現役の薬剤師や、薬剤師をめざしている人のなかには「薬剤師はどれくらいいるのか」「資格を取っても就職できるか不安」と思っている方もいるでしょう。
今回は、薬剤師の人数や調剤薬局の件数について解説し、今後、薬剤師が市場価値を高める方法にも触れていきます。
目次
最新の薬剤師人数と調剤薬局数
では薬剤師の人数と調剤薬局数はどのように変化しているでしょうか?
そして今後、薬剤師の需要はどのように変化していくと考えられるでしょうか?
- 最新の薬剤師人数とこれまでの推移
- 最新の調剤薬局数とこれまでの推移
に分けて説明します。
令和2(2020)年度最新の薬剤師人数とこれまでの推移
厚生労働省の調査によると、令和2年(2020年)12月31日時点の薬剤師の登録数(全国の届け出数)は321,982人で、前回調査の平成30年(2018年)と比べると10,693人、3.4%増加しています。
男女比率をみると、男性は124,242人の 38.6%、女性は197,740人の61.4%となっており、薬剤師の男女比率はおおよそ4:6の割合です。
また、人口10万人に対する薬剤師の人数は255.2人で、前回の調査時に比べ9.0人増加しています。
この上記の数字からもわかるように、薬剤師の人数は年々増加傾向にあります 。
令和1(2019)年度最新の調剤薬局数とこれまでの推移
次に、調剤薬局数の推移を見ていきましょう。
厚生労働省の調査によると、令和2年(2020年)の調剤薬局数は約6.1万件 となっています。
上記のグラフを見てもわかるように、平成18年に5.2万件であった調剤薬局数はその後少しずつ増加し、平成22年に1度わずかに減少していますが、それ以降はまたさらに増加傾向にあります。
また、同一法人の店舗数の割合を見ると、令和3年(2021年)は20店舗以上の法人が38.4%と最も大きい割合を占めており 、平成25年以降増加傾向にあることがわかります。
このことから20店舗以上を経営するチェーンが出店数を増やしていると推測されます。
全国都道府県別の薬剤師人数
都道府県別の薬剤師数はどうでしょうか。
令和2年(2020年)12月31 日時点では、調剤薬局・医療施設に従事する人口 10 万対薬剤師数(人口10万人に対する薬剤師の人数)は198.6となっており、平成30年 の調査(190.1人)より多くなっています。
都道府県別にみると、多い地域は1位:徳島県の238.6 人、2位:東京都234.9 人、3位:兵庫 県233.9 人の順となっています。
少ない地域は1位:沖縄県の148.3 人、2位:福井県157.0 人、3位:青森県161.2 人 です。
薬剤師の人数から見る今後の働き方
ここまで最近の薬剤師の人数と調剤薬局数の推移について説明してきました。
薬剤師は年々増加傾向になっていますが、厚生労働省の「薬剤師の需給調査」によると、長期的に見ると、供給が需要を上回る見込みであるとの見解を示しています。
ですから現役の薬剤師や、これから薬剤師をめざしている人は、他の薬剤師との差別化を図る必要がでてくるでしょう。
以下で、差別化のために今からできることを紹介していきます。
特筆 したスキルで差別化を
突出したスキルは、他の薬剤師との差別化ポイントになります。
例えば以下のようなものがあげられます。
マネジメント能力
キャリアアップして管理職になる場合は、職場内をマネジメントできる能力が必要です。
マネジメント能力を身につけるためには、職場全体を見渡す視野の広さに加え、職場内で信頼されるための関係性作りも欠かせません。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルも、他の薬剤師との差別化ポイントになります。
患者さんやそのご家族に対して服薬指導を行えたり、患者さんの体調や日常生活での困りごとを引き出せたりと、コミュニケーションスキルの高さが役に立つ場面は多々あります。
在宅医療に関するスキル
高齢化にともない、今後、在宅医療 の需要は増えていく見込みです。
将来的に薬剤師が供給過多になっても、在宅医療に関するスキルを持っている薬剤師は、必要とされ続けるでしょう。
専門性を高めるために資格取得を
資格を取得して専門性を高めることも、差別化を図る手段として有効です。
薬剤師の専門性を高める資格としては、以下のようなものがあげられます。
認定薬剤師
認定薬剤師とは、最新の知識や技術を有していると認定された薬剤師のこと です。
認定されるためには、一定の研修や実技を通して定められた単位を取得する必要があります。
専門薬剤師
専門薬剤師は、特定の専門分野における薬物療法などの十分な知識を持ち、質の高い業務を実践できると認められた薬剤師 のことです。
他の薬剤師の指導役になることも期待されており、スキルアップにつながる資格ともいえます。
薬剤師としてスキルアップし、市場価値を高めよう
この記事では、近年の薬剤師数・調剤薬局数の推移にふれながら、今後もとめられる薬剤師像や、他の薬剤師と差別化を図る際のポイントについて解説しました。
時代の変化に伴い、薬剤師に求められるスキルも変化していきます。
薬剤師の資格を取得し、就職したからそこで終わりではなく、常にスキルアップを続け、市場価値を高めていくことが必要です。