
理学療法士として働くうえで、勤務形態や仕事内容などについて詳しく知りたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、理学療法士の働き方について紹介していきます。
また、理学療法士としての理想の働き方を実現するためのポイントも紹介しています。
どのような点に注目し、就職先を探すと良いのかも一緒に確認しましょう。
目次
理学療法士の働き方とは
理学療法士の働き方について、以下の3点から解説していきます。
- 勤務形態・勤務時間
- 勤務先の特徴
- 理学療法士の一日の流れ
自分に合った働き方を見つけるために、勤務形態や仕事内容などは重要な要素になります。
一つずつ確認しましょう。
勤務形態・勤務時間
理学療法士は患者さんが起きている日中にリハビリを行います。
そのため、勤務は日勤のみとなっており、看護師や介護職のように夜勤はありません。
理学療法士は、基本的に8時から9時頃に出勤し、17時から18時頃に退勤となります。
その間に勤務時間が8時間、休憩が1時間あります。
規則正しい勤務時間のため、生活リズムを整えやすいのが特徴です。
ただ、勤務先によっては起床直後や就寝前に介入する場合があるため、早番や遅番をする職場もあります。
例えば、回復期病院では食事や入浴などの日常生活動作もリハビリに含まれます。
その場合は、早番や遅番によるリハビリへの介入が必要です。
休日は以下のように勤務先により異なります。
勤務先 | 休日 |
クリニック | 休診日に合わせて平日1日+日祝 |
病院・介護施設 | シフト制で週休2日 |
回復期病院 | 365日リハビリを実施しているため、曜日に関係なくシフト制 |
クリニックは、休診日はリハビリも休みになるため、理学療法士も休日になります。
病院や介護施設では、入院・入所の方に対してリハビリをするため、基本的に平日はリハビリがありますが、日曜日は休みの場合が多いです。
病院でも365日リハビリを実施している回復期病院などは、日祝関係なくシフト制が導入されています。
勤務先別の特徴
理学療法士の主な勤務先は以下のとおりです。
- 医療機関
- 介護・福祉施設
- 一般企業・スポーツ関連
勤務先により仕事内容や、理学療法を行う対象者が異なります。
それぞれの勤務先の特徴を確認していきましょう。
医療機関
理学療法士の就職先として最も多いのは医療機関です。
実に8割以上の理学療法士が、医療機関で働いています。
医療機関でのリハビリにはステージがあり、急性期・回復期・生活期(維持期)の3つに分類されます。
理学療法士が果たす役割や治療・指導内容は、ステージにより異なるため、それぞれの患者さんに合わせたサポートをしましょう。
ステージごとの役割や、具体的な治療内容は以下のとおりです。
特徴 | 理学療法士の役割 | 治療・指導内容 | |
急性期 | 手術直後や、病気の発症直後の安静が必要とされる時期。 | 患者さんの病状を見極め、可能な限り積極的に理学療法をすることで、回復期でのスムーズな機能回復を促す。集中治療室での仕事も含まれる。 | 麻痺や痛みの治療、患部幹部保護のための日常生活の指導、筋力低下や関節が固まること硬直の防止など。 |
回復期 | 病状が安定してきた患者さんを対象に、体の機能を回復させるため積極的に理学療法士が介入する時期。 | 患者さんを元の生活に戻すためのサポートをする。 | 日常生活動作の獲得、 杖や歩行器等手すり等の福祉用具の使い方指導、家族指導、手すりの設置等在宅環境への提案など。 |
生活期 (維持期) |
患者さんが社会に復帰して、自分らしい生活を継続するために、自宅や入居している施設などで理学療法士が介入する時期。 | 回復した機能の維持に加え、生活の質の向上もめざしていく。状態の悪化や再発を防ぐことも重要になる。 | 社会参加、福祉用具の選定、住宅のリフォーム提案、家族指導など。 |
理学療法士は、病院では入院の患者さん、クリニックでは外来の患者さんに関わります。
また、上記の分類以外にもがんの患者さんに対して、亡くなるまでできるだけ自分らしい生活を送ってもらうためにサポートをすることもあります。
このように、医療機関での仕事は多岐に渡るため、患者さんや治療内容に合わせた柔軟な対応が求められるでしょう。
介護・福祉施設
医療機関の次に勤務先として多いのが、介護・福祉施設です。
要介護状態の高齢者や障がい者に対する理学療法を行います。
介護に関する勤務先には、自宅から通う高齢者に対して理学療法を行う「通所リハビリ・通所介護」と、在宅に赴いて理学療法を行う「訪問リハビリ」があります。
介護に関する勤務先では、高齢者ができるだけ自立した自分らしい生活が継続できるようサポートすることが仕事です。
リハビリのみでなく自宅環境の調整や、福祉用具の選定なども行います。
障がい者や障がい児と関わる福祉施設では、医学的な知識だけでなく、身体障がい・知的障がい・発達障がいなど、障がいに関する幅広い知識も必要です。
重度の障がいにより、移動が難しかったり、寝たきりだったりする方も多いです。
機能の回復は難しくても、できるだけ機能を維持させ、日常生活が送れるようサポートしましょう。
一般企業・スポーツ関連
一般企業やスポーツ関連施設で働く理学療法士もいます。
ただし、数はそれほど多くはありません。
一般企業の就職先としては、医療機関や運動器具、住宅のメーカーなどが挙げられます。
医療機器や運動器具を扱う企業では、理学療法の知識や技術を活用できます。
また、住宅メーカーでは、バリアフリー設計など高齢者が住みやすい住宅の提案に関われるでしょう。
スポーツ関連の就職先としては、プロや実業団のスポーツチーム、地域のスポーツクラブやフィットネス施設のトレーナーが挙げられます。
ここでは、健康な方の怪我を予防したり、さらなるパフォーマンスの向上をめざしたりしています。
そのため、理学療法だけでなくスポーツやトレーナーの知識・技術が必要です。
就職先として選ぶ際は、事前にスポーツやトレーナーの知識・技術をつけておくと、就職を有利に進めることができます。
理学療法士の一日の流れ
理学療法士の具体的な働き方をみていきましょう。
とある一日のスケジュールをまとめました。
- 8:30:出勤、業務準備、ミーティング
出勤したら、リハビリを開始する前に担当する患者さんの情報を確認したり、他のスタッフと患者さんの情報を交換したりします。
一日のスケジュールを確認し、リハビリの順番をどのように回していくか考えます。 - 9:00:臨床業務
午前に担当する患者さんのリハビリを行います。 - 12:00:休憩
1時間お昼休憩をはさみます。 - 13:00:臨床業務、カンファレンスなど
午後に担当する患者さんのリハビリを行います。
患者さんの状態や退院先などについて、医師や看護師、作業療法士などの専門家と話し合います。 - 17:00:カルテ記載、ミーティング
書き残したカルテがあれば記載を終わらせます。
その他の書類業務、患者さんについての情報交換や明日以降の準備をします。 - 17:30:退勤
理学療法士として理想の働き方を実現するには
理学療法士として理想の働き方を実現するには以下の4つがポイントになります。
- サポートする対象者を明確にする
- 将来を見据えた長期的な視点を持つ
- 自分のやりたいこと、得意なことを活かせるか
- 給与や待遇面をしっかり確認する
自分がめざしている働き方を実現するためにも、これらのポイントを参考にして就職先を探しましょう。
サポートする対象者を明確にする
理学療法士は就職先によって、治療の対象者が異なります。
自分がどのような方のサポートをしたいか明確にすると、希望する就職先がおのずと決まってきます。
例えば、子どもに対する治療をしたい場合は、小児科または小児リハビリのある病院やクリニック、療養センターや児童発達支援センターが挙げられます。
他にも、高齢者、スポーツ選手、地域住民など自分がサポートしたい対象者を具体的にイメージすることで、就職先とのギャップを事前に防ぐことが可能です。
将来を見据えた長期的な視点を持つ
将来のキャリアプランに沿った長期的な視点で就職先を選びましょう。
自分の理想とする理学療法士を思い浮かべ、プランを練るのも良いかもしれません。
初任給や立地の良さなども、就職するうえで欠かせないポイントです。
しかし、目先の待遇や条件にとらわれると、自分が将来なりたい理想と比べたときに、思ったとおりにならない可能性があります。
そのため、自分がどのような理学療法士になりたいのか、地域や社会にどのように貢献したいのかを明確にすることが大切です。
また、明確にした将来像につながる経験ができたり、研修が受けられたりする就職先かどうかを就職前に確認しておきましょう。
自分のやりたいこと、得意なことを活かせるか
自分のやりたい仕事や得意な分野を明確にして就職先を選びましょう。
施設の方針や特徴によっては、自分の得意な治療や手技が使えない場合や、興味のある知識や技術が活かせない場合があります。
自分のやりたくない仕事を続けていると、モチベーションが下がってしまい、仕事が苦痛になりかねません。
就職先の業務と自分のやりたい仕事とのミスマッチを防ぐためにも、自分の興味や得意なことを掘り下げるとともに、就職先の情報を事前に調べておきましょう。
例えば、ホームページで治療方針を調べたり、実際に働いている方の話を聞いてみたりすると、就職先の仕事のイメージがしやすいかと思います。
給与や待遇面をしっかり確認する
就職先を選ぶにあたり、自分のキャリアプランや仕事内容を優先したほうが良いですが、給与や待遇面も自分の許容範囲であるかの確認も大切です。
いくら自分のしたい仕事ができても、低い給与や悪い待遇ではモチベーションが低下してしまいます。
給与は基本給だけでなく、手当や退職金、加入保険などでも長期的な収入は変わってきます。
入社時点のみでなく、退職までを含んだ幅広い視点で確認しておきましょう。
理学療法士は勤務先により働き方が異なるため就職前に確認しよう
理学療法士の働き方は勤務先により異なります。
就職前に自分がサポートしたい対象者がいるか、自分がやりたい治療ができるかを知ることで、就職後のギャップを防げます。
また、自分が理想とする働き方を実現するために、将来のキャリアプランを実現できるかや、給与や待遇面などを考慮して就職先を決めましょう。