
公認心理師の国家資格を得るには、試験に合格しなければなりません。
ただし、誰でもすぐに試験を受けられるわけではなく、公認心理師のカリキュラムに対応した大学・大学院で特定の科目を履修するなどの受験資格を満たす必要があります。
受験資格を得るまでには時間や費用がかかるため、計画的に対策を講じるようにしましょう。
この記事では、受験資格なしの状態から公認心理師をめざすときの対策を解説します。
基本的には進学が必要となりますが、すでに心理に関わる仕事をしている方や大学・大学院で学んでいる方に向けた特例もあるため、自分に適したルートを見極めましょう。
目次
公認心理師の受験資格なしの場合にこれからなるための対策
公認心理師の受験資格なしの場合、以下4つの対策が今後必要になります。
- 公認心理師に対応した大学・大学院で特定の科目を履修する
- 実務経験年数を満たす
- 公認心理師法施行前に心理系の大学・大学院を修了しているか確認する
- 大学修了後の実務経験年数を満たす
順に詳しく解説します。
公認心理師に対応した大学・大学院で特定の科目を履修する
公認心理師の国家試験の受験資格を得るには、公認心理師に対応した大学・大学院で特定の科目を履修する必要があります。
公認心理師資格に対応した4年制大学にて、心理学概論や臨床心理学概論など、公認心理師法施行規則で定められた科目の履修が必要です。
公認心理師に対応していない大学・大学院では、受験資格を満たせません。
公認心理師となるために必要な科目を受講できる大学は、早稲田大学や明治大学など東京都内をはじめとして、大阪府、愛知県ほか多くの都道府県にあります。
また、公認心理師対応大学院としては、東京大学大学院やお茶の水女子大学大学院などの国立だけでなく、上智大学大学院や青山学院大学大学院などの私立も選択肢の一つです。
公認心理師対応かつ通信制の大学・大学院もありますが、2023年時点だと数は多くありません。
実務経験年数を満たす
公認心理師対応の大学を卒業したあとは、大学院に行かずに実務経験を積むルートもあります。
公認心理師法施行規則で定められたプログラム施設にて2年以上の実務経験を積みましょう。
プログラム施設とは、全国にある少年鑑別所や刑事施設など以下のような施設のことです。
- 少年鑑別所・刑事施設
- 一般財団法人愛成会 弘前愛成会病院
- 裁判所職員総合研修所・家庭裁判所
- 医療法人社団至空会 メンタルクリニック・ダダ
- 医療法人社団心劇会 さっぽろ駅前クリニック
- 学校法人川崎学園 川崎医科大学附属病院
- 学校法人川崎学園 川崎医科大学総合医療センター
- 社会福祉法人風と虹 筑後いずみ園
- 社会福祉法人楡の会
裁判所職員総合研修所・家庭裁判所は、裁判所の職員採用の合格者が対象となっているため、いずれも国家公務員になることが条件です。
公認心理師法施行前に心理系の大学・大学院を修了しているか確認する
2017年9月15日の公認心理師法の施行より以前に心理系の大学・大学院を修了している方は、特例が適用される可能性があります。
公認心理師に対応していない大学を卒業した方の場合、2017年9月15日より前に必要科目を大学院で履修していれば、公認心理師対応の大学へ入学し直す必要はありません。
2017年度第一期までに対応した大学院へ入り、修士全科生として学籍が有効なうちに経過措置対応科目のすべてを履修することが条件です。
履修対象の10科目のうち、必修を含む6科目以上の単位を取る必要があります。
心理系とは異なる学部から公認心理師になるため大学院に入った方やすでに大学院を修了している方など、大学の学部を問わず公認心理師をめざせるルートです。
なお、このルートは単位の読み替えに対応した大学院のみが対象となる点に注意しましょう。
大学修了後の実務経験年数を満たす
すでに大学を修了している方は、実務経験年数を満たすことでも公認心理師の受験資格を得られます。
公認心理師法が施行された2017年9月15日より前に、必要科目の5割程度を大学で特定の科目を履修している方であれば、卒業後に2年以上の実務経験を積むことで受験が可能です。
大学で履修している必要がある科目には、公認心理師法施行規則の第1条の2で定められた公認心理師の職責や心理演習など25項目があります。
修了後に大学院へ進まない場合、公認心理師法施行規則の第5条で定められた少年鑑別所・刑事施設などのプログラム施設で業務に従事しましょう。
大学院に通う費用を抑えられるのがメリットですが、プログラム施設の数が多くないぶん、競争率が高くなりやすいことを念頭に置いておく必要があります。
受験資格なしで公認心理師になるには地道に資格条件を満たす必要がある
受験資格なしの状態から公認心理師になるためには、公認心理師に対応した大学や大学院で特定の科目を履修する、大学卒業後に実務経験年数を満たすなどのルートが考えられます。
条件を満たすには時間も費用もかかるため、計画的に対策を立てることが大切です。
なお、2017年9月より以前に心理系の大学・大学院へ通っていた方は、特例が適応され、新たに公認心理師対応の学校へ入学し直さなくとも受験資格を得られる可能性があります。
自分自身に最適なルートで受験条件を満たし、公認心理師試験の合格をめざしましょう。