
近年、核家族世帯の増加や、育児不安を抱く母親の増加にともない、産後ケアの重要性が高まっています。
そのため、産後の母児を心身ともにサポートする助産師には、さらなるスキルアップが求められます。
本記事では、助産師が産後ケアに携わるために取得しておくと良い資格として、
- 産後ケアリスト
- 産後ケアエキスパート助産師
- アドバンス助産師
以上、3つの資格について紹介します。
これらの資格を取得することで、キャリアの幅が広がり、産後の母児に、より質の高いケアを提供できるようになります。
自身のスキルアップと母子への貢献のために、ぜひ資格取得を検討してみてください。
目次
助産師の産後ケアに役立つ資格
産後ケア分野で役立つ、3つの資格を紹介します。
資格名称 | 資格取得方法、費用など |
産後ケアリスト | 【資格取得方法】 ・通学 ・通信(e-ラーニング) いずれも選択可能 認定試験 【費用】 ・1級 1級になれば、商業活動ができ、プロの産後ケアリストとして活動できる。 |
産後ケアエキスパート助産師 | 【資格取得方法】 オンライン 【資格取得条件】 【費用】 |
アドバンス助産師(CLoCMiPレベルⅢ) | 【資格取得方法】 書類審査、試験 【資格取得条件】 【費用】 |
3つの資格は、それぞれ異なる特徴を持ちます。
以下に、詳しく解説します。
産後ケアリスト
産後ケアリストは、出産後の母親の心身をサポートする専門職です。
資格の概要
産後ケアリストは、単に身体的なケアを提供するだけでなく、育児や家庭の悩みを解決するプロフェッショナルとして活躍します。
資格取得後は、
- 産後ケアセンターでの勤務
- ママ向けのサロンの開催
- カウンセリング
など、働き方の幅が大きく広がります。
また、産後ケアリストの資格取得を通じて、産後の母親の考え方や気持ちに寄り添う姿勢を身につけることができ、ホスピタリティについても学ぶことができます。
産後ケアリスト2級では、産後ケアリストの基本的な概念と、産後の母親とのコミュニケーションスキルについて学習することができますが、この資格のみでは産後ケアリストとして商業活動は認められません。
しかし、日々の助産師業務に有用な知識やスキルが身につきます。
また、産後ケアリスト1級になると、プロとして商業活動が可能です。
資格の取得方法、費用
産後ケアリスト2級、1級ともに認定講座を受講し、試験に合格することで資格を取得できます。
産後ケアリスト2級は、受講に資格制限はなく、助産師に限らず誰でも受講できます。
なお、費用は、受講料が59,400円、合格時に36,300円です。
また、産後ケアリスト1級の講座を受講するためには、2級の取得が必要です。
費用は、受講料が242,000円、認定料が16,500円となっています。
このように、段階的に資格が取得できる仕組みになっているため、まず、2級から挑戦し、スキルを磨きながら1級をめざす方法がおすすめです。
産後ケアエキスパート助産師
産後ケアエキスパート助産師は、産前産後ケアに関わる実践にエキスパートとして関わり、活動する助産師のことです。
以前は「ハイリスク妊産婦サポートリーダー」と呼ばれていて、社会的問題を抱えるハイリスク妊産婦をサポートする人材を育成することが目的でした。
その後、「産後ケアエキスパート助産師」という名称に変更され、現在に至っています。
資格の概要
産後ケアエキスパート助産師の資格を取得することで、産前・産後に必要な幅広い知識や技術を身につけることができます。
オンライン講座を受講し、母子とそのご家族の安全・安心につながるスキルを磨くことができるのが特徴です。
資格の取得方法、費用
資格を取得するには、大阪府助産師会のサイトより申し込みを行います。
対象者は実務経験5年以上の助産師に限られており、経験を積んだ助産師のためのスキルアップ資格といえます。
申請料は、大阪府助産師会会員の場合は44,000円、非会員の場合は77,000円です。
全8回の講習を受講することで資格の認定を受けられますが、月に1回の開催であり、資格取得には8ヵ月ほどかかります。
オンライン研修でオンデマンド視聴も選択できるため、仕事と両立しながら学べるのが特徴です。
じっくりと学習を進めたい方や、現場での経験を持ちながら理論的な知識を深めたい方に適しています。
アドバンス助産師
アドバンス助産師は、一般財団法人日本助産評価機構が設けるCLoCMiP(クロックミップ)レベルIII認証制度によって認証された助産師のことを指します。
資格の概要
アドバンス助産師は、分娩介助や妊産褥婦の健康診査など、専門的な知識や技術を身につけた助産師をさします。
資格申請には、必須研修の受講や、分娩介助や健康診査を指定の例数以上経験すること、指定された学術集会に参加するなど、要件が細かく定められています。
また、申請にあたっては、自分が働いている施設での承認が必要です。
なお、5年ごとに資格の更新が必要になります。
資格の取得方法、費用
アドバンス助産師の資格を申請するためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
- 実践経験満5年以上かつ日本国助産師の資格保持者
- CLoCMiPレベルIII認証の新規申請要件を満たしている
- CLoCMiPレベルIII認証の取得経験がない
申請料は50,000円となっています。
各種研修の受講や助産ケア事例数など、申請要件が細かく決まっているため、例年4月上旬に発表される要綱とスケジュールを確認しておくことが大切です。
この資格は、助産師としての高度な専門性を証明するものであり、取得には綿密な準備と計画が必要です。
キャリアの集大成として、挑戦する価値のある資格といえるでしょう。
助産師が産後ケアの資格を活かせる職場
助産師が、産後ケアの資格を活かせる職場として、
- 病院、助産院
- 産後ケアセンター
- 助産院や産後ケアサロンを開業(個人事業主)
などがあります。
助産師が活躍できるフィールドは、医療機関だけではありません。
産後ケアの資格を取得したら、得た知識とスキルを活かせる職場を見つけることが大切です。
ここでは、産後ケアの資格を持つ助産師が、特に力を発揮できる職場について、3つ紹介します。
自身のキャリアプランに合わせて、最適な職場を選択してみてください。
病院・助産院
病院や助産院は、助産師にとって最も一般的な職場です。
ただ、産後ケアの知識を深めることで、産前産後の女性の変化や接し方について、より深く理解できるようになります。
これにより、母子はもちろん、ご家族にも、より一層寄り添ったケアを提供することが可能になるでしょう。
産後ケアセンター
近年、行政や民間が運営する産後ケアセンターが増加しています。
宿泊型施設なども登場し、産後ケアのニーズは高まる一方です。
今後も産後ケアセンターの増加が予想され、産後ケアの資格を持つ助産師の活躍の場が増えるでしょう。
個人事業主
産後ケアの資格を活かして、
自宅などでサロンや助産院を開業、運営したり、知識を活かしてセミナーを開催したりなど、個人事業主として活動できます。
また、産後の母親を対象とした在宅訪問や、地域での子育て支援活動を行うことも可能です。
自身の経験と専門知識を活かし、地域に根ざした産後ケアを提供することができます。
助産師に関する資格の追加取得で選択肢が広がる
助産師が産後ケアに携わるために取得すると良い資格として、産後ケアリスト、産後ケアエキスパート助産師、アドバンス助産師があります。
これらの資格を取得することで、単に知識やスキルを証明するだけでなく、母子への深い理解とサポート力を養うことができる他、助産師としてのキャリアの幅が広がります。
また、病院や助産院だけでなく、産後ケアセンターや個人事業主としての活動など、新たな職場で活躍することも可能です。
産後ケアの重要性が高まる現代社会において、これらの資格を持つ助産師の需要は今後さらに増加すると予想されます。
自身のキャリアアップと、より質の高い母子ケアを提供するために、ぜひ資格取得にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。