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専門看護師になるには?受験資格や期間・流れについて具体的に紹介

この記事の監修者
川俣貴子
川俣貴子
【資格】
看護師

【プロフィール】
東北福祉大学卒業後、看護師として循環器を含む総合病院で働いています。医療系ライターと看護師を励行中です。

看護師のキャリアアップとして、専門看護師の資格取得があります。
「専門看護師は知っているけれども、どうやってなるの?」
「専門看護師になるには何が必要なの?」
専門看護師に興味を持ちながら、具体的にわからないと感じている方もいるでしょう。

専門看護師になるには、いくつか条件があります。
専門看護師になることを検討している場合は、事前に資格の取り方を知り、準備を整えておくと良いでしょう。
今回は、専門看護師の資格取得方法について解説します。

専門看護師の概要はこちらの記事でも紹介していますので、詳細を知りたい方は参考にしてみてください。

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専門看護師になるには

専門看護師になるまでのフローは以下です。

専門看護師になるには

専門看護師になるには、3つの行程が必要です。

  • 専門看護師認定試験の受験資格を得る
  • 認定審査に合格する
  • 専門看護師の登録を行う

専門看護師になるための受験資格

専門看護師認定試験の受験資格は、以下の3つです。

  1. 日本の看護師免許を持っている
  2. 5年以上の実務研修(うち3年以上は専門看護分野)を実施している
  3. 看護系大学院に通い、専門看護師として必要な単位数を取得している

看護師には、准看護師と正看護師の2種類がありますが、専門看護師の受験資格で求められている免許は正看護師資格です。
准看護師の方は直接専門看護師をめざすことはできないので、まずは正看護師免許の取得をめざしましょう。

5年以上の実務研修

日本看護協会は、専門看護師認定試験の受験資格の一つに5年以上の実務研修を定めています。
この5年間のうち、3年以上は専門看護師の取得予定分野での研修が必要です。

実務研修の内容は、分野ごとに内容が異なります。
以下は日本看護協会が定める、各分野での実務研修の内容例です。

● がん看護:業務の半分以上をがん看護に費やしていること。
● 急性・重症患者看護:クリティカルケアを要する患者が 50%以上を占めている病棟等でのクリティカルケア看護の実務研修。1年以上は成人領域とする。
● 在宅看護:在宅看護に関する実務研修。所属する機関や施設種別を問わない。

出典:専門看護分野の実務研修におけるフィールドについて

実務研修の実践内容は、認定審査の申請時に申告が必要となります。
実施した際は忘れないようメモしておきましょう。

看護系大学院に通う

専門看護師の認定試験を受けるためには、看護系大学院に通って必要な単位数を取得する必要があります。

2023年度時点では、107の大学院が専門看護師のカリキュラムを用意しています。
それぞれの大学院によって開講している専門分野が異なるため、取得予定の分野のカリキュラムが受講できる大学院を探しましょう。

「がん看護」分野であれば、全国で72の大学院がカリキュラムを用意していますが、「放射線看護」や「地域看護」などはカリキュラムを用意している大学院が全国で2〜3校と少なくなります。
取得予定の専門分野によっては、近隣で教育を受けられる大学院を探すことが難しく、引越しが必要になるかもしれません。
勤めている病院によっては、長期履修学生制度や退職せずとも休職対応などをとってくれる場合もあるため、自分の病院の制度を確認しましょう。

大学院入学試験

大学院の入学試験は、一般的に7〜8月に出願し、9月に入学試験実施のスケジュールで進みます。
大学によっては入学試験を複数回実施するなど、スケジュールは少しずつ異なります。

また、入学試験科目として、面接や小論文、専門分野の試験などが設定されている場合が多いです。
出願資格として看護師の経験年数を求めている場合もあるので、事前に入学を検討している大学のホームページなどで要項を確認しておきましょう。

大学院の教育カリキュラム

大学院に入学したら、専門看護師になるためのカリキュラムを受講し、必要単位を取得します。

履修科目は「共通科目」と「専門科目」の2つです。
共通科目では、「看護教育学」「コンサルテーション論」「フィジカルアセスメント」など、どの分野でも共通する知識を学びます。
「専門科目」では、専門分野に対してより高度な看護実践ができるよう、知識やスキルを学べます。

現時点(2023年度)は、専門看護師の教育課程の移行時期です。
26単位または38単位取得すれば専門看護師の認定試験を受けられますが、2024年度からは38単位の取得が必要になるので、注意しましょう。

補足:専門学校卒でも大学院に入学可能

専門看護師をめざしている人のなかには、大学卒ではなく専門学校卒の方もいるでしょう。
看護系大学院によっては、最終学歴が専門学校卒であっても、入学を認めている場合があります。

その場合、大学卒と同等の学力を有しているか確認するために、書類審査を行うこともあり、最終学歴の証明書や成績証明書の提出が求められるかもしれません。

「大学院」と聞くと、大学卒の人しか入学できないイメージがあるかもしれませんが、専門学校卒でも入学可能の場合があるので、事前に募集要項などを確認してみましょう。

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専門看護師になるための認定審査

専門看護師の認定審査は例年6〜7月頃に申請を行い、10月頃に実施されます。
2023年度の認定審査は、以下のスケジュールで実施されました。

Web申請 6/14~6/28
審査料振込 6/14~6/28
審査書類の提出 ・オンライン:6/14~6/28
・郵送:6/14~7/6
書類審査の結果発表 9/5
筆記試験 10/4
筆記試験結果発表 12/18

認定審査は、書類審査と筆記試験で構成されています。

審査書類提出

Web上で認定審査を申請したのちに、審査書類を提出します。
提出方法はオンラインと郵送に分かれており、書類によって提出方法が決まっています。

新規受験者の提出書類は以下のとおりです。
ここでは、日本で看護系大学院に進学し、単位を取得した方の提出書類を記載しています。
看護系以外の大学院を終了した方や外国で同等の教育を受けた方は必要書類が異なるため、注意してください。

  • オンライン提出
    ・看護師免許証
    ・履歴書:学歴や自己研修内容を記載します。
  • 郵送提出
    ・認定審査 審査書類 確認用紙(新規受験者用)
    ・修士課程の修了証書の写し
    ・専門看護師教育課程基準単位取得証明書
    ・勤務証明書
    ・非常勤勤務証明書 ※該当者のみ
    ・改姓に関する証明※該当者のみ

筆記試験

書類審査を通過すれば、筆記試験を受けられます。
筆記試験の内容や合格基準を見ていきましょう。

出題内容・形式

専門看護師の筆記試験は、事例問題が100点、総合問題が100点の200点満点です。
試験範囲は専門看護師のカリキュラム内容全範囲となります。

試験時間は120分で、論述形式です。
筆記試験では、論述した内容から、専門看護師に求められる6つの役割(「実践」「相談」「調整」「倫理調整」「教育」「研究」)を果たせるスキルや知識が十分に身についているか判定されます。

専門看護師のカリキュラムで学んだ内容を踏まえて、ご自身が実践した看護内容を具体的にまとめておくことが試験対策になります。
認定審査に申請後、『資格認定制度 審査・申請システム』にて過去問のダウンロードが可能です。
前年度の受験者の課題も合わせて公表しているので、受験前に過去問を確認しておきましょう。

合格基準

筆記試験の結果は、「A」「B」「C」の3段階で評価されます。

点数 評価
160点以上 A
159〜140点 B
139点以下 C

「A」または「B」評価であれば、合格です。

専門看護師の登録・更新

専門看護師の登録・更新

筆記試験の結果は、「資格認定制度 審査・申請システム」で確認できます。
見事合格だった場合、認定料を振り込み、専門看護師の登録を行います。

登録方法

認定部で手続きを行い、専門看護師名簿に登録します。
そのあと、「資格認定制度 審査・申請システム」にて登録情報を確認し、日本看護協会のホームページ上での公開可否を選択すれば完了です。

更新方法

専門看護師の資格は、5年ごとの更新が必要です。
専門看護師の資格を更新するためには、以下の基準を満たさなければいけません。

  • 看護師免許を有していること
  • 申請時に専門看護師であること
  • 直近5年間に2つの看護実績、研究業績があること
    ・看護実践時間が2,000時間以上
    ・研修実績・研究業績が100点以上

先述したように、現在は専門看護師の教育課程移行期間です。
旧制度である26単位での更新は2023年度までとなっており、2024年度からは新制度である38単位のみの更新となります。

2023年度以前に26単位で履修した方であっても、追加での履修は特に必要ありません。2024年度以降は38単位で更新しましょう。

専門看護師になるためにかかる費用

専門看護師になるためにかかる費用は、約160万〜200万円程度です。
それぞれの大学院で入学金や授業料などは変わりますが、費用の一例をまとめてみました。

費用項目 金額
大学院 受験費用 約3万円
入学金 約20〜30万円
授業料(2年分) 約120万円
教材代・施設設備費など(2年分) 約10〜40万円
認定審査 認定審査料 51,700円
認定料 51,700円

希望している専門分野によっては、自宅から通える範囲内に大学院がなく、引越しが必要になる人もいます。
専門看護師になるための費用を、事前に準備しておきましょう。

また、各病院の制度によっては長期履修学生制度や、常勤勤務から非常勤勤務として給与が発生する可能性もあります。
日本看護協会や各種団体は、専門看護師の奨学金制度も用意しています。
まとまった費用の準備が難しい場合は、制度の利用を検討してみましょう。

専門看護師になるには休職したほうが良い?

専門看護師になるためには、一定期間大学院に通わなければいけません。
通常の勤務と大学院での勉強を両立しなければいけないため、体力面で大きな負担を感じてしまうこともあるでしょう。

病院によっては、資格取得をサポートするため、復職時のポストの確保、基本給の保証、勤務調整などの休職制度を用意している所もあります。
専門看護師の資格を取得したい人はご家族に相談しながら、休職の必要性を検討しておきましょう。

専門看護師になるには計画的な準備が必要

専門看護師になるには、一定の看護師経験や費用、期間が必要です。
今後のキャリアプランとして専門看護師を検討している場合は、事前に資格取得方法を確認し、長期的な目線で計画を立てておきましょう。

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執筆者について

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