登録販売者は一般医薬品の販売などを担う専門家です。
専門家として一歩を踏み出すには登録販売者試験に合格する必要がありますが、その後どのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
登録販売者の試験に合格したあとは登録手続きが必要です。
今回は、登録販売者として働くために必要な手続きや、登録に必要な書類をわかりやすく解説します。
目次
登録販売者試験合格後にやること・大まかな流れ
登録販売者試験に合格すると合格通知を受け取ることができます。
その後、就業先の都道府県で登録販売者販売従事登録の手続きが必要です。
申請が受理されると販売従事登録証が交付され、登録販売者となります。
では、登録に必要な手続きを見ていきましょう。
登録販売者試験の合格証の受け取り
登録販売者試験に合格すると、合格を証明する書類が郵送されてきます。
この書類は後述する販売従事登録の際に原本が必要なので大切に保管しましょう。
合格通知は合格発表後、受験願書に記載した住所に届きます。
東京都では受験願書申し込み後の住所変更ができません。
引越しなどがあった場合は郵便物の転送手続きをしておきましょう。
申請の前に就職先を探す
販 売従事登録を申請するためには、店舗などに就業している必要があります。
そのため、申請の前に就業先を探さなければなりません。
登録販売者は、一般医薬品を扱う店舗に勤務することができます。
昨今では、調剤薬局やドラッグストア以外に、ホームセンターなどでも一般医薬品の販売が始まっています。
登録販売者として、どのようなキャリアプランにするか検討してみましょう。
「販売従事登録」をする
販 売従事登録とは、登録販売者試験に合格した人が「登録販売者」として従事するための手続きです。
この登録を行わなければ「登録販売者」として勤務することはできません。
販売従事登録にはいくつかの書類を用意する必要があります。
・販売従事登録申請書(各都道府県により書式が異なります)
・登録販売者試験合格通知書
・戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍記載事項証明書、本籍の記載のある住民票の写し、本籍の記載のある住民票記載事項証明書のいずれか(発行日より6ヵ月以内のもの。コピー不可)
・雇用証明書
・診断書(欠格事項に該当するおそれのある方のみ)
・登録手数料
実務経験を積んで正規の登録販売者に
登録販売者試験に合格したあとは、登録販売者の「見習い」として勤務することになります。
正規の登録販売者になるためには、実 務経験を積んで「店舗管理者要件」を満たす必要があります。
店舗管理要件は下記①〜③のいずれかを満たす必要があります。
①過去5年間のうち、薬局などで一般従事者および、登録販売者として業務に従事した期間が通算して2年以上(累計1,920時間以上)であること。
令和3年8月1日省令改正より追加
②店舗管理者、区域管理者としての業務経験があること。
平成21年6月1日以降で、業務に従事した期間が通算して2年以上(合計1,920時間以上)であること。
経過措置として適用
③平成21年6月1日以降で、業務に従事した期間が通算して5年以上(合計4,800時間以上)
一般用医薬品の販売または授与の業務に係る適正な管理を確保するために必要な研修を、通算して5年以上受講していること。
店舗管理者要件を満たすと、一般医薬品のうち「第二類医薬品」「第三類医薬品」の販売を一人で行えるようになります。
登録販売者の合格後に必要な申請書類
販売従事登録を行うには、上記でご紹介している「販売従事登録に必要な書類一覧」の5種類の書類と手数料が必要です。
それぞれどこで入手できるのか、費用はどのくらい必要なのか見ていきましょう。
必要書類の内、ダウンロードが必要な物もあるため、あらかじめ勤務先の都道府県ホームページより「登録販売者」のページを見つけておくと便利です。
1.販売従事登録申請書
販売従事登録申請書は、勤務先のある各都道府県ホームページからWord、PDF形式でダウンロードで きます。
記載例のダウンロードもできるので参考にしてください。
A4サイズでプリントアウトし、必要事項を記入しましょう。
2.合格通知書の原本
登録販売者試験に合格後、受験票に記入した住所に合格通知書が届きます。
内容物を確認して大切に保管しておきましょう。
万が一紛失した際は、再交付の手続きが可能です。
「登録販売者試験合格証再交付申請書」 など、書式名や規定は各都道府県で定められているため、各自治体に問い合わせてみましょう。
3.本籍が記載された書類
申請には本籍が記載された公文書1通が必要です。
公文書は市区町村役場で発行できるほか、マイナンバーカードがあればコンビニでも発行できます 。
発 行手数料は、書類や各都道府県により異なりますが、1通300円〜450円程度です。
・戸籍謄本
・戸籍抄本
・戸籍記載事項証明書
・本籍の記載のある住民票の写し
・本籍の記載のある住民票記載事項証明書
いずれも発行から6ヵ月以内の物でコピーは不可です。
発行日に注意しましょう。
登録販売者試験の申請時から婚姻などで氏名や本籍に変更があった場合は戸籍を証明するための書類(戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍記載事項証明書のいずれか)が必要です。
外国籍の方は住民票の写しに国籍を記載した物が必要です。
4.医師の診断書
医師の診断書については、診断書に記載の欠格条項に該当するおそれのある方のみ 提出が必要になります。
診断書は診断日から3ヵ月以内の ものでコピーは不可 です。
料金は病院により異なりますが、1通3,000円程度 です。
診断書の様式は各都道府県ホームページからダウンロードできます。
診 断書の発行にかかる期間は、即日〜1週間程度と病院により大きな開きがあります。
余裕をもって準備しましょう。
5.雇用関係を示す書類
雇用関係を示す書類も合格通知書に同封されています。
販売従事登録申請書と同じく、勤務先のある各都道府県ホームページからWord、PDF形式でダウンロードできます 。
こちらの書類も記入例がダウンロードできるので参考にしましょう。
勤務先との雇用関係を証明する書類ですので、就業先に記入してもらう必要があります。
6.登録手数料
販売従事登録の手数料は、東京都の場合7,300円(2022年1月現在) です。
手数料は各都道府県により異なります。
また、自治体によっては支払いに収入印紙を用いる場合 もあるので確認が必要です。
販売従事登録の実際の手続き&注意点
今度は、販売従事登録の手続きの流れや注意点を見ていきます。
書類作成日の日付や合格通知書の扱いなど、押さえておくべきポイントがありますので確認しておきましょう。
合格通知書の受取と受領書の返送
登録販売者試験合格発表後、合格通知書が届きます。
合格通知書を大切に保管するのは前述したとおりですが、同封されている受領書に必要事項を記入し返信しましょう。
合格通知書には、自身の戸籍を証明する書類を除く、販売従事登録に必要な書類一式が同封されています。
抜けている物がないか確認しておきましょう。
合格通知書原本は販売従事登録で提出し、返還は行われません。
販売従事登録の手続き後は、販売従事登録証が登録販売者の免許証 になります。
必要な書類を揃えて実際に申請を行う
販売従事登録にはさまざまな書類や手続きが必要です。
勤務先が手続きを代行してくれる場合もあります。
必要書類が揃ったら、販売従事登録を行います。
販売従事登録の申請先は受験地や居住地ではなく、勤務先がある都道府県 の福祉保健局、 医薬安全課 、保健所などが窓口になります。
複数の都道府県で登録を行うことはできません。
東京都では窓口申請で受け付けています。
販売従事登録証は即日で交付されるわけではなく、決められた交付スケジュールに沿って手続きが行われます。
販売従事登録証の交付スケジュールは自治体によって異なり、2週間〜1ヵ月程度 かかるところもあるので気をつけましょう。
登録販売者になる手続きの注意点
令和3年8月1日以降、申請書式が変更になっています。
旧書式では申請できませんので注意しましょう。
現行の書式は各都道府県のホームページからダウンロードできます。
現行法では合格通知書に有効期限はありません。
しかし、店舗管理者要件 を満たすために一定期間の実務経験を積む必要があるため、早めに就業することをおすすめします。
販売従事登録証にも有効期限や更新はありません。
販売従事登録証の紛失や登録内容変更手続きは各都道府県で規定されています。
登録販売者試験の合格後には忘れずに「販売従事登録」をしよう
販売従事登録は登録販売者として働くために必要な手続きです。
必要な書類のうち、戸籍に関わる書類以外は合格通知書に同封 されているため、受け取り次第確認しておきましょう。
診断書など、発行までに時間がかかる書類もあるため、就業先が決まったら早めに行動することをおすすめします。
必要書類は各都道府県のホームページからダウンロードもできます。
店舗管理要件を満たして正規の登録販売者になるには、最短で2年の実務経験が必要です。
販売従事登録に期限はありませんが、試験に合格したあとはなるべく早く就業先を探すことが正規の登録販売者への近道です。