
言語聴覚士に需要や将来性があるのか気になりませんか。
本記事では、言語聴覚士の需要や働き口、活躍の場が増えている現状を紹介します。
また、これからの言語聴覚士には、得意分野をつくることや、さまざまな医療分野の知識や経験を積むことが必要であることも解説しています。
「言語聴覚士はあまり需要がないのでは」と不安に感じている人は、ぜひ本記事を参考にしましょう。
目次
言語聴覚士の需要は?
まずは、言語聴覚士に需要があるのかを解説します。
2021年度の全国の言語聴覚士の有資格者数は38,200人で、毎年約1,500~2,000人が国家資格に合格しています。
しかし、理学療法士や作業療法士と比べると、有資格者数は6万〜14万人ほど少ない状況です。
また、ハローワーク求人統計データによる言語聴覚士の有効求人倍率は全国平均で2.77倍です。
求職者と求人の需要と供給が追いついておらず、言語聴覚士は不足していると考えられます。
データから、言語聴覚士の需要は高いと判断できるでしょう。
職種 | 有資格者数・合格者数 | 有効求人倍率 |
言語聴覚士 | 38,200人(2021年度) | 2.77倍(2020年度) |
理学療法士 | 202,423人(2022年度) | 3.79倍(2020年度) |
作業療法士 | 104,286人(2021年度) | 3.59倍(2020年度) |
加えて、総務省統計局によると、今後も高齢者の人数は増加すると予想されています。
それにより、加齢にともなう疾患による言語・嚥下障害を有する人も増加すると考えられます。
高齢化の進行にともない、言語聴覚士の需要はさらに高まるでしょう。
言語聴覚士の将来性
言語聴覚士の需要の増加にともない、将来性はどう変化していくのでしょうか。
次に、働き口や活躍の場が増え、言語聴覚士の未来が明るい理由を解説します。
高齢化により働き口が豊富
2021年の日本の高齢者は3,640万人(65歳以上)であり、総人口の29.1%です。
2040年には、高齢者が3,921万人まで増加するとも予想されています。
前述したように、高齢者が増加すると、加齢にともなう疾患により嚥下・言語障害を有する人も増えると考えられます。
そして、言語・嚥下リハビリの専門職である言語聴覚士のニーズも増加するでしょう。
現在でも、言語聴覚士は病院だけなく、訪問看護ステーションや老人保健施設、特別養護老人ホームなどの介護分野での活躍が期待されています。
さまざまな疾患に関わる活躍の場は増えている
2020年度の診療報酬改定により、新たな現場に言語聴覚士の介入、および基準への追加が定められました。
- 呼吸器リハビリテーション科での介入が算定対象に
- 難病患者リハビリテーション科の施設基準に追加
- 脳血管疾患等リハビリテーション科の施設基準に追加
施設基準とは、その施設に満たすべき人員や設備の基準です。
つまり、難病患者リハビリテーション科、脳血管疾患等リハビリテーション科に、言語聴覚士が満たすべき人員として追加されたのです。
診療報酬改定により、言語聴覚士は新たな活躍の場が増えたと判断できるでしょう。
未来に向けて言語聴覚士に求められること
高齢者の増加や診療報酬改定により、言語聴覚士の将来性への期待が高まったことがわかりました。
ではこれからの言語聴覚士は、どのようなスキルが求められるのでしょうか。
ここからは、未来の言語聴覚士に必要な要素を紹介します。
得意分野をつくる
これからの言語聴覚士は、サービスの質と量、どちらでも高い水準の力を発揮できる得意分野をつくるべきでしょう。
言語聴覚士の需要が高まっていますが、現場での供給が追いついていない状態であり、サービスの質・量の両方が必要となるためです。
児童・成人・老年とさまざまな分野があるなかで、特に興味や熱意を持てる分野を得意分野に定め、より高い水準のサービスを提供できるよう努めましょう。
医療に関する知識・経験を積む
言語聴覚士の働き口が介護や在宅などの現場に広がるなか、必要となるのが医療に関する知識や経験です。
病院では病状の重症化や急変が起きても、すぐに看護師や医師を呼べます。
しかし、在宅や介護、教育の現場では、看護師や医師が常駐しているわけではありません。
つまり、利用者さんや患者さんの状態変動が起きた際、適切に対応できる能力が必要です。
将来的に在宅や介護現場で働きたいと考えているのであれば、病院でバイタルサインの取り方や病状に関する経験や知識を学んでおくべきでしょう。
また、前述したように呼吸器・難病患者・脳血管疾患等のリハビリテーション科に介入していくためにも、さまざまな医療知識や経験が必要です。
幅広い経験を積んでサービスの質を上げる
言語聴覚士の仕事では、人生経験や趣味・特技がサービスの質の向上につながります。
人生経験や趣味・特技が、患者さんや利用者さんの求めるリハビリにつながることがあるためです。
例えば、以下のとおりです。
- 料理が好きなら、料理をしたい人の気持ちや必要な動作が具体的にわかる
- パソコンが特技なら、パソコンに必要な知識や動作が具体的にわかる
さまざまな経験や特技・趣味がある言語聴覚士は、患者さんや利用者さんの思いを的確に汲み取り、リハビリにもつなげやすくなります。
では、幅広い人生経験や趣味・特技がない人は、言語聴覚士に向いていないのでしょうか。
言語聴覚士に向かない人に関しては、こちらの記事を参考にしてください。
言語聴覚士は需要が高く将来性のある仕事
言語聴覚士の需要は高まっており、将来性は今後も広がります。
高齢者の増加や診療報酬改定により働き口が増加しているのに加えて、ほかのリハビリ職と比べるとまだまだ有資格者が少なく、需要と供給が追いついていないためです。
言語聴覚士としてのキャリアを考えている人は、めざすのがおすすめです。
そして、ニーズのある言語聴覚士となるために、幅広い人生経験を積みながら、自分の得意分野をゆっくり見定めていきましょう。