サービス管理責任者には配置基準が定められており、指定の人数を事業所に配置しなければなりません。
そのため、サービス管理責任者が欠員した場合、困った事業所に「名前だけ貸してほしい」と言われるケースがあります。
なかには知人や雇い主に頼まれ、名義貸しが合法か知りたい人もいるでしょう。
この記事では、サービス管理責任者の名義貸しが合法なのかを解説します。
名義貸しによって起こった事例も併せて紹介します。
また、サービス管理責任者が欠員したときの対処法も解説するので、ぜひ参考にしてください。
目次
サービス管理責任者は名前だけ貸すことはできない
サービス管理責任者の名義貸しは違反であり、貸してしまうと処分を受けることになります
ここでは、過去にあった処分事例を2つ紹介します。
ケース1:北海道の処分事例
北海道の処分事例は、特定非営利活動法人のアイビーが行った違反です。
詳しい内容は以下のとおりです。
アイビーはサービス管理責任者が適切なサービスを提供していると装うため、事業所に出勤していたと虚偽の出勤記録を提出しました。
管理者はサービス管理責任者への聞き取り調査の必要性を理解していながら、該当する職員を退勤させて検査を逃れています。
そして、事実とは明らかに異なる内容を説明し、検査を断念させたといいます。
また、サービス管理責任者の退職後に必要な変更届では、変更日を退職後の日付に偽り、6ヵ月間常勤のサービス管理責任者を配置したという虚偽の届出を繰り返しています。
その間に配置されたサービス管理責任者は事業所が定める常勤ではなく、非常勤を配置しました。
これにより処分として、2021年に指定障害福祉サービス事業所の指定が取り消されています。
ケース2:大阪府の処分事例
大阪の処分事例は、株式会社Eco Lifeが行った違反です。
詳しい内容は以下のとおりです。
株式会社Eco Lifeは、管理者が偽名を使用して、管理者が別に存在するように装って指定申請を行いました。
さらに、管理者の経歴書には他の事業所に勤務している元従業委員の写真を添付しています。
また、サービス管理責任者が実務経験の要件を満たしてないにも関わらず、満たしているようにするために実務経験証明書を偽造し、虚偽の申請を行いました。
これにより処分として、2013年に就労継続支援A型の指定が取り消されています。
サービス管理責任者の欠員が出た場合の対応方法
やむを得ない理由でサービス管理責任者の欠員が出た場合には、すぐに適切な対応をしましょう。
欠員で名義貸しなどを行うと処分の対象になりますが、正しい対応をすれば問題なく営業が続けられます。
奈良県健康福祉部障害福祉課 自立支援係「やむを得ない事由によるサービス管理責任者の欠如に関する取扱いについて」をもとに、一例として紹介します。
やむを得ない理由とは、たとえば以下のようなケースです。
- サービス管理責任者が死亡・失踪
- サービス管理責任者が病気や怪我で急に休職・退職
- 予期できないことが生じた場合
厚生労働省は、欠員が生じた日から1年間は、実務経験者についてサービス管理責任者および相談支援従事者書人研修(講義部分)を修了しているとみなしてくれます。
ただし、実務経験要件を満たさない場合は、配置自体が認められないため注意が必要です。
欠員が出たときに事務所がしなければならない対応は以下のとおりです。
- 速やかに都道府県の障害福祉課自立支援係に連絡する
- 発生後10日以内にサービス管理責任者の変更届を提出する
- 変更届には法人印を押印した欠如発生理由書と研修受講誓約書を添付する(任意書式)
やむを得ない理由に当てはまらない欠員の場合は暫定配置になりますが、上記と同じ対応をする必要があります。
また、サービス管理責任者には更新研修が必要なので、うっかり受け忘れて資格が失効しないように注意しましょう。
サービス管理者として名義貸しを頼まれたらすべきこと
事業所が欠員の対応をせず「少しの期間だけだから」と名義貸しをお願いされた場合、安易に名義貸しをするとトラブルに発展する危険性があります。
もしも名義貸しをお願いされた場合は、以下の対処法がおすすめです。
- 毅然と断る
- 弁護士に相談する
- 市の福祉課に相談する
- 退職して転職する
名義を貸してしまうと、事務所が閉所になった場合などに損害賠償を請求される恐れもあります。
たとえ「迷惑はかけない」「対価を支払う」と言われても、決して受けないようにしましょう。
サービス管理責任者の転職を考える場合は、年収アップをめざしつつ転職できると良いでしょう。
詳しくは以下の記事を参考にしてください。
サービス管理責任者の名義貸しは行わず正しい対応をしよう
サービス管理責任者の名義貸しは違法です。
いくら事業所が大丈夫だと言っても、サービス管理責任者の名義貸しを行ってはいけません。
サービス管理責任者が欠員した場合も正しい対応をすれば、事業所は継続できます。
無用なトラブルに巻き込まれないためにも、ぜひこの記事を参考にしてください。
サービス管理責任者の試験合格率を詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。