
サービス管理責任者は、障害福祉サービス事業者などでサービスの質を向上させるために個別支援計画を作成し、従業者への指導や助言をします。
2006年に障害者自立支援法が施行され、事業所ごとへの配置が義務づけられました。
サービス管理責任者をめざしている人のなかには、試験の合格率がどのくらいなのか、どのような勉強が必要なのか、費用はどのくらいなのかを知りたい人もいるでしょう。
この記事では、サービス管理責任者になるための方法を詳しく解説します。
目次
サービス管理責任者に「合格率」はない
多くの資格は試験に合格する必要がありますが、サービス管理責任者資格は実務経験と研修で取得できるため、資格試験がありません。
そのため、合格率というものは存在しないのです。
「試験を受ける必要がある」「合格率が低い」のような噂は誤った情報になります。
ただし、サービス管理責任者になるには、実務経験と研修の修了が必要になります。
試験がないからといって、誰でも簡単にサービス管理責任者になれるというわけではありません。
サービス管理責任者の資格取得方法
サービス管理責任者の資格を取得するには、必要な実務経験を積んで研修を受ける必要があります。
ここでは、資格取得に必要な実務経験と必要な研修の内容を詳しく解説します。
資格取得に必要な実務経験
サービス管理責任者の資格取得には、以下のいずれかの実務経験が必要です。
- 相談支援業務
- 直接支援業務
- 国家資格保有者が行う実務
では、さっそく一つずつ見ていきましょう。
相談支援業務
相談支援業務とは、身体または精神に障害がある人など日常生活に支障がある人の相談に応じて、助言や指導、サポートを行う業務です。
実務要件を満たすには、下記支援業務に5年以上従事する必要があります。
- 包括支援センターを含む施設での相談支援業務
- 就労支援の相談支援業務
- 特別支援教育における進路相談や教育相談の業務
- 医療機関での相談業務(1〜4のいずれかに当てはまる場合)
- 1. 社会福祉主事任用資格を有する者
- 2. 訪問介護員2級(介護職員初任者研修)に相当する研修の修了者
- 3. 国家資格を有する者
- 4. 1〜3の業務に1年以上従事した者
- 上記の業務に準ずると各都道府県知事が認めた業務
「国家資格を有する者」の国家資格とは、医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師、准看護師、理学療法士、作業療法士、社会福祉士、介護福祉士、視能訓練士、義肢装具士、歯科衛生士、言語聴覚士、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師、栄養士(管理栄養士を含む)、精神保健福祉士を指します。
直接支援業務
直接支援業務とは、入浴や排泄、食事の介護を行い、さらに介護に関する指導をする業務です。
実務要件を満たすには、下記業務に8年以上従事する必要があります。
直接支援業務にあたるのは以下の業務です。
- 施設や医療機関での介護業務
- 障がい者雇用事業所での就業支援業務
- 盲学校、聾(ろう)学校、養護学校での職業教育の業務
- 上記の業務に準ずると各都道府県知事が認めた業務
国家資格保有者が行う実務
相談支援業務・直接支援業務の実務経験が通算3年以上あり、かつ以下の国家資格による従事期間が通算3年以上あることが、実務経験の要件となります。
- 医師
- 歯科医師
- 薬剤師
- 保健師
- 助産師
- 看護師
- 准看護師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 社会福祉士
- 介護福祉士
- 視能訓練士
- 義肢装具士
- 歯科衛生士
- 言語聴覚士
- あん摩マッサージ指圧師
- はり師
- きゅう師
- 柔道整復師
- 管理栄養士
- 栄養士
- 精神保健福祉士
資格取得に必要な研修
サービス管理責任者の資格を取得するには、実務経験の要件を満たしたあとで、研修を受講して修了する必要があります。
研修は各都道府県で実施されます。
研修費用は都道府県によって異なり、無料から50,000円ほどとさまざまです。
費用については各都道府県のホームページで確認してください。
以下では、相談支援従事者初任者研修とサービス管理責任者研修の2つを解説します。
相談支援従事者初任者研修
実務経験の要件を満たした人が受ける研修の一つが、相談支援従事者初任者研修です。
研修といっても合計11時間の講義のみで、具体的な内容は以下のとおりです。
- 障害児者の地域支援と相談支援者の役割に関して
- 相談支援におけるケアマネジメントの手法
- 障がい者の生活を総合的に支援する法律や児童福祉法の概要、サービス提供のプロセス
相談支援従事者初任者研修標準カリキュラムには演習も用意されていますが、サービス管理責任者の資格要件は講義の受講のみで満たされるため、演習の受講は必要ありません。
サービス管理責任者研修
実務経験の要件を満たした人が受ける研修には、ほかにもサービス管理責任者基礎研修とサービス管理責任者実践研修があります。
基礎研修は合計で15時間の講義と演習で、具体的な内容は以下のとおりです。
- サービス管理責任者の基本姿勢とサービス提供のプロセス(講義)
- サービス提供のプロセスの管理(演習)
基礎研修修了後には2年以上のOJTを経て、サービス管理責任者実践研修を受講する必要があります。
実践研修は合計で14.5時間の講義と演習で、具体的な内容は以下のとおりです。
- 障害福祉の動向
- サービス提供について(講義・演習)
- 人材育成の手法(講義・演習)
- 他職種および地域連携について(講義・演習)
※2019年度から2021年度に基礎研修を修了した場合、基礎研修を修了して実践研修を修了するまでの3年間は、サービス管理責任者として従事できます。
サービス管理責任者の要件をチェックして、資格取得をめざそう
サービス管理責任者の資格は、勉強をして試験に合格すれば取得できる資格とは違います。
資格取得に必要なのは実務経験と研修です。
この記事では、サービス管理責任者の要件を満たすための実務経験と研修内容を詳しく解説しました。
実務経験は実務の種類が複数あり、また研修も基礎研修と実務研修があるなど、複雑な仕組みになっています。
サービス管理責任者をめざしている人は、ぜひ要件をチェックして資格取得をめざしてみてください。