病院やクリニックで医療事務として働くため、資格取得を目指して勉強を始める方は少なくありません。
しかし、「何から始めたら良いのかわからない」「そもそも独学で取得できるものなのか」などの不安や疑問を持つ方も見受けられます。
そこで、この記事では医療事務の資格を取るための勉強方法をご紹介します。
資格試験の難易度や勉強内容もあわせて解説しますので参考にしてみてください。
目次
医療事務資格の難易度はどのくらい?
医療事務の資格はすべて民間資格です。
受験要件が特に設けられていないものもあり、医師や看護師などの国家資格より受験のハードルは低いといえます。
試験自体の難易度や出題される問題は試験によって異なりますが、教材や参考書の持ち込みが認められている試験もあります。
だからといって、資格試験に勉強なしで合格することは難しいでしょう。
特にレセプト関連の問題では、レセプトを作成したり点検したりする実技問題があるので、試験対策は必須です。
医療事務の資格を取得するための勉強内容
医療事務は、受付や会計といった窓口業務のほか、レセプト業務やカルテ整理など幅広い業務を担います。
多くの医療事務の資格試験では、実務に必要な知識・技術が身についているか審査されるため、試験範囲も業務の基礎から実務的な内容が中心です。
具体的にどのような勉強が必要なのかみていきましょう。
レセプトに関する知識
医療事務はレセプト(診療報酬明細書)を作成し、月に一度まとめて健康保険組合や共済組合、市区町村などの保険者に診療報酬請求を行います。
この業務を行うためには、レセプトの作成能力や医療保険制度の仕組みなどの知識が必要です。
診療報酬は、患者さんのカルテを見ながら、診療内容などをレセコン(レセプトコンピューター)に入力することで自動的に計算・集計され、診療報酬の集計結果からレセプトが作成されます。
そのため、カルテの見方やレセコンの操作方法を覚えることも大切です。
また、正確なレセプトを作成するために、医療事務にはレセプトの点検業務も求められます。
レセプトに間違いを見つけたら修正できるよう、点検に関する知識や技術も身につけていなければなりません。
事務処理能力やパソコンスキル
医療事務の仕事には、業者とやり取りをしたり書類を整理したりする業務もあるので、事務処理に関する知識も必要です。
患者さんの対応と並行するため、作業の正確さと同時に素早く処理する力も求められます。
また現在は、医療機関でも事務作業のIT化が進んでいます
どの医療機関でも当たり前のようにパソコンが使われているので、パソコンスキルも医療事務には必要不可欠です。
窓口における対応に関する知識
医療事務は、受付や会計業務、電話対応などの窓口業務も担います。
医療機関には応対マニュアルがないところも少なくありません。
自分の知識を活かして、臨機応変に対応していかなければならない場面が多々あります。
また、医療事務は患者さんと接する業務なので、接遇スキルやマナーも求められます。
そのため、患者さんやスタッフとのコミュニケーションに必要な、わかりやすく説明する力も磨いていかなければなりません。
医療事務の資格取得に向けたおすすめの勉強方法
医療事務の資格を取得するには、市販のテキストを使った独学、通信講座、専門学校・通学講座の3つの勉強方法があります。
それぞれの勉強方法にはメリットとデメリットがあるため、自分に合った学習方法を検討していきましょう。
市販のテキストを使って独学
独学は市販のテキストや問題集を使って知識を身につける方法です。
独学の学習費用は問題集やテキストの購入費だけで済むので、気軽に始められます。
また、時間や場所の制約がなく自分のペースで勉強できるので、仕事や家事・育児などが忙しい人でも取り組みやすいこともメリットです。
しかし、独学用のテキストや問題集はたくさんあるので、どれを使って良いか迷ってしまうかもしれません。
学習時に効率よく勉強できなかったり、自分に合っていないテキストの場合は買い直したりするため、余計なお金がかかったりします。
また、勉強スケジュールを自己管理しなければならないので、忙しい、疲れたなどの理由で勉強しなくなってしまう人もいます。
強い意思を持って継続的に勉強できる人でないと、挫折しやすい点は独学のデメリットです。
通信講座で学ぶ
通信講座は独学よりも費用がかかりますが、試験対策に特化したテキストや問題集、講義の動画を通じて効率よく学ぶことができます。
勉強する時間や場所の制約は基本的になく、自分のペースで勉強を進められるので、忙しい人でも学びやすいでしょう。
試験までの学習カリキュラムやテキストが用意されており、手間なく計画的に勉強を進められる点もメリットです。
しかし、独学同様、気軽に取り組める反面、途中で投げ出してしまう人もいます。
通信講座で学習する際は、自分のモチベーションを保ちやすい講座を選ぶことが大事です。
気になる講座はサイトをチェックしたり資料請求をしたりして、教材の質やサポート内容などを細かく比較してみてください。
医療事務の専門学校や通学講座で学ぶ
医療事務資格を取得するための専門学校や通学スタイルの講座もあります。
学習スケジュールがしっかり管理され、勉強法も確立されているため、勉強の進め方がわからない、スケジュール管理が苦手で独学や通信講座では挫折しそうな人におすすめです。
専門学校や通学講座なら講師に直接質問できるので、疑問点をすぐに解消できるのもメリットです。
専門学校や通学講座のデメリットは費用と時間です。
通学講座の場合は10万円近く、専門学校となると100万円以上かかる場合もあり、独学や通信講座よりも費用がかかります。
また、通学が必要になるため、仕事や育児、介護などで忙しい人は利用しにくいでしょう。
卒業まで1~2年かかる場合もあり、資格を取るまでの期間は他の学習方法に比べて長くなってしまいます。
医療事務の資格には種類があることも知っておこう
医療事務の資格にはさまざまな種類があります。
そのため、どのような資格を取れば良いのか迷う方もいるでしょう。
ここでは、代表的な医療事務資格を2つご紹介します。
医療事務技能審査試験(メディカル クラーク)
医療事務技能審査試験は日本医療教育財団が認定する資格です。
医療事務系資格のなかでも受験のハードルが低く、受験資格はありません。
試験は、医科が毎月、歯科は奇数月に実施されており、在宅での受験となります。
学科・実技I・実技IIのすべての得点率が70%に到達すれば合格です。
合格率は60~70%と比較的難易度は低いので、きちんと勉強すれば合格は難しくないでしょう。
診療報酬請求事務能力検定試験
診療報酬請求事務能力検定試験は日本医療保険事務協会が実施、認定する資格です。
合格率は30〜40%と低めで、医療事務系ではかなり難易度の高い資格といわれています。
試験は7月と12月の年2回実施のみです。
他の試験よりも実施回数が少ないので、試験勉強は計画的に進めなければなりません。
試験内容は医療事務の業務に関する知識が幅広く出されますが、診療報酬請求の算定に関する問題がメインです。
実務試験ではレセプト作成があるので、レセプト問題にも慣れておきましょう。
医療事務の資格を取得したいなら自分に合った勉強方法を選ぼう
今回は医療事務資格取得のための勉強方法について、独学、通信講座、専門学校・通学講座のメリット・デメリットを紹介しました。
医療事務になるために資格取得は必須ではありませんが、資格を持っていれば就職や転職、キャリアアップなどの面で有利です。
この記事を参考に、自分に合った勉強方法を選んで、資格取得を目指しましょう。