。
アドバンス助産師は、レベルⅢ相当のスキルを証明するために認定を受けた助産師です。
一般的に、レベルⅢとして想定されているのは、5〜7年程度の経験年数を持つ助産師です。
アドバンス助産師の認定を受けることで、自身の能力を客観的に評価し、さらなる成長につなげることができます。

アドバンス助産師の仕事内容
アドバンス助産師として認定されても、基本的な仕事内容は通常の助産師と変わりません。
しかし、クリニカルラダーのレベルⅢに相当する知識やスキルがあることが証明されているため、より高度な業務の実践が求められるでしょう。
具体的には、以下のような業務が期待されます。
- 褥婦・新生児の個別性を考慮したケアを自立して実践すること
- 他の助産師に対して指導的な役割を担うこと
- チーム医療において中心的な役割を果たすこと
- 複雑なケースにも適切に対応できること
アドバンス助産師は、これらの業務を通じて、医療機関や地域における母子保健の質の向上に貢献します。
また、後進の育成にも携わることで、助産師全体のスキルアップにも寄与しているのです。
アドバンス助産師になるには
アドバンス助産師の認定を受けるためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
ここでは、申請対象者の条件や申請要件、認定までの流れについて詳しく説明します。
申請対象
アドバンス助産師の申請対象者は、以下の3点を満たす助産師です。
- 満5年以上の実践経験を有する日本国助産師資格保持者であること
- CLoCMiPレベルⅢ認証新規申請要件をすべて満たしていること
- 過去にCLoCMiPレベルⅢ認証取得経験がないこと
これらの条件を満たしていれば、アドバンス助産師の認定を申請できます。
経験年数や実績を積み重ねることが、アドバンス助産師への第一歩です。
申請要件
2024年度のアドバンス助産師申請要件は、以下の4点を満たしたうえで、勤務施設の承認を受けることです。
- 総合評価:B(以上)
- 必須研修:21項目×90分
- 実施例数:分娩介助、健康診査等を指定の例数以上実施
- 学術集会:指定学術集会に1回参加
これらの要件は、アドバンス助産師としての基本的な能力を担保するものです。
特に、必須研修や実施例数の要件は、実践的なスキルを身につけるうえで重要な役割を果たしています。
認定までの流れ
アドバンス助産師の認定を受けるまでの流れは、以下のとおりです。
- アドバンス助産師プラットフォームから申請手続きを行う(新規申請料:5万円)
- 書類審査を受ける
- 試験を受験する
- 認定結果の通知を受け取る
書類審査では、申請書類を通じて申請要件を満たしているかが確認されます。
試験では、アドバンス助産師として必要な知識やスキルが評価されます。
認証期間は5年間となっており、継続的なスキルアップのために定期的な更新が必要です。
この更新制度により、アドバンス助産師の質が保たれています。
アドバンス助産師になるメリット
アドバンス助産師の認定を受けることには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、キャリアアップの観点と、信頼獲得の観点から、そのメリットについて詳しく解説します。
助産師としてのキャリアアップにつながる
アドバンス助産師をめざすことは、助産師としてのキャリアアップに大きく貢献します。
資格取得のために必要な規定研修の受講や、一定例数以上の分娩経験を積むことで、助産師としてのスキルの向上が見込めるでしょう。
さらに、アドバンス助産師の資格は5年ごとの更新制であるため、継続的な学びが求められます。
定期的な研修受講や学会参加を通じて、最新の知識や技術を習得し続けることが可能です。
このような継続的な学習と実践の積み重ねが、助産師としての専門性を高め、キャリアの幅を広げることにつながります。
職場や患者さんからの信頼を得られる
アドバンス助産師の資格は、助産師としての一定のスキルがあることを客観的に証明できるものです。
そのため、職場の同僚や患者さんからの信頼を得やすくなります。また、転職をする際も有利です。
職場では、アドバンス助産師としての能力が認められることで、以下のような役割を担う機会が増えるでしょう。
- 他の助産師のロールモデルとなる
- 新人助産師の指導係を任される
- 複雑なケースの担当を任される
また、患者さんにとっても、アドバンス助産師の資格は安心感につながります。
高度な知識と技術を持つ助産師による丁寧な対応は、妊娠・出産・産後のケアにおいて大きな支えとなるのです。
アドバンス助産師をめざし、キャリアアップしよう
アドバンス助産師の認定制度は、助産師のスキルアップとキャリア形成を支援する重要な仕組みです。
この資格を取得することで、専門性の向上や信頼獲得につながり、より充実した助産師生活を送ることができます。
資格取得には一定の経験や研修が必要ですが、それらの過程自体が貴重な学びの機会となります。また、資格取得をめざすにあたり、日々の助産業務をモチベーションを保ちながら取り組むことができます。
助産師としての成長をめざす方は、アドバンス助産師認定を一つの目標として、日々の業務や学びに取り組んでみてはいかがでしょうか。