医療事務は、社会の高齢化にともない、需要が高まる可能性があります。
しかし、IT化が進んでいる現代では、将来的に長く働けるスキルを身につけることが重要です。
本記事では、医療事務の需要や将来性が高まる可能性と、需要のある医療事務に必要なスキルについて解説します。
参考にしていただければ、専門知識やコミュニケーション能力など、身につけるべきスキルが理解できます。
「医療事務をめざしたいけど需要や将来性があるのか不安」と感じている方は、ぜひ参考にしてください。
目次
将来的にも医療事務の需要はある?
医療事務の需要は、将来的にもあると推測できます。
その理由を、次の切り口から解説します。
- 高齢化により需要は高まる
- 医師を支える医療クラークが必要とされている
- すべての業務がIT化されるわけでない
高齢化により需要は高まる可能性が高い
高齢化の進行により医療機関を利用する人は増え、医療事務の需要は高まると推測できます。
高齢者は加齢にともない身体機能が低下して、医療機関を利用する機会が増えるためです。
現在の日本では65歳以上の人口が総人口の約3割を占めており、超高齢社会とも呼ばれています。
そして、この傾向は今後も継続することが予測されています。
また、医療事務の職場は病院やクリニックだけでなく、健診センターや訪問看護ステーションなどさまざまです。
加えて、医療事務の経験があれば、高齢者施設などで働く介護事務にも転職可能です。
医療事務は高齢化の進行にともない、需要と将来性が続くと推測できます。
医師を支える医療クラークが必要とされている
現在、医師の負担軽減や業務効率化のために、医療クラークが必要とされています。
医療クラークとは、医師の事務業務であるカルテ入力や書類作成を代行する職業のことです。
医療事務は外来の受付事務、医療クラークは医師などのサポート事務と別の職種ではありますが、看護師や医師の間に立ち、業務を行うという点では共通点があるといえます。
そのため、医療事務で医療に関する事務経験や知識を積んでから、医療クラークをめざすことも良いでしょう。
医療クラークが必要とされる背景としては、以下が挙げられます。
- 医師の事務作業の増加
- 書類作成に時間がかかりすぎることに対する患者からの苦情の増加
- 事務作業を診療時間外に行っている実態
- 病院運営の効率化
医療クラークが医師の事務作業を代行すれば、医師は診察や処置などの本来の仕事に集中できます。
多忙な医療機関において、医師をサポートする医療クラークという職業の需要や将来性は高まると予想できるでしょう。
すべての業務がIT化されるわけでない
医療事務の職場では、電子カルテの普及や点数換算の自動化など、IT化・ペーパーレス化が進んでいます。
しかし、すべての業務がIT化できるわけではありません。
医療事務の業務には、患者さんとの関わりや電話対応、レセプトの確認作業など、IT化の困難な作業が多くあるためです。
特に病気や怪我により不安を抱える患者さんへの気配りや声かけは、どんなに技術が高度化したとしても完全にIT化することは難しいでしょう。
以上のように、業務すべてがIT化できるわけではないため、今後も医療事務の需要や将来性はあると推測できます。
今後需要が高まる医療事務の職場は?
医療事務の需要が高まると推測できる職場は、クリニックや訪問看護ステーションです。
2020年から2021年にかけて、両者は以下のとおり増加しているためです。
- クリニックの数が1,600件以上
- 介護予防訪問看護ステーションや訪問看護ステーションが1,000件以上
以上のことから、今後は地域に根ざした医療機関や事業所での需要が高まることが推測できるでしょう。
需要のある医療事務になるために必要なスキル
IT化の促進などにより、自動化が可能な業務のスキルだけでは、AIに代替されてしまう可能性があります。
ここでは、需要のある医療事務になるために必要なスキルとは何かを解説します。
正確性と専門知識
正確にレセプト業務を行うには、医療に対する専門知識が必要です。
診療報酬の請求は、傷病名や処置内容、薬の種類など、医療の専門知識をもとに整合性をチェックしなければならないためです。
例えば、整形外科であれば骨折や外傷の診療に関する専門知識、内科であれば消化器疾患や呼吸器疾患、循環器疾患などの専門知識が必要と考えられます。
自分の専門分野を確立し、正確なレセプト業務を行えれば、医療事務として働くうえで大きな武器になるでしょう。
接遇力とコミュニケーション能力
医療事務には、患者さんに安心して医療機関を利用してもらうための、接遇力のあるコミュニケーション能力が必要です。
医療機関を利用する患者さんは、疾患や怪我などによりさまざまな不安を抱えています。
そんなときに、患者さんが最初に関わる職員は窓口にいる医療事務です。
「身だしなみ・挨拶・表情・態度・言葉遣い」に気をつけるのはもちろんのこと、患者さんの不安を取り除く傾聴力も必要となるでしょう。
つまり、心身に不安を抱えている患者さんの質問や相談を親身に傾聴して、医師や看護師に正確に伝える能力が必要となるのです。
パソコンスキル
医療現場はIT化が進んでいるため、レセプトコンピューターや電子カルテをスムーズに操作する能力が必要です。
例えば、問診票などの患者さんの情報や診療内容を正しく入力する能力です。
また、エクセルやワードなどを使用した、書類作成やデータ入力などの業務も発生する可能性があります。
医療機関により、レセプトコンピューターや電子カルテは異なります。
まずは、エクセルやワードなど、基本的なパソコンスキルから身につけると良いでしょう。
知識やスキルの証明となる資格
医療事務は、特別な資格が必須の職業ではありません。
しかし、診療報酬請求や会計の知識の証明となる資格を保有していれば、就職や転職に有利となるでしょう。
医療事務に関連する資格は多数あり、認定する団体によって内容や難易度も違います。
医療事務に関連する資格の詳細や試験の難易度を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてください。
スキルを身につけて需要のある医療事務をめざそう
需要のある医療事務になるには、診療報酬請求や医療に関する専門知識を身につけることが大切です。
さらに、病院の顔とも呼ばれる医療事務には、患者さんに寄り添うコミュニケーション能力も求められます。
専門性や正確性、接遇力とコミュニケーション能力を身につけて、需要のある医療事務をめざしましょう。