
鍼灸師と柔道整復師は、どちらも定年のない生涯活かせる医療系の国家資格です。
それぞれ治療できる症状やアプローチ方法などに違いがありますが、2つの資格を同時に取得すれば、より幅広い働き方を実現できます。
ただし、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンス取得には時間と費用がかかるため、計画的に学習を進めることが大切です。
本記事では、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスを取得する方法や、取得にかかる期間・費用について解説します。
より多くの患者さんのニーズに応えたいと考えている方やキャリアアップを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスとは
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスとは、はり師・きゅう師(鍼灸師)の国家試験と柔道整復師の国家試験の両方に合格し、2つの資格を取得することです。
これらの資格を同時に持っていれば、幅広い専門性を活かして患者さんの治療にあたれます。
鍼や灸を使ってツボを刺激する鍼灸の技術と、手技で急性外傷にアプローチする柔道整復の技術を組み合わせることで、より効果的な治療を提供できるでしょう。
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスを取得するメリット
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスには、次のようなメリットがあります。
- 施術の選択肢が広がる
- 活躍できる場面が増える
- 時間と学費を節約できる
- 就職で有利になる
- 独立開業の際に有利になる
順に詳しく見てみましょう。
施術の選択肢が広がる
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスを取得すると、施術の選択肢が広がります。
鍼灸術と柔道整復術は対処できる症状や治療方法が異なり、どちらか一方の資格のみだと、複合的な悩みを持つ患者さんに最善の施術を提案できない場合もあるでしょう。
しかし、2つの資格を同時に持っていれば、患者さんの状態や希望に合わせて、より良い施術を選択できるようになります。
鍼灸と柔道整復を組み合わせた幅広い施術を提案できることは、患者さんの満足度向上にもつながる大きな強みです。
活躍できる場面が増える
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスがあると、活躍の場を広げやすくなります。
例えば、スポーツの現場や高齢者と関わる介護福祉施設では、鍼灸師と柔道整復師それぞれの知識・技術を同時に役立てることが可能です。
介護施設の場合、高齢者の慢性痛に対する鍼灸治療と、転倒による打撲の応急処置の両方に対応できるようになるでしょう。
また、スポーツの現場では、コンディショニング維持や疲労回復など鍼灸師としての施術に加え、柔道整復師の専門性を活かしてケガの応急手当も行えます。
このように多様なニーズに対応できる人材として、より多くの場所で活躍をめざせるのがダブルライセンスの魅力です。
時間と学費を節約できる
鍼灸師と柔道整復師の資格取得を同時にめざす場合、教育を受ける学校やコースによっては、学費とともに時間の節約も可能です。
専門学校をはじめとした鍼灸師と柔道整復師の養成施設では、在学中に両方の国家試験合格をめざせるダブルライセンスコースを設けていることがあります。
こうしたコースを選択すれば、2つの資格を個別に取得するより短い期間で、効率良く学べるでしょう。
また、ダブルライセンスコースでは学費の減免制度を利用できる学校もあるため、金銭面の負担も抑えられます。
費用を節約しながら最短期間でダブルライセンスを獲得したい方は、鍼灸学科と柔道整復学科を同時に学べる学校を検討してみてください。
就職で有利になる
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンス保持は、就職・転職活動においても有利に働きます。
特に、就職先の選択肢が大幅に増やせるのが特徴です。
鍼灸院だけでなく、整骨院、接骨院、総合的な治療を行う医療施設など、より幅広い就業先を選択肢に加えられます。
これにより、自分の希望やキャリアプランに合った職場を見つけやすくなるでしょう。
所持する資格が多いぶん、就職・転職活動の際には、ダブルライセンスを取得した高い意欲や、即戦力になりうる人材としてアピールすることが可能です。
独立開業の際に有利になる
将来的に独立開業を考えている方の強い武器となるのが、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスです。
それぞれの資格の専門性を活かして、豊富な施術メニューを提供すれば、より多くの患者さんのニーズに対応できます。
鍼灸治療を希望する患者さんと整体・骨盤矯正を希望する患者さん、どちらにも対応できるぶん顧客獲得につなげやすいでしょう。
また、国家資格のダブルライセンスは、患者さんからの信頼度を高めるためにも効果的です。
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスを取得するには
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスを取得する手順には、以下2つが考えられます。
- ダブルライセンス支援制度がある専門学校で同時取得をめざす
- どちらかの資格を取得後、働きながらもう一方の資格取得をめざす
自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせて、最適な取得ルートを検討しましょう。
【同時取得】ダブルライセンス取得をめざせる専門学校に通う
鍼灸師と柔道整復師の資格取得を同時にめざすのであれば、ダブルライセンスコースなどの支援制度を備えた専門学校が選択肢になります。
鍼灸学科や柔道整復学科は大学・短大にもありますが、2つの資格取得を並行してめざせる養成機関は、主に専門学校です。
ダブルライセンスの支援制度がある専門学校は、重複する科目をまとめて学べるなど、効率的なカリキュラムが組まれています。
通常なら鍼灸師の資格取得まで3年、柔道整復師に3年で合計6年以上かかるところ、こうした制度を利用した場合、最短3年で両資格の国家試験に挑戦可能です。
また、専門学校のダブルライセンスコースは、学費の減免措置の対象となっているケースもあります。
鍼灸師と柔道整復師いずれの資格もまだ持っていない方にとって、経済的な負担を軽減しながら効率的に学べるのは大きなメリットです。
【一つずつ取得】夜間の専門学校に通う
鍼灸師と柔道整復師いずれかの資格をすでに取得している方や、現在の仕事を続けつつダブルライセンスをめざしたい方は、働きながら学校に通うという方法もあります。
日中に仕事をしている場合、夜間部のある専門学校だと通学しやすいでしょう。
退勤時間や休暇を調整しやすい職場なら、日中に授業が行われる大学や専門学校のコースでも問題はありません。
一方で、日中に働いている社会人の方などは、夕方から授業がスタートする夜間部のある学校を選んだほうが、仕事と学業を両立しやすくなります。
昼間部・夜間部ともに学べる内容は変わらないため、必要な教育を受けたのち国家試験に合格できれば、仕事を続けたままダブルライセンスを実現可能です。
ダブルライセンスを取得するまでの合計学習期間は長くなりますが、実務経験を積みながら学びを深められます。
また、収入を確保しながら通学できるため、経済的な負担を抑えられるのもメリットです。
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスは最短何年で取得できる?
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンス取得にかかる期間は、学習方法によって異なるものの、最短で3年です。
ダブルライセンス制度などを利用し、昼間部と夜間部で並行して教育を受ければ、早くて3年で両方の国家試験の受験資格を得られます。
効率的に学べる反面、はり師・きゅう師・柔道整復師の国家試験対策を同時に行わなければならないため、勉強時間が足りないと感じる方もいるかもしれません。
余裕を持って学びたい場合、国家試験の受験タイミングを1~2年ずらし、総学習期間4~5年でダブルライセンスをめざす方法もあります。
自分のライフスタイルを考慮して、通学や勉強時間に無理が生じないよう計画を立てましょう。
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンス取得にかかる学費
鍼灸師と柔道整復師の資格取得にかかる学費の目安は、以下のとおりです。
- 鍼灸師:420万〜710万円程度
- 柔道整復師:400万~710万円程度
これは、鍼灸師と柔道整復師の教育をそれぞれ異なる学校・時期などで受ける場合を想定した、卒業までにかかる学費です。
上述したとおり、2つの資格取得を同時にめざせる学校では、ダブルライセンス支援として学費の減免制度を用意しているところもあります。
授業料や入学金が一部あるいは全額免除される学校であれば、経済的な負担を抑えながらダブルライセンスをめざせるでしょう。
例えば、近畿医療専門学校では、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスをめざす方向けに、3年間で総額210万円を免除する優遇制度を用意しています。
学校によって制度の有無や減免額は異なるため、公式ホームページなどで情報を集めて、複数校を比較検討してみてください。
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンスのメリットや取得方法を知ろう
鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンス取得は、キャリアの幅を広げたい方にとって大きな強みになります。
患者さんの悩みに合わせて最適な施術を提案しやすくなるだけでなく、活躍場所の選択肢が増え、就職や独立開業の際にもアドバンテージを発揮するでしょう。
鍼灸師と柔道整復師の国家資格を受験するには、まず大学や短大、専門学校で教育を受ける必要があります。
ダブルライセンス支援制度のある専門学校で効率的に学習する方法のほか、日中働きながら夜間部に通学する方法など、自分のライフスタイルに合わせて学習を進めましょう。
最短ルートだと3年でダブルライセンスを実現できますが、じっくりと知識・技術を身につけたい方は4年以上かけて学習するのも一案です。
ダブルライセンス支援制度のある学校は、学費が一部免除されるケースもあります。
自身のライフスタイルや希望に合った学習環境で、鍼灸師と柔道整復師のダブルライセンス取得をめざしてみてください。