
看護師が行える医療行為は、相対的医行為に限定されています。
相対的医行為とは、例えば注射や点滴などです。
反対に、看護師が行えない医療行為は絶対的医行為です。
絶対的医行為は、必ず医師が行わなければいけません。
この記事では、看護師が行える医療行為がどこまでかについて、詳しく解説します。
目次
看護師ができる医療行為の範囲
看護師は、相対的医行為が行えます。
相対的医行為とは、医師や歯科医師の管理・指示のもと、その能力を考慮した医療従事者に実施を託す医療行為のことです。
相対的医行為にあたる医療行為の例としては、以下があります。
- 注射・点滴・採血
- 導尿
注射・点滴・採血
注射・点滴・採血は、相対的医行為にあたり、看護師が実施できます。
これらの行為は、診断や病状把握に必要な診療の補助にあたり、看護師での対応が許されています。
注射・点滴・採血は比較的身体に与えるリスクが少ない医療行為ですが、稀に以下のような合併症が起きる場合があります。
- 内出血
- かゆみ・発疹
- 神経損傷による痛み・しびれ
- 血管迷走神経反応
穿刺後の止血が不十分だった場合に、内出血が起きる場合があります。
また、アレルギー症状としてかゆみ・発疹が出現することも少なくありません。
神経損傷の症状は、腕や手に広がる痛み・しびれです。
最後の血管迷走神経反応は、急激な血圧低下によってめまい・気分不快感・意識消失などが生じます。
導尿
導尿とは、膀胱内にカテーテルを挿入して排尿を助ける医療行為です。
自力での排尿が困難な人や、絶対安静が必要な患者さんに行います。
導尿の種類は、以下のとおりです。
- 持続的導尿(膀胱留置カテーテル)
- 間欠的導尿(清潔間欠自己導尿)
持続的導尿では膀胱内にカテーテルを留置し、間欠的導尿では一定時間ごとにカテーテルを尿道口に挿入して尿を排出します。
看護師ができない医療行為
看護師ができない医療行為は、以下のとおりです。
- 診断
- 処方
- 手術
上記の医療行為は看護師ができない絶対的医行為であり、必ず医師が行う必要があります。
次の項目からは、看護師ができない医療行為を具体的に解説します。
診断
診断は、看護師が行えない絶対的医行為です。
医師法第17条では「医師でなければ、医業をなしてはならない」と定められており、診断はこの医業にあたります。
違反した場合には、3年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金が課せられます。
医療における診断とは、診察・検査などで得られたデータから、病状の予測や治療に関する判断を行う行為です。
なお、問診は看護師などの医師以外の医療従事者も行えます。
問診は、医師の診断を手助けするために行われるためです。
処方
医療行為における処方は、絶対的医行為にあたります。
そのため、看護師は処方を行えません。
処方とは、医師が患者さんに必要な医薬品を選択する行為です。
加えて、医薬品の用法・用量や服用期間も医師が定めます。
手術
看護師は手術を行えません。
手術を行えるのは医師のみです。
なお、看護師が行えるのは手術助手であり、執刀医のサポートなどを行います。
手術助手を行う看護師に必要な資格は、看護師資格のみです。
特定行為看護師なら特定行為も可能
特定行為看護師の場合、相対的医行為とあわせて特定行為も行えます。
医療行為の特定行為とは、診療の補助にあたる行為です。
特定行為を行うには、高度な技術力と専門的な知識・技能が必要であり、指定研修機関で一定の研修を修了した看護師のみに認められます。
特定行為は38行為21区分があり、区分ごとに研修を受ける必要があります。
特定行為の21区分は、以下のとおりです。
- 呼吸器(気道確保に係るもの)関連
- 呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連
- 呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連
- 循環器関連
- 心嚢ドレーン管理関連
- 胸腔ドレーン管理関連
- 腹腔ドレーン管理関連
- ろう孔管理関連
- 栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連
- 栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連
- 創傷管理関連
- 創部ドレーン管理関連
- 動脈血液ガス分析関連
- 透析管理関連
- 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連
- 感染に係る薬剤投与関連
- 血糖コントロールに係る薬剤投与関連
- 術後疼痛管理関連
- 循環動態に係る薬剤投与関連
- 精神及び神経症状に係る薬剤投与関連
- 皮膚損傷に係る薬剤投与関連
参照:特定行為区分とは
看護師ができる医療行為には規定があるので注意が必要
この記事では、看護師が行える医療行為について解説しました。
看護師が行える医療行為は、相対的医行為に限られます。
絶対的医行為にあたる診断・処方・手術は医師のみが実施可能であり、看護師には行えません。
看護師ができる医療行為には規定があるので、注意しましょう。