正看護師/准看護師

2022/09/04 2024/03/04

【見本あり】看護師の履歴書の書き方は？項目別にわかりやすく解説

現在、看護師の活躍の場は病院に限らず、施設や訪問、美容業界など、あらゆる場へ広がっています。
好条件待遇やステップアップをめざして、職場を探したり転職したりする方もいるでしょう。

新卒採用時や転職時に必須となる履歴書。
採用のためにプラスになる書き方や、マナーが気になる方も多いのではないでしょうか。
この記事では看護師の履歴書の書き方について、作成見本を示しながら具体的に解説していきます。

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まずは看護師ならではの履歴書のルールを把握しよう

履歴書を書く際、看護師ならではの注意したいルールが二つあります。
まず一つに、応募先の施設形態によって敬称が変わるという点です。
株式会社や病院、医療法人など応募先の形態ごとで違ってきます。

次に、職歴を書く際、過去の勤務先の施設形態によって「入社・退社」か「入職・退職」なのかの表記も異なるということです。
施設形態別の敬称、表記の違いは以下のとおりになります。

施設形態	敬称	表記
病院・クリニック	貴院	入職・退職
介護施設・障がい者施設	貴施設	経営母体による
医療法人・社会福祉法人	貴法人	入職・退職
株式会社	貴社	入社・退社

介護施設・障がい者施設などで勤務していた方は、経営母体が法人の場合「入職・退職」、株式会社の場合は「入社・退社」としましょう。

看護師の履歴書の書き方は？マナー違反にならない基本ポイント

看護師が履歴書を作成する際に押さえておくべきポイントについて、履歴書のテンプレートを示し、各項目に分けて解説していきます。
履歴書の構成は基本的には変わりませんが、取得元や職場ごとによって少しずつ異なる場合がありますので注意してください。

看護師の履歴書の書き方は？マナー違反にならない基本ポイント

1. 日付・氏名・生年月日・住所・電話番号

日付
持参するなら持参当日の日付、郵送するなら投函する日付を記入します。
氏名
姓と名の間にはスペースをあけます。
「ふりがな」とあればひらがなで、「フリガナ」とあればカタカナで読みを記入します。
生年月日
漢数字ではなく算用数字を用います。
西暦か和暦か、①の日付や以降の学歴・職歴などと履歴書全体で表記を統一します。
住所
都道府県名、建物名と部屋番号、ふりがななど、省略せずに記入します。
電話番号
日中連絡がとれやすい番号を記入します。

家に固定電話がなく、記入欄がある場合は、書き忘れと判断されないように「なし」と記入します。
メールアドレスがある場合はメールアドレスも記入しましょう。

2. 写真

過去3ヵ月以内に撮影したものを使用します。
サイズは横2.4～3センチメートル、縦3.6～4センチメートルです。

写真から人物像をイメージされる場合もあります。
服装としてはスーツかジャケットを着用し、歯を見せない自然な表情で清潔感や好印象をアピールしましょう。

3. 学歴・職歴

学校の学部や学科、職場の科や部署は省略せず、何科だったのか正式名称を記入します。
異動での部署変更がある場合には、異動部署名と年月も記入しましょう。
最終行の下には右寄せで以上と記入します。

学歴と職歴が同じ枠内にある履歴書の場合は、「学歴」と「職歴」の見出しをそれぞれ一行ずつとり、センターに記入しましょう。

4. 免許・資格

取得している免許・資格は、仕事に直接関係しないものもすべて、取得した順に記入します。
看護師免許の記入は必要ですので、忘れないようにしましょう。
自動車免許証や英検など、普段は略称で呼び慣れているものも正式名称で記入しなければならないため、注意が必要です。

また、履歴書提出段階では取得にいたっていなくても、資格取得に向けて勉強していたり、講習を受けていたりする場合には、取得予定として記入することができます。
その場合は欄の最後に、取得予定年月日とともに記入しましょう。

5. 趣味・特技

趣味や特技もしっかりと記入しましょう。
思いつかないからといって、「特になし」と記入したり、空欄のまま提出したりするのはNGです。
空欄のままだと、意欲がないと見なされてしまう可能性もあります。

高校の頃に部活をやっており、今もチームに所属して続けている場合などは、それを書くのがおすすめです。
看護師の仕事に関係しそうな趣味や特技があればベストです。
例えば、「人の顔を覚えること」「誰とでも気兼ねなく話せること」といった特技は仕事にもつながるため、プラス評価になるかもしれません。

なお、ギャンブルや政治・宗教などの内容は避けましょう。
また、嘘を書くのもNGです。

6. 志望動機・自己PR

志望動機・自己PRは、履歴書のなかでも重要な欄です。
これまでの自分の経験や看護観に触れたうえで、その職場を志望した理由、自分を採用することでどのようなメリットがあるのかをアピールします。
志望先の職場が求める人材や、看護理念を理解しておき、自分がそれに沿った人材であることを伝えることも有効です。

また、欄の大きさや行数に合わせた、まとまった文章を推敲することも重要です。

実際に、志望動機・自己PRそれぞれのポイントと例文を見ていきましょう。

志望動機

正直な志望理由は給与や休日などの待遇面であっても、履歴書に記入すると面接官に悪い印象を与えてしまう可能性があるため避けましょう。

またよくある志望動機として、

理念に共感した
教育体制や職場環境に魅力を感じた

など、応募者の感想を書きがちですが、志望動機には自分を採用することで、志望先にどのようなメリットがあるのかに焦点を当てて記入していく必要があります。

自分はどういう人物か
看護にどのような思いを抱いているか
どのような経験や強みを持っていて、それを志望先でどう活かせるか

これらのポイントをおさえて、自分が志望先でどのように活躍できるかを面接官がイメージしやすいように、明確に記入しましょう。

上記ポイントを踏まえた志望動機の例文を、転職・新卒別に紹介します。

【転職の場合】
設定：
3年制看護専門学校卒業後、市中病院の循環器病棟で働いている27歳看護師6年目
内科クリニックへの転職を希望

私は専門学校卒業後、循環器病棟で5年間、外科・内科ともに経験を積み、急性期から回復期、維持期まで、さまざまな病期の患者様と接してきました。
私は、患者様のセルフケアが必須である療養において、看護師が知識・技術や動機付けの補完のために担う役割は大変大きいと考えています。
かかりつけ医として地域の患者様の生活を支えておられる貴院では、看護師としてこれまでの経験をもとに患者様一人ひとりに合わせた関わりを行い、より良い療養のために貢献できると考え、志望しました。

【新卒の場合】
設定：
4年制看護大学卒業後、規模の大きい総合病院への就職をめざす新卒

私は学生時代に、BLS講習への参加や総合実習で周手術期を選択した経験から、急性期領域に憧れを持ち、判断力と応用力のある看護師をめざすようになりました。
判断力や応用力を身につけるためには、基礎的な知識はもちろん、さまざまな診療科や病期の患者様と接し、多くの経験を積む必要があると考えています。
貴院は県内有数の診療科を有し、教育体制も充実していると伺い、豊富な知識や経験を習得できる環境だと感じました。
貴院で多くの経験を積み、いずれはさまざまな場面で的確な判断ができるような看護師となり、急性期領域看護に貢献したいと考え、志望しました。

自己PR

自己PR欄では、志望動機でも触れた自分の強みや経験を掘り下げて書いていきます。
自分の魅力を伝えやすい事柄として、以下のような内容を盛り込むと良いでしょう。

コミュニケーション能力や看護技術など、仕事上で自信があること
これまでにリーダーシップやメンバーシップを発揮した具体的な経験
大切にしている看護観、エピソード

実際の経験を通して得た自分の強みを、自分の言葉で語ることで個性が感じられ、ライバルとの差別化を図ることができます。

強みや経験を掘り下げた自己PRの例文を、転職と新卒に分けてご紹介します。
【転職の場合】
設定：
3年制看護専門学校卒業後、市中病院の循環器病棟で働いている27歳看護師6年目
内科クリニックへの転職を希望

循環器病棟で勤務するなかで、生活習慣病を患った患者様と接する機会が多くありました。治療に際して、これまで行ってきた生活を変化させなければなりませんが、それは簡単なことではなく、患者様は葛藤したり悩んだりされることも多くあります。
そこで看護師としての知識・技術をもって患者様と関わることのやりがいや、患者様一人ひとりの生活の目線に立って、医療チームで一緒に問題を解決していくことの大切さについて学びました。
患者様を多角的にとらえ、多職種とともにさまざまなアプローチ方法を考えることができるのは、私の長所であると考えています。

【新卒の場合】
設定：
4年制看護大学卒業後、規模の大きい総合病院への就職をめざす新卒

私の長所は忍耐力があることです。
大学から陸上競技を始め、三度フルマラソンを完走しました。大きな目標を達成するためには日々小さな努力を積み重ねなくてはならないこと、辛いときでも諦めずに続けることの大切さを、陸上競技から学びました。
また、陸上競技は個人戦ですが、チームメンバーとお互いを鼓舞し合い、ともに練習を乗り越えてきたことも私にとって大きな財産です。
諦めずに困難に立ち向かうこと、そのために周りと協働することは、社会でも重要だと考えております。
私はこの長所を活かして、難しい場面でも諦めず少しずつ経験を積み重ねていき、自分ができる最善の看護を行えるようになりたいと思っています。

7. その他記載事項

勤務形態や希望する科・部署など、働くうえで譲ることができない条件があれば、この欄に記入します。
特になければ空欄にはせず「貴院の規定に従います。」と記入しましょう。
給与や手当など、待遇面での希望を書くことはマイナスイメージにつながるため、記入は避けましょう。

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看護師が履歴書を作成する際に知っておきたい4つのこと

履歴書を書くにあたってのポイントを項目別に見てきましたが、覚えておきたいことはほかにもあります。
勤務形態ごとの志望動機の書き方の違いや送付状、郵送時のマナーについて見てみましょう。

パート・アルバイトの場合でも履歴書の書き方は同じ？

雇用形態がどのような形であれ、基本的な書き方は変わりません。
ただしパート・アルバイトを希望する場合、志望動機や自己PR、勤務形態については以下のように調整する必要があります。

パート・アルバイト希望の場合の志望動機
自分の強みや経験、看護観に触れたうえで、「なぜパート・アルバイトでの勤務を希望するのか」を説明しましょう。
子育てや家庭との両立など、事情を明らかにしたうえで自己アピールができると履歴書の説得力が増します。
パート・アルバイト希望の場合の勤務形態
子どもの送り迎えやご家族の介護など、どうしても優先したい条件のみ記載しましょう。
「子どもの送り迎えがあるため△時～△時の勤務を希望します。」など、具体的な時間を提示するのが望ましいです。

採用側が必要とする情報を、丁寧かつ簡潔に記入することを意識しましょう。

送付状はどのように送ったら良い？

以下3つのポイントを押さえましょう。

宛名は正式名称で記入する
冒頭に宛名を記入します。
法人名や担当者の部署名なども省略せず正式名称で書きましょう。
担当者の名前がわからない場合には、「採用ご担当者様」としてOKです。
時候のあいさつなど記載ポイントをおさえる
宛名のあとは一行空け、本文は拝啓で書き始め、本文の終わりには次の行の下寄せで、敬具で書き終えます。
また、本文は時候のあいさつから始めるのもマナーの一つです。
履歴書を送付する時期に合わせたものを選び、添えましょう。
同封した書類について記載する
送付状を見れば何の書類が同封されているのかわかるように、箇条書きで記載します。
履歴書の他にも、職務経歴書や卒業見込み証明書の提出を求められる場合があります。
同封忘れがないようしっかり整理しましょう。

履歴書を郵送で送るときの決まりはある？

封筒の色や郵送方法など、一般的なマナーとして決まりはあります。

角型2号の白封筒を使用する
履歴書と同封する書類に折り目をつけずに入れることができます。
履歴書は記入面が外側になるように二つ折りにして入れます。
あらたまった場面では、茶封筒より白封筒を選択するのが一般的です。
普通切手で郵送する
140円切手を1枚貼り、郵便局窓口から送ります。
履歴書をメール便で送ると法律違反になるため注意しましょう。
履歴書在中と赤字で記載する
封筒表の左下に「履歴書在中」と赤字赤枠で記載します。
志望先に届いたあとで重要書類としてわかりやすく、破棄やあと回しの予防になります。
書類を入れる順番は、以下のとおり
1．送付状
2．履歴書
3．その他の応募書類
この順でクリアファイルに挟んだのち、封筒に入れ封をします。

看護師も職務履歴書を用意したほうが良い？

看護師をはじめとする医療関係の求人において、職務履歴書は必須ではないこともあります。
しかし、職務履歴書は自分の経験やスキルをアピールできる有効な手段の一つです。
提出された情報のなかから、採用側は以下のようなポイントを見ています。

実務スキル・知識がともなっているか
仕事に対する意欲
これまでに挙げてきた成果
転職目的に納得できるか
リーダーやマネジャー経験の有無

自分の強みを理解したうえで、職務履歴書を積極的に活用してみましょう。

履歴書は誠実で意欲的な姿勢が伝わる作成を心がけよう

志望先の面接官と直接対面する前に、自分の分身として相手に届く履歴書。
マイナス印象を避けるため、一つひとつマナーを守って丁寧に作成、準備していきましょう。
書面からも意欲的な姿勢を伝えることができれば、一歩採用に近付くはずです。