
訪問看護師は、主に一人で患者さんの自宅を訪問し、さまざまな家の状況下で専門的な知識や技術を活用し、患者さんのケアにあたります。
そのため、訪問看護師自身の取り組みが見えづらく、仕事に対する意欲などを持ち続けることが難しい場合があるでしょう。
ここでは、訪問看護師のモチベーション維持などにつながる「個人目標」の必要性を詳しく解説します。
実際の個人目標の例文もあわせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
訪問看護師に個人目標はなぜ必要
訪問看護師は、さまざまな疾患の患者さんに対し、主に一人で訪問します。
実際に働いている状況が他者に見えづらく、やる気を維持できないといった場合があるでしょう。
そのため、目的や課題を明確化し、仕事に対する役割がわかることで、モチベーションを保つことができます。
取り組みが評価されれば、より一層やりがいにつながることになるため、個人目標はとても重要です。
目的や課題が明確化する
ただ闇雲に訪問看護を行うだけでは、目的が定まらず、自分は何をしたいのか、どうなりたいのかがわからなくなります。
自分自身が訪問看護を通して、どのような看護師になりたいのか、1年後、5年後にどのようなケア介入ができる看護師になりたいのか、などを明確化することで、日々の業務に対しやりがいや意味をもつことができます。
ほかにも、「これを解決したい」という具体例をもつことで、それを達成するためにどのようなステップを踏めば良いのか、何を学べば良いのかなど自分の行うべきことが見えてくるでしょう。
仕事に対する役割・責任がわかりモチベーションが維持できる
個人目標を決めることで、訪問看護師の業務を行うなかで、「私はこうなりたいから、今この役割を担い、その業績の〇%を達成してみせる」など、具体的な役割を見つけることができます。
また、その役割を任されたうえで、将来どのような看護師になりたいのかも明確化できるため、仕事を果たすための目的ややりがいをもつこともできるでしょう。
加えて、その役割を果たすことで、周囲の評価も上がり、自分が実際に貢献できていることや、業績内容からモチベーションを維持することにつながります。
取り組みが評価されやすい
上記でも多少触れましたが、個人目標を作ることで、個々の取り組みが他者に評価されやすく、やりがいや「しっかりと評価してくれている」といった気持ちにつながります。
訪問看護師は一人で患者さんのお宅に訪ねるため、病院勤務のように上司が働いているところを見に来て、評価するということは少ないです。
そこで個人目標を数値化することでわかりやすくなり、正当に評価されるでしょう。
個人の評価がしっかりと行われることで、個々のやる気が上がります。
それにより、訪問看護ステーション全体の士気が高まり、施設全体の目標達成につながるでしょう。
訪問看護師の個人目標作成時のポイント
個人目標作成時は、数値で明確化することで評価しやすくなります。
また、わかりやすく適切な難易度にすることで、個人のスキルアップやモチベーション維持につながるため、無理して難易度の高い目標を設定しないよう注意しましょう。
目標設定は数値で明確にする
目に見える数値だけが仕事内容ではない仕事の特性上、看護業務はどうしても、他の企業のように「ノルマ:売り上げ〇%達成」など、数値化しづらい点があります。
それは、患者さんやそのご家族に対するケアや言葉がけなど、数値では表せない、目に見えないケアが多いからです。
しかし、視野を広くして考えると「患者さんやそのご家族からのクレームを〇件にする」や「訪問件数を〇件増やす」など、数値で表すことができる側面もあります。
数値で評価することで、均一性が上がり評価を誰でも正しく行うことができるため、数値化できるもので個人目標を検討することが重要です。
わかりやすい目標を立てる
例えば、「1年後クレームが減るよう頑張る」などの目標だと、評価できる基準点がなく、客観的に評価することが難しくなります。
そのため、具体的に評価できるよう「6W1H」という「誰が・誰に・何を・いつ・どこで・なぜ・どのように」を意識しながら、個人目標を作成することが重要です。
例えば、「1年後クレームが減るように頑張る」であれば、「患者さんに対し、看護ケアを〇回/週行い、そのケアに対しクレームが0件になるよう取り組む」などと内容を一部変更するだけでも、評価しやすくなります。
適切な難易度の目標にする
あまりにも今の自分とかけ離れすぎている目標を立ててしまうと「これは難しかったからできなくて当然」となり、目標達成できません。
反対に、あまりにも簡単な目標設定を行うと「もう達成したからあとはいいや」と、力をのばせず、自身の成長につながらない恐れがあります。
今の自分に合っているのかを吟味し、適切な目標を設定することで、できることが増え、やりがいやモチベーション向上につながります。
自分だけでは評価しづらい場合、上司に相談し客観的評価もしてもらいながら個人目標を設定することが重要になるでしょう。
訪問看護師のおすすめな個人目標の作成の仕方
個人目標の考え方がわかったところで、次は個人目標の作成の仕方について解説します。
目標管理シートを作成し、その後上司と面談しましょう。
自分のなかでどのような看護師をめざしたいのか、どうなりたいのかを目標管理シートで考え、上司に内容を相談することで、他者からの評価も入り、より密度のある個人目標を作ることができるでしょう。
目標管理シートを作成する
目標管理シートとは、その名のとおり、施設やその長が定めた目標や看護師個人が作成した個人目標を管理するためのシートのことです。
第三者からの評価をしやすくしたり、個人の成長度を見える化できたりと、やりがいにもつながるシステムで、導入している施設もあるでしょう。
事前にどのような看護師になりたいのか、今年度は何を達成したいのかなどを明確化しておくと書きやすいです。
考えた目標を施設や長が掲げる目標とリンクさせ、自分の役割が何になるのかを検討します。
目標管理シートを使用し、1年間でどうなることを目標とするのかを記載しましょう。
目標管理シート作成後に上司と面談する
目標管理シートを作成したら、上司との面談を行います。
上司に目標管理シートを見せながら、目標やその理由を説明できると、上司からの具体的なアドバイスや提案を受けやすいでしょう。
また、目標は施設の理念と合っているか、目標を達成するためにはどのような援助が必要かなどについても話し合います。
中間評価や期末評価ではそれまでの仕事を振り返り、目標として妥当かや職場との方向性と相違がないか都度見直して調整すると良いでしょう。
訪問看護師の個人目標の具体例(新人編)
新人看護師は、まずは社会人として具体的な接遇や対応を学び、日々のケア・業務に慣れることが重要です。
そのあとにペアではなく、自立して業務を行うことができる必要があります。
その点を考慮すると、下記のような個人目標が想定できます。
〇月中に業務開始10分前までに、その日訪問する患者さんの情報を取り終えることができるようになる。
〇月までにおむつ交換、清拭・陰洗を覚え、自立して行えるようになる。
〇月までに採血を一人で行えるようになり、〇月までに〇件達成する。
訪問看護師の個人目標の具体例(ベテラン編)
新人看護師とは違い、ベテラン看護師になると、目標はより理想的な働き方や自身のキャリアアップにつながる個人目標に変わっていきます。
自分が将来どのような資格をとりたいのか、どのような働き方を行い、どうなりたいのかなどを明確化できるよう目標設定を行います。
下記にキャリアアップと家庭、それぞれに重きをおいた具体例を記載しましたので、参照してください。
診療看護師(NP)の資格を〇月までに取得するために、〇月から研修へ行く。
NPの資格を取得したあとは、実際の訪問時ポケットエコーを用いて心エコーを活用し、往診医へ月に〇件報告する。
子どもが生まれたばかりであるため、定時で業務を終え帰宅できるよう、日々の業務を効率良く行う。
定時で帰る日を〇件/月とする。
個人目標を充実させて訪問看護師の仕事を楽しもう
個人目標を作ることで、訪問看護師の見えないケアや看護、努力を評価してもらいやすくなり、自分自身の課題や問題点も明確になります。
個人目標を作る際は、誰にでも評価してもらいやすい数値で見える化し、わかりやすく自分に合った適切な難易度の目標を立てることが必要です。
個人目標を適切に作成し、訪問看護師として目標を掲げながら仕事を楽しみましょう。