医療事務は専門的な知識が求められる仕事です。
資格試験にもさまざまな種類がありますが、資格によって難易度は大きく異なります。
合格率も30%台の高難易度のものから80%を超える比較的易しいものまで、さまざまな試験が存在します。
この記事では、医療事務の資格取得を目指す方に向けて、医療事務の代表的な資格に関する概要や合格率、難易度などをわかりやすく解説します。
目次
医療事務の資格の難易度は高い?
数多くある医療事務の資格ですが、主に病院の受付や会計で使われる医療の法律や明細の計算方法などが出題されます。
最も合格率が低い診療報酬請求事務能力認定試験では30.5%、最も合格率が高い医療事務検定試験は88.5%と、難易度に大きな差があります。
特に、レセプトを読み取って点数を計算する診療報酬請求業務の内容が出題範囲の資格は難易度が高く、合格率が低くなる傾向があります。
難易度が低い医療事務の資格【合格率60~85%】
資格名 | 合格率 |
医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)2級 | 60.0% |
医事コンピュータ技能検定試験3級 | 80.1% |
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) | 79.4% |
医療事務技能認定試験 | 79.6% |
※医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)2級は、記事の後半で1級とあわせて解説します。
医療事務の資格はすべて民間資格なので、仕事に就く際には必須ではありません。
しかし、面接では資格の有無を尋ねられることも少なくないので、資格取得は就職活動時の大きなアドバンテージになります。
医事コンピュータ技能検定試験
医事コンピュータ技能検定試験は、医療事務に必要な一般的な医学的知識に加え、診療報酬明細書を作成するコンピュータシステムの使い方に関する内容が出題されます。
資格は準1級~3級まであり、合格率は以下のようになっています。
第36回試験結果 | 合格率 |
準1級 | 21.9% |
2級 | 63.2% |
3級 | 80.1% |
第34回試験結果 | 合格率 |
準1級 | 25.0% |
2級 | 51.2% |
3級 | 75.2% |
比較的合格率が高い2級や3級に比べると、準1級は難易度が格段に上がっていることがわかります。
なお、医事コンピュータ技能検定試験の資格は準1級と2級や、2級と3級を併願することが可能です。
医療事務技能審査試験
医療事務技能審査試験とは、医療現場でのコミュニケーションや受付業務、診療報酬請求に関する試験内容を通して、医療事務として現場で通用するスキルがあることを証明する試験です。
問題は2つの実技試験と1つの学科試験で構成されており、3つの試験科目で7割以上の点数を取ることが合格の目安となっています。
窓口や電話におけるコミュニケーションが問われる実技1では、参考資料を見ることができません。
しかし、レセプトの誤りを見つける内容の実技2や医療の知識が問われる学科では参考資料を見ることができるため、高得点を取りやすいです。
試験の合格率も80%程度となっています。
医科医療事務技能認定試験
医科医療事務技能認定試験は、学科試験40問、実技試験10問の計50問で構成されています。
すべて択一式問題となっていることに加え、テキストを見ながら試験を受けることができます。
知識を暗記する必要がなく、資料を適切に読み取る能力があれば取得しやすい資格といえるでしょう。
合格率も平均で79.6%程度と高いです。
医療事務未経験の方が独学で勉強しても合格を目指すことができます。
また、在宅で受験することができ、受験資格や年齢制限も設けられていません。
誰でも気軽に受験できるのが医科医療事務技能認定試験の資格の特徴です。
難易度が高い医療事務の資格【合格率30~60%】
合格率が60%を下回る難易度の高い医療事務の資格を紹介します。
高難易度の医療事務資格は資格取得が難しいですが、言い換えると知識や技術を持っていることを対外的にアピールできるため、就職活動で有利になる可能性が高いです。
資格名 | 合格率 |
診療報酬請求事務能力認定試験 | 30.5 % |
医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)1級 | 41.1% |
診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験は、すでに医療事務現場で働いている人のスキル向上を目的としています。
そのため、他の医療事務資格と比べて問題の難易度が高く、合格率も30.5%(第1回から第54回までの合計)です。
難易度が高い診療報酬請求事務能力認定試験ですが、資格を持っていることは実務に適したスキルがある証明になります。
就職に有利なだけでなく、資格手当が発生する場合もあるため、人気の高い資格です。
医療情報実務能力検定試験(医療事務実務士)
医療情報実務能力検定試験は、医療報酬請求の正確さと請求漏れ防止テクニックを証明する試験で、1級と2級に分かれています。
受験要件として1級は「2級を保持していること」、2級は「問わない」とされています。
ただし、平成30年度より医療事務実務士1・2級検定試験は、教育指定校および団体受験での受験のみと、受験要件が変更されました。
具体的にはTERADA医療福祉カレッジなど、試験を主催する医療福祉情報実務能力協会が定めた教育機関に入学することが求められます。
そのため、独学で資格を取得することはできません。
2級は医療保険制度の基礎などを含む学科試験と、外来の診療報酬明細書を作成する問題が出題され、合格率は平均で60%程度になっています。
1級は、2級の内容を応用的にした学科試験と入院の診療報酬明細書を作成する問題が出題され、合格率は平均で41.1%ほどです。
合格率を見て自分に合った医療事務資格を取ろう
医療事務資格は、民間資格のため多くの種類があり、難易度もさまざまです。
独学で簡単に取れる資格もあれば、現場で働いている方から見ても難しい資格もあります。
自分の知識レベルと試験の難易度を比べながら、受験する資格を決めてみてください。