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ケアマネジャーの処遇改善|2024年度介護報酬改定の影響について解説

2012年に「介護職員処遇改善加算」が導入されて以来、ケアマネジャーは処遇改善加算の対象外とされてきました。
しかし、ケアマネジャーはさまざまな原因で人手不足に陥っており、少しでもこの問題を改善するために、ケアマネジャーにも処遇改善加算が求められています。

この記事では、ケアマネジャーが2024年度報酬改定の影響を受けるのかどうかを解説します。
また、ケアマネジャーを取り巻く現状や今後の見通しも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

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ケアマネジャーは2024年度に処遇改善されるか?

ケアマネジャーは2024年度に処遇改善されるか?

2024年4月・6月より「令和6年度介護報酬改定」が施行されます。
ここからは、2024年度介護報酬改定におけるケアマネジャーの処遇改善について解説します。

介護報酬改定率の一部がケアマネジャーの処遇改善にあてられる

厚生労働省によると、2024年度(令和6年度)の介護報酬改定率は+1.59%です。
内訳は「介護職員の処遇改善分」が+0.98%、「その他の改定率」が0.61%となっています。

「介護職員の処遇改善分」における「介護職員」に、ケアマネジャーは含まれていません。
しかし、自助努力でケアマネジャーの賃金を引き上げるのは困難なため、近年ではケアマネジャーの人材確保が課題となっています。

そこで、状況を打開するため厚生労働大臣・財務大臣は、「その他の改定率」を介護職員に含まれない職員(ケアマネジャー含む)の処遇改善にあてるよう求めています。

2024年も処遇改善加算の対象にはならず

ケアマネジャーは、これまでの社会保障審議会(介護給付費分科会)でも「処遇改善加算の対象に入れるべき」とされてきました。
しかし、2024年度も処遇改善加算は原則としてケアマネジャーを含まない「介護職員」が対象となります。

2024年度以降の処遇改善加算は以下のとおりです。

2024年も処遇改善加算の対象にはならず

出典:厚生労働省 介護人材の処遇改善等(改定の方向性)p10 処遇改善に係る加算全体のイメージ(令和4年度改定後)

「介護職員処遇改善加算(上図の水色の部分)」は、賃金以外の職場環境の改善に取り組み、以下のキャリアパス要件を満たす事業所に加算されます。

  1. 職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系
  2. 研修の実施または機会の確保
  3. 職員の資格等に応じて昇給する仕組み・定期的に昇給を判定する仕組み

上記のキャリアパス要件をすべて満たす場合は「処遇改善加算(Ⅰ)」が支給され、1と2を満たす場合は「処遇改善加算(Ⅱ)」、1または2を満たす場合は「処遇改善加算(Ⅲ)」が支給されます。

「介護職員等特定処遇改善加算(上図のピンクの部分)」は、事業所が主に「経験・技能のある介護職員」に配分する加算です。
介護職員特定処遇改善加算(Ⅰ)と(Ⅱ)は、事業所が提供しているサービスによって異なります。

「介護職員等ベースアップ等支援加算(上図の黄色の部分)」は、介護職員の収入を3%程度引き上げるために創設された加算です。
ただし、加算の対象になるには、処遇改善加算(Ⅰ)~(Ⅲ)のいずれかを取得する必要があります。

介護職員等特定処遇改善加算と介護職員等ベースアップ等支援加算は「各事業所の判断で介護職員以外の職員にも加算して良い」と認められています。
しかし、介護職員等特定処遇改善加算を取得している事業所は77.0%、介護職員等ベースアップ等支援加算を取得している事業所は92.1%です。
したがって、事業所によってはケアマネジャーに処遇改善を導入していない場合もあるでしょう。

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ケアマネジャーの処遇改善が求められる背景

ケアマネジャーの処遇改善が求められる背景には、主に以下の原因が考えられます。

  • 受験資格が厳しくなり手が不足している
  • 業務範囲が広く責任が重い
  • 仕事内容に対して給与が低い

受験資格が厳しくなり手が不足している

ケアマネジャーの資格は、第20回(2017年)までは実務経験があれば無資格でも受験可能でした。
しかし、第21回(2018年)から受験資格に変更があり、は「既定の国家資格等に基づく業務または既定の相談援助業務で、5年以上かつ900日以上の実務経験」が必要になりました。
受験できる対象者がより限定的になったのです。

受験資格が厳格化された第21回ケアマネジャー試験は、受験者・合格率ともに激減しました。
詳細は以下の表をご覧ください。

第20回ケアマネジャー試験

(2017年)

第21回ケアマネジャー試験

(2018年)

受験者 131,560人 49,332人
合格率 21.5 % 10.1 %
合格者 28,233人 4,990人

2018年以降も受験者は4〜5万人程度であり、毎年10万人以上もいた2017年以前と比較すると大幅に減少しています。
同時に合格者数も大幅に減少して、ケアマネジャーのなり手が不足しているのです。

業務範囲が広く責任が重い

公益財団法人介護労働安定センターの「介護労働実態調査」によると、業務に対して「精神的にきつい」と感じているケアマネジャーの割合は、他の業種よりも多いと判明しました。
他にも「人手が足りない」「業務に対する社会的評価が低い」といった声が多く聞かれます。

近年、ケアマネジャーの業務範囲は確実に広がっています。
介護保険に関する業務に加え、介護保険外のサービス調整や地域ケア会議、医療機関との連携などの業務が、ケアマネジャーに課されるようになっているためです。

さらに、ケアマネジャーの責任も重くなりつつあります。
介護業界全体が慢性的な人材不足で社会資源が乏しく、利用者の望むサービス提供が難しくなっているからです。
拡大し続ける業務範囲と責任の重さから、ケアマネジャーの仕事を敬遠したり、ケアマネジャーの仕事から離れたりした方もいるでしょう。

仕事内容に対して給与が低い

令和4年度のケアマネジャーの平均年収は405.8万円ですが、施設介護員の年収は362.9万円、訪問介護員の年収は353.2万円です。
一般にケアマネジャーの年収は他の介護職よりも高いため、処遇改善の優先度が低くなったとも考えられます。

介護職員の処遇改善は2009年から始まり、2012年4月より「介護職員処遇改善加算」が介護報酬に組み込まれました。
しかし、ケアマネジャーは処遇改善加算の対象から外されたことから、「仕事内容に対して給与が低い」という意見が多く聞かれるようになりました。

2019年10月からは勤続10年の介護福祉士を対象とした「特定処遇改善加算制度」が実施され、ケアマネジャーのほうが給料が低くなるケースも出てきています。
先述したとおり、ケアマネジャーは業務範囲が広く責任も重いため「仕事に対する給与が低い」と感じ、退職する方もいます。

今後ケアマネジャーは処遇改善加算の対象になる?

ケアマネジャーがいつから処遇改善の対象になるかは未定ですが、今後実現する可能性は十分あるでしょう。
一般社団法人日本介護支援専門員協会や日本医師会は、居宅ケアマネジャーを対象とした処遇改善加算の適用や、居宅介護支援の基本報酬増を求めています。
特に「居宅ケアマネジャーを対象とした新たな処遇改善加算の創設」を求める声は、厚生労働省も「無視できない」と認識しています。

ケアマネジャーの処遇改善は今後も検討されるべき課題

ケアマネジャーは2024年度処遇改善加算の対象外です。
しかし、慢性的な人材不足の打開に向け、厚生労働省は介護報酬改定率の一部をケアマネジャーの処遇改善にあてるよう求めています。

ケアマネジャーの処遇改善が求められる背景として、受験資格の厳格化や業務負担の重さによるなり手不足、仕事内容に対して給与が低い現状が挙げられます。
これらの事情が重なってケアマネジャーは人材不足に陥っており、各職能団体はケアマネジャーを処遇改善の対象にするよう政府に訴え続けているのです。

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