医療事務にはさまざまな資格があり、スキルアップやキャリアアップを目的に学習する人が少なくありません。
これから資格取得を目指そうと思っている人のなかには、どのような試験問題が出題されるのか気にする方もいるでしょう。
この記事では、医療事務の資格に関する試験問題の内容や過去問を入手する方法、レセプトに関する試験対策などを解説します。
問題の内容や出題傾向を把握し、試験勉強に役立ててください。
目次
医療事務の試験問題の内容
医療事務の試験問題は、主に学科問題と実技問題の2つに分かれています。
出題される問題の内容は、医学知識から医学用語、疾患の種類、医療保険制度、介護保険制度など医療制度に関するものです。
また、ほとんどの試験で、マークシート形式が採用されています。
医療事務の試験問題集・過去問の入手方法
医療事務資格の勉強をしたい、あるいは試験問題の傾向を知りたい方には、試験問題集や過去問が参考になります。
まずはいくつかの資格試験を例に過去問の入手方法から紹介します。
医療事務認定実務者試験
医療事務認定実務者試験は、全国医療福祉教育協会が実施する資格試験です。
合格率は60~80%と比較的高く、初心者も挑戦しやすい資格と言えます。
試験問題はマナーや接遇業務などの受付業務に関する内容を中心に出題されます。
公式サイトに問題例と出題傾向が掲載されているので、どのような勉強が必要なのか大まかに把握できます。
なお、試験勉強をするのであれば公式教材を購入しましょう。
公式の試験問題集には直近2年間の過去問や模範解答・解説などがまとめられており、実際に問題を解きながら学習できます。
医科医療事務管理士技能認定試験
医科医療事務管理士技能認定試験はJSMA(技能認定振興協会)が実施する資格試験です。
昭和49年から始まった歴史のある試験なので、業界内での知名度も信頼度も高いです。
試験は医科と歯科の2種類がありますが、どちらも性別や年齢、学歴・経歴を問わず誰でも受験できます。
受験サポートの一環として、JSMAのサイトに試験問題の見本が掲載されています。
現時点で公開されているのは、第279回(平成28年5月度)の試験で実際に出題された過去問の一部です。
すべての過去問を閲覧できるわけではありませんが、出題傾向を把握するのに役立ちます。
実際の試験勉強は、公式の試験問題集を買って対策していくことになります。
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク)は、40年以上の歴史のある日本医療教育財団が実施する試験です。
在宅でも受験できることから受験のハードルは高くありません。
試験に合格すると「メディカルクラーク」を名乗れるようになります。
医療事務技能審査試験は、試験問題例の公開や過去問のテキストは発売されていません。
しかし、ニチイの医療事務講座(医科)を受講すると、メディカルクラークの試験対策となる問題集や教材を利用できます。
ニチイの医療事務講座は厚生労働省認定のテキストを使っており、医療事務のノウハウをわかりやすく紹介しています。
診療報酬請求事務能力認定試験
診療報酬請求事務能力認定試験は、日本医療保険事務協会が実施する試験です。
この試験は、主にレセプト点検やレセコンの入力といった診療報酬請求業務に関するスキルを身につけられます。
医療事務はもちろん、国保や社保などレセプト審査を行う機関やレセプト点検を請け負う会社への就職にも有利になる資格です。
試験問題の出題範囲は「診療報酬請求事務能力認定試験ガイドライン」に掲載されています。
また、市販の問題集が販売されており、直近過去6回分の過去問にチャレンジできるので、さまざまな出題パターンを把握できます。
医療事務の資格の難易度・合格基準
試験によって難易度や合格基準は異なります。
難易度の高い資格は採用で有利になったり、チームリーダーやチーフなどの重大なポジションに選ばれたりとメリットも多いです。
しかし、知識が乏しい状態で難しい試験を受けるのは非効率なので、まずは自分のレベルに合った試験からチャレンジすることをおすすめします。
そして、さまざまな知識を身につけてから、さらにレベルアップを目指して資格を取るとよいでしょう。
各資格の難易度をわかりやすく表にまとめてみたので、試験選びの参考にしてみてください。
資格名 | 合格基準 | 合格率 |
医療事務認定実務者試験 | 学科・実技ともに正解率60%以上 (問題の難易度などで変動あり) |
60~80%程度 |
医科医療事務管理士技能認定試験 | 実技:点検・各作成問題で60%以上かつ3問合計85%以上 学科:85点以上 |
医科:50~75% 歯科:50~80% |
医療事務技能審査試験(メディカルクラーク) | 学科・実技ともに正解率70%以上 | 70~80% |
診療報酬請求事務能力認定試験 | 【医科】 学科:65点以上 実技:80点以上 【歯科】 学科:80点以上 実技:90点以上 (令和3年7月) |
医科:25~40% 歯科:30~40% |
レセプトの試験対策方法
医療事務には、市区町村や協会けんぽ、健康保険組合などに診療報酬を請求する業務があります。
レセプトはその請求のために作成するものです。
資格試験の実技でもレセプト作成があるので、苦手な方はしっかり対策しておきましょう。
レセプトは練習を繰り返すことで問題にも慣れていき、試験での出題傾向もわかってくるようになります。
ここでは、効果的なレセプトの試験対策方法をご紹介します。
レセプト問題を解いてつまずく箇所を勉強し直す
まずはレセプトの書き方やカルテの見方を理解しましょう。
書き方や見方が理解できたら、一度レセプト問題に挑戦してみてください。
自力で解いてみて間違えた部分や解答できない部分に絞ってテキストで勉強し直すと、効率的に知識を定着させることができます。
一度にすべての問題を解く必要はありません。
毎日1問ずつでもいいので継続的に学習していきましょう。
点検する項目を書き出しておく
レセプトの問題はカルテを参照しながら解答していきます。
そのため、カルテに記載される点検項目をよく確認して書き出しておくと、試験対策になります。
時間外・休日・深夜加算や乳幼児加算が取れているかなど、基礎的な部分から細かく確認してみてください。
投薬のあるケースでは、処方量の回数や薬価の計算など各項目を見落とさないようにしましょう。
練習問題では、問題で問われなかった部分も含めてチェックしておくと、本番で予想していなかった問題が出ても慌てずに解答できます。
各試験におけるレセプトの出題傾向を確認する
各試験のレセプトの出題傾向はよく把握しておきましょう。
出題傾向がわかれば試験対策を講じやすく、やみくもに勉強するよりも効率的です。
よく出る問題が事前にわかっていれば重点的に勉強できるので、本番でも慌てることなく冷静に解答できます。
過去問を解くことで出題傾向を把握できるので、繰り返しチャレンジしましょう。
試験問題・過去問を活用して医療事務の資格取得を目指そう
医療事務の試験問題についてご紹介しました。
医療事務の資格試験ではどのような問題が出てくるのか、あらかじめ把握していれば勉強もしやすくなります。
各試験対策の通信講座や、市販の問題集・過去問テキストもあるので、それらを活用して試験まで計画的に学習していきましょう。
医療事務の資格を取得するための勉強はもちろん、当日の試験の流れなどを知っておくことも大切です。