薬剤師の業務にあたって、「薬剤師の知識を学べる本を知りたい」「若手でも読みやすい本に出会いたい」「職場別に学べる本を選びたい」などと思うことはありませんか。
薬剤師の知識を深めるためには、講演会や研修会へ参加したり、先輩や上司に質問したりするなど、さまざまな方法がありますが、本を読むこともおすすめです。
この記事では、薬剤師が薬学など業務に必要な知識を学ぶのにおすすめの本を16冊紹介しています。
薬剤師の業務全般におすすめの本だけでなく、若手薬剤師でもわかりやすい本や、病院や調剤薬局などの職場別に役立つ本も紹介しているので、参考にしてください。
目次
薬剤師におすすめの本5選
まずは、薬剤師業務全般におすすめの本を紹介します。
以下で紹介する書籍では、薬剤師に必要な基礎知識や最新の情報がまとめられているため、経験や職場に関わらず役立つでしょう。
基礎から学びたい新人薬剤師や、経験はあるものの情報や知識を再確認したい薬剤師などの、さまざまなニーズに応えられる本を選びました。
治療薬ハンドブック2022
https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/53692/Default.aspx
薬剤師に欠かせない同効薬の比較に役立つ本では、『治療薬ハンドブック2022』がおすすめです。
『治療薬ハンドブック2022』では、各薬の処方や薬理機序に関する情報が、「処方point」と「薬剤point」としてまとめられています。
それぞれの解説には添付文書+αの情報が記載され、同効薬を比較しながら学べます。
粉砕可否や簡易懸濁など、薬剤を扱う際の情報もわかりやすく記載されているため、調剤現場での疑問を確認する際にも役立つでしょう。
薬がみえる vol.4
https://www.byomie.com/products/kusumie4/
イラストや図解などで学びやすい本を探しているなら、『薬がみえる vol.4』がおすすめです。
『薬がみえる vol.4』は、薬の作用機序や薬物動態をわかりやすいイラストや図を用いて解説しています。
視覚的に学習できるため、文字だけの本に比べて理解しやすいでしょう。
また、『薬がみえる vol.4』にはアプリや追加Webコンテンツがあり、活用すれば学習内容をさらに定着させられます。
Webコンテンツでは、式の変形過程の解説を見たり、国家試験に沿った演習問題を解いたりでき、本を通して学んだ内容をさらに深めていけるでしょう。
治療薬マニュアル 2022
https://www.otakeshoten.jp/product/5
さまざまな薬に対する情報を幅広く得たい場合は、『治療薬マニュアル 2022』がおすすめです。
『治療薬マニュアル 2022』では、解熱・鎮痛・抗炎症薬などの身近な薬から、パーキンソン病/症候群治療薬などの難病に使われる薬まで、幅広く学べます。
全部で72項もの添付文書情報や臨床解説が用意され、麻薬や漢方薬の知識をも得ることも可能です。
また、2022年版では抗腫瘍薬や糖尿病治療薬などの新しい知見をもとに、後発医薬品に関する情報などの項目も新設されました。
年ごとに改訂される本書は、薬剤師におすすめの本のなかでも最新の情報に触れやすい一冊でしょう。
ポケット医薬品集 2022年版
http://www.nanzando.com/books/70601.php
出勤中や移動時間にも知識を身につけたいなら、『ポケット医薬品集 2022年版』がおすすめです。
『ポケット医薬品集 2022年版』には、最新の医薬品情報が網羅されています。
鞄に入れて持ち運びやすいB6サイズなので、通勤中や移動中などにも学習を進めやすいでしょう。
また、内容は、添付文書の解説に加え、薬の作用や薬剤選択などに関する知識も掲載されています。
2022年版の改訂では、2021年9月時点での新薬や後発品の内容が新たに盛り込まれているため、最新の情報も得られます。
妊娠と授乳 改訂3版
https://www.nanzando.com/products/detail/70233
『妊娠と授乳 改訂3版』は、妊娠や授乳期における薬物治療を学べる一冊です。
妊娠期における薬物治療の基本や妊婦・乳児の薬物動態などが掲載され、臨床で即戦力となる書籍として支持されています。
また、本書の特徴に、うつ病やインフルエンザ、糖尿病・脂質異常症など症例ごとに薬物治療がまとめられている点も挙げられます。
病状をもとに必要な薬学知識を学べるため、病気から必要な薬の処方を調べるなど、辞書のような使い方もできるでしょう。
若手薬剤師におすすめの基礎・基本が学べる本5選
若手薬剤師のなかには、もっとわかりやすく基礎の要点がまとめられた本が欲しいと思う人もいるかもしれません。
以下は、若手薬剤師におすすめの基礎・基本が学べる本を紹介します。
薬局で使える実践薬学
若手薬剤師が服薬指導を学べる本のうち、まずおすすめしたいのが『薬局で使える実践薬学』です。
本書では、調剤薬局業務で必要な、薬物動態や薬理学に関わる疑問を解消するプロセスが紹介されています。
若手薬剤師のケンシロウとあゆみさん、ユウさんという登場人物が、勉強会のなかで対話形式を通じて学んでいくスタイルで記載されているため、読みやすいと感じられるでしょう。
薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100
https://www.yodosha.co.jp/yodobook/book/9784758109390/
調剤薬局勤務で、各薬の違いを質問されて困った経験がある薬剤師もいるかもしれません。
類似薬物の比較を学びたい場合には、『薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100』がおすすめです。
本書は「第50回日本薬剤師会学術大会先行販売」で売上1位を達成しています。
約730点もの参考文献をもとに、類似薬の違いを解説しています。
具体的な類似薬の違いを学べるため、一読すればなぜ医師がその薬を処方したのかを理解できる手助けになるでしょう。
できる薬剤師とよばれるために 上手に使いたい薬学ナレッジ101
https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/54019/Default.aspx
現場でのトラブルや困りごとの解決策を学びたい場合には、『できる薬剤師とよばれるために 上手に使いたい薬学ナレッジ101』がおすすめです。
本書は調剤薬局に勤務する薬剤師に対して臨床で困ったことをアンケート調査し、実際の声をもとに執筆された一冊です。
具体的には以下のような疑問に対応しています。
- 素早く回答するための添付文書の読み方は?
- RMPの上手な使い方は?
- 一包化の際に注意すべきことは?
- 小児と成人で代謝酵素が違うものはある?
薬剤師であれば誰もが一度は抱くであろう101もの疑問に応える内容で、臨床の現場で抱えている疑問を解決する糸口にもなるでしょう。
現場での解決力を磨く知識が欲しい人には、特におすすめです。
誰も教えてくれなかった実践薬歴
https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/51155/Default.aspx
若手薬剤師には、特に薬歴に悩んでしまう人もいるかもしれません。
薬歴を基礎から学びたい場合には、『誰も教えてくれなかった実践薬歴』がおすすめです。
本書では、わかりにくい薬歴の基本的な書き方や考え方をはじめ、薬歴を通した薬学管理を学べます。
具体的には以下の章立てで構成されています。
- 第1章 薬歴とは
- 第2章 SOAP形式の薬歴がうまく書けない理由
- 第3章 薬歴は薬学を通して患者を理解するためのツールである
- 第4章 高齢者の薬学的管理
- 第5章 薬歴から学ぶ
薬歴に関する基本的な知識や書き方だけでなく、薬歴の必要性や実際の薬学的管理も学ぶことが可能です。
薬歴を学びたい人には、一読をおすすめします。
今日の治療薬2022
https://www.nankodo.co.jp/g/g9784524232116/
効能ごとの薬剤を学びたい場合は、『今日の治療薬2022』がおすすめです。
本書の特徴は、臨床で使われる医薬品を薬効群ごとに図を用いて解説している点です。
例えば、抗菌薬や抗ウイルス薬などの章は以下の内容で構成されています。
- 抗菌薬
- 抗ウイルス薬と抗ウイルス療法薬
- 抗真菌薬
- 抗寄生虫薬
- 予防接種用薬
- 消毒薬
薬効ごとにまとめられているため、例えばインフルエンザが流行しているときに抗ウイルス薬について学びたい場面などでも役立つでしょう。
さらに、最新版となる2022年版では、COVID-19ワクチンなどの情報も追加され、新しい情報にも触れられます。
【勤務場所別】薬剤師の勉強におすすめの本8選
薬剤師に必要な知識を付ける際には、勤務場所別におすすめの本も変わってきます。
薬剤師と一口にいっても、病院勤務なのか調剤薬局勤務なのかなど、勤務先によって必要な知識が違うケースもあるでしょう。
以下では、勤務場所別に薬剤師の勉強におすすめの本を8冊紹介します。
【病院で勤務する】薬剤師におすすめの本3選
まず、病院で勤務する薬剤師におすすめの本を3冊紹介します。
働く施設により違いはありますが、病院勤務の薬剤師は注射薬調剤や院内製剤調製など病院ならではの業務も行います。
場合によっては国内で認可を得ていない医薬品や試薬を調製することもあるため、専門的な知識も必要です。
以下で紹介する本は、病院で勤務する薬剤師の専門性を深める助けにもなるため、おすすめです。
病院薬剤師のためのスキルアップ×キャリアアップガイド
https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/53418/Default.aspx
病院薬剤師におすすめできる書籍に、『病院薬剤師のためのスキルアップ×キャリアアップガイド』が挙げられます。
本書は独立行政法人国立病院機構による国立病院機構薬剤師能力開発プログラムをもとに作成されました。
新人からベテランまでの5つのステージで、学んでおくべき知識や習得すべき技術のレベルを定め、達成すべき一般目標や行動目標が明記されています。
本書を読めば、病院薬剤師としてめざすレベルを把握でき、今の自分が学ぶべきことが明確になり、具体的な行動を取れるようになるでしょう。
薬剤師として、キャリアアップやスキルアップをめざすためにおすすめの一冊です。
服薬指導コンパクトブック 第2版
https://bookstore.tac-school.co.jp/book/detail/008839/
特定分野の調剤を学べる本では、『服薬指導コンパクトブック 第2版』もおすすめです。
本書は調剤薬局の薬剤師が服薬指導を学ぶために執筆された本です。
内分泌系に作用する薬剤や呼吸器系に作用する薬剤など、器官や科目ごとにまとめられているため、特定の科目に関わる知識を増やしたい病院勤務の薬剤師にも役立つでしょう。
病院勤務では内科や呼吸器科など、科目ごとに薬の処方を担当する場合もあるため、器官ごとに知識がまとめられている本書の利用をおすすめします。
腎機能別薬剤投与量 POCKET BOOK
https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/54484/Default.aspx
高齢の方や、腎機能が低下した方には、薬の投与量を減らすなどの措置が必要です。本書はそういった患者さんを対象としており、医師への処方提案の際に役立ちます。
非常に見やすく、腎機能別の至適用量に関する知識を身に付けることができるおすすめの一冊です。
【調剤薬局で勤務する】薬剤師におすすめの本3選
次に、調剤薬局で勤務する際に役立つおすすめの本を3選紹介します。
調剤薬局の薬剤師は、地域医療の担い手として患者さんに適切な服薬指導を行う必要もあります。
調剤薬局で働く際には、以下の2冊が役に立つでしょう。
現場で役立つ 薬局業務ガイドブック
https://bookplus.nikkei.com/atcl/catalog/21/282430/
初めて調剤薬局で働く薬剤師や経験の浅い薬剤師には、『現場で役立つ 薬局業務ガイドブック』が役立つでしょう。
本書の最大の特徴は、働くにあたって社会人のマナーから学べる点です。
調剤薬局で薬剤師として働く場合は、患者さんであっても顧客という部分もあるため、適切な言葉遣いや身だしなみが特に重要です。
本書では身だしなみや挨拶、言葉遣いをはじめ、電話対応など、今更聞けない社会人の基本を学べます。
もちろん、医療保険制度や調剤報酬の支払いの仕組みなど、業務に必要な知識も掲載されているため、調剤薬局勤務で働く前に一読しておきたい一冊です。
マンガでわかる薬剤師
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309279961/
トローチに穴が開いている理由など、薬のトリビアが学べる本が『マンガでわかる薬剤師』です。
本書は2019年医療マンガ大賞に選ばれた油沼さんが漫画を制作し、薬剤師のネーヤさんが原案と監修を担当しています。
イラストやストーリーで薬の知識を増やせるため、経験問わず理解しやすい内容になっています。
薬の細かな知識を楽しく学べる一冊です。
錠剤・カプセル剤粉砕ハンドブック 第8版
https://www.jiho.co.jp/shop/list/detail/tabid/272/pdid/52312/Default.aspx
調剤薬局では、嚥下困難な患者さんのため、錠剤の粉砕をしたり、カプセル剤を開けて粉薬として調剤したりすることもあります。
本書は粉砕した錠剤を混合して、一包化できるか、これは開けても良いカプセル剤なのかなどの判断の際に参考になります。
また、遮光して保存する必要があるのか、どのくらい持つのかなどの情報も書かれています。粉砕できない薬の場合、代替品も紹介されているため、一冊持っておくととても便利です。
【ドラッグストアで勤務する】薬剤師におすすめの本2選
最後に、ドラッグストアに勤務する薬剤師におすすめの本を紹介します。
ドラッグストアに法的な定義はありませんが、日本チェーンドラッグストア協会の公式ホームページでは以下のように記載されています。
ドラッグストアとは、健康と美容に関する提案と訴求を主とし、医薬品と化粧品を中心に、日用家庭用品、文房具、フィルム等の日用雑貨、食品を取り扱う店、と日本チェーンドラッグストア協会では考えています。
扱う医薬品は第1類から第3類までの一般用医薬品と要指導医薬品に限られますが、このうち第1類一般用医薬品と要指導医薬品の販売に際しては、薬剤師からの情報提供が必須です。
当然、病院や調剤薬局とは異なる知識が求められる場合もあるため、下記の2冊を参考にして知識を深めましょう。
薬剤師に求められる大切なこと 入門編
https://mediasion.co.jp/works/1662/
薬剤師としてドラッグストアで働き始めたとき、そもそも何から学んでいけば良いのかわからないと悩みを持つ人もいるかもしれません。
スキルアップの方法がわからない場合には、『薬剤師に求められる大切なこと 入門編』の一読がおすすめです。
本書は、規模の異なる調剤薬局で勤務してきた現役の薬剤師が執筆しており、薬剤師として活躍するための勉強方法を学べる本です。
仕事になじむコツや患者さんとのコミュニケーション方法など、薬剤師がつまずきやすい基礎的なポイントもまとめられています。
薬剤師の仕事の基礎や今後のスキルアップを学べるため、ドラッグストアで勤務する新人薬剤師にもおすすめできる一冊でしょう。
需要創造とソリューションを武器とする ドラッグストアの教科書
https://www.diamond.co.jp/book/9784478090640.html
たとえ薬剤師であっても、ドラッグストアで勤務するには店舗運営に関する知識も必要になる場面もあるかもしれません。
そのようなときに、心強い味方になってくれる書籍が『需要創造とソリューションを武器とする ドラッグストアの教科書』です。
本著はドラッグストアのコンサルティング会社である、有限会社有田英明事務所を運営する有田英明氏によって書かれた本です。
コンサルティング会社立ち上げから25年以上にわたる実践のなかで、有田氏が独自に育て上げた具体的なノウハウを学べます。
薬剤の知識のみならず、ドラッグストアの運営に関する知識も身につければ、商品の陳列や接客などの面で役立てられることが期待できます。
本を活用して多くの知識を身につけて活躍できる薬剤師をめざそう
今回は、薬剤師におすすめの本を紹介しました。
気になる本や参考になる本が見つかったでしょうか。
薬剤師は薬剤の添付文書や先輩からの指導などを通して、現場で学ぶことが多いと考える人もいるでしょう。
しかし、今回紹介した書籍も利用すれば、薬学や薬歴などを体系的に学べます。
書籍を使った勉強は通勤時間や休憩時間でもできるため、時間も有効に活用できます。
キャリアアップやスキルを解説している本もあるので、ぜひ一読して薬剤師の業務とキャリアに役立ててみてください。