
看護師になるには看護師国家資格に合格し、国家資格を取得する必要があります。
国家試験は誰でも受けられるわけではなく、短大や専門学校、大学で規定科目を履修することが必須です。
近年は4年制大学に進学し、看護師をめざす人も増えました。
この記事では、看護師資格をとれる大学や、大学進学を経て看護師をめざすメリット・デメリット、大学を選ぶポイントなどを紹介します。
大学に進学して看護師をめざすことを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
看護師になるための大学は?
ここでは、看護師になるための大学について、どのような大学があるのか、どのような学部・学科があるのかをそれぞれ見ていきましょう。
看護師の大学
看護師になるための大学には、一般大学と医療系大学があります。
一般大学では、看護学部だけでなく経済学部や文学部といった、医療とは関係ない学部も併設されており、さまざまな学生と交流を持つことができます。
多様なサークル活動や部活動に参加し、キャンパスライフを充実させることができるのも一般大学の特徴です。
医療系大学では、多くの場合、看護学部のほかに医学部や薬学部といった医療に関係する学部が併設されています。
医療に特化した教育プログラムが組まれており、実習も多いため大学でも十分な実践力を養うことが可能です。
受験科目は理系で受けることが多いですが、なかには文系科目でも受験が可能な大学もあります。
学部・学科
看護師の大学の学部には、以下のようにいろいろな名称があります。
- 〇〇大学 看護学部 看護学科
- 〇〇大学 医学部 看護科
- 〇〇大学 健康科学部 看護学科
他にもありますが、取得できる正看護師という資格に変わりはありません。
しかし、看護学部ではない、医学部や健康科学部といった学部では、理学療法士や医師など、看護師以外の医療職を志す人たちとの交流が得られる場合があります。
看護師以外の医療職をめざす人たちと関わりを持つことで多様な視点を持てば、自分の視野を広げることにもつながるでしょう。
看護大学へ進学するメリット
看護師になるには大学進学は必須ではなく、短大や専門学校への進学を経ても可能です。
では、看護師をめざす人が、あえて4年制大学に進学するメリットは何なのでしょうか。
ここからは、看護大学へ進学するメリットとして、次の3つを紹介します。
- 看護師の知識を4年間で深められる
- 看護師以外の将来も考えられる
- 初任給や昇給条件が良い
それぞれ見ていきましょう。
看護師の知識を4年間で深められる
看護学生は忙しいという話を聞いたことがある人もいるかもしれません。
短い期間で国家試験に合格するための勉強をしなければならないのも、一つの理由でしょう。
4年制大学では3年制の短大や専門学校とは異なり、じっくりと時間をかけて学べるのがメリットです。
授業内容は大学によってさまざまですが、進化し続ける医療現場に対応できる実践能力を身につけることが可能です。
また、看護師に関連する勉強はもちろん、研究にも時間がかけられるため、結果として看護全般の知識が深まります。
大学卒業後に、さらに深い知識や技術を習得したい場合は、大学院への進学もめざせます。
一方で、4年制大学は、短大や専門学校に比べて1年長く勉強しなければなりません。
そのため、1日でも早く看護師として現場で働きたい人は短大や専門学校を選ぶと良いでしょう。
看護師以外の将来も考えられる
大学に通う場合、看護師だけでなく、保健師・助産師といった看護師以外の選択肢も広がります。
また、スケジュールにゆとりがあるため、一般教養まで幅広く学べる点もメリットです。
保健師・助産師の資格取得制度
専門学校では、取得できる資格が正看護師のみの場合が多いです。
したがって、保健師や助産師資格を取得するためには1年別途で学校に通う必要があります。
その点、大学では保健師・助産師の資格を取得できるコースが用意されています。
助産師のコースは定員が決まっている選抜制ですが、最初から正看護師以外の資格も視野に入れている方は、大学進学のほうが短期間で資格を取得できるでしょう。
ゆとりのあるスケジュールで一般教養も学べる
専門学校では、看護師に特化した内容を短期的に学ぶこととなり、短期間でスキルを身につけることができる反面、スケジュールは多忙になりがちです。
看護以外に目を向ける余裕はあまりないでしょう。
大学の場合は、4年間で看護師に必要な履修・実習を修了させます。
そのため、カリキュラムにゆとりがあり、看護の他にも、一般教養などを学ぶ機会もあります。
初任給や昇給条件が良い
3つ目のメリットとして、就職後の給与があげられます。
下記の図は、初任給の違いを表したものです。
大学卒 | 271,730円 |
短大・専門学校卒 | 263,711円 |
金額だけ見ると1万円程度の違いですが、賞与を含めた年収に換算すると10万円以上の差が生まれることになります。
看護大学へ進学するデメリット
看護大学への進学は、メリットばかりではありません。
では、看護大学へ進学するデメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここでは、次の2つのデメリットに着目します。
- 学費や経済面が高い
- 入試が難しい
学費や経済負担が高い
3年制の学校に比べると1年長く通うことになるため、4年制大学では学費が高くなる傾向です。
ただし、私立大学と国公立大学では学費に大きな差があり、選ぶ学校によっても経済面の負担は変わってきます。
看護学校では入学費用や授業料以外にも、実習服や教材費なども必要です。
そのため、想像以上にお金がかかる可能性があります。
まずは、入学前にしっかりと費用を確認しておきましょう。
もしも、学費が高すぎると感じる場合でも、諦める必要はありません。
学費に不安がある場合は、奨学金の利用も可能だからです。
例えば、独立行政法人の日本学生支援機構奨学金や、都道府県・市町村が運営する看護師等修学資金貸与事業などの公的な支援のほか、病院や大学などが独自の奨学金を設けているケースもあります。
奨学金については、ホームページなどをこまめにチェックをしてください。
入試が難しい
4年制の看護学部は、入試が難しいことが多いのもデメリットです。
看護学部は理系知識が求められる学部であり、数学と理科の基礎知識が欠かせません。
理系科目が苦手でも勉強しなければならないため、辛い人もいるでしょう。
また、学校によっては理系学科になっているため、志望する大学がどちらなのか確認し、必要な勉強をしておくことが必要になります。
もちろん短大や専門学校にも入試はありますが、看護大学に比べると倍率が低く受験問題の範囲が狭いため、難易度が低い傾向です。
看護系の大学は偏差値50を上回る大学も少なくなく、入試が難しい傾向です。
偏差値50とは、共通テストで6〜7割程度正解するレベルが目安になります。
例えば、MARCHと呼ばれる有名私立大学などは、8割程度が必要といわれています。
そこまでいかないとはいえ、6〜7割が十分に難しいことがよくわかるでしょう。
看護師の大学選びのポイント
大学進学をするにあたり、どの大学を選べば良いのかわからない方も多いでしょう。
ここからは、大学選択をするための基準について紹介します。
附属病院の有無
附属病院の有無は大学を選択するうえで大事なポイントです。
附属病院があれば、就職前に病院の実際の雰囲気が知れるため、就職後のイメージのミスマッチを防ぐことができます。
また、実際に働く看護師と交流ができるのも大きな特徴です。
他にも、就職が有利に働く可能性も高いため、とにかく就職時の不安を少なくしたいという方にもおすすめです。
実習先への通学期間
大学を受験する前に、実習が行われる病院を把握しておくことも大切です。
看護師になるためには、座学だけでなく看護実習も行わなければなりません。
実習は提携病院や附属病院で行うのが一般的ですが、稀に実習先が学校から遠い場合があります。
なかには、実習中のみマンスリーマンションなどを借りて実習に臨む人もいますが、実習中は課題の他にも勉強することがかなり多く、あまりにも長い通学時間は心身のストレスになりえるでしょう。
学費
上記で説明した通り、私立大学と国公立大学では学費に大きな差があります。
また、看護学生は授業料や入学費用だけでなく、実習服や教材費もかかることも忘れてはいけません。
また、学費に不安がある場合は、奨学金の利用を検討するのも良いでしょう。
独立行政法人の日本学生支援機構奨学金や、都道府県・市町村が運営する看護師等修学資金貸与事業などの公的な支援のほか、病院や大学などが独自の奨学金を設けているケースもあります。
ホームページなどで奨学金についての案内があるケースもあるため、気になる場合は確認してください。
大学院の有無
将来、専門看護師やNP看護師といった上位資格をとりたい方や、看護師の専門性をもっと高めたいという方は、大学院への進学も選択肢に入るでしょう。
選択する大学に大学院があれば、交流会などを通して自分の視野を広げることができ、研究意欲やモチベーションの向上にもつながります。
看護師を目指すなら大学進学を検討しよう
看護師になるためのルートは、4年制大学や専門学校や短期大学など多岐にわたります。
そのなかでも4年制大学では、看護知識だけではない一般教養も学べますし、ゆとりのあるカリキュラムのなかで人間力の高い看護師をめざすことができます。
また、大学院進学への進路も視野に入れられるのも魅力の一つです。
自分がどのような看護師になりたいかを考え、希望する学び方に合わせて進学先を選択してください。