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認定薬剤師とは?資格取得の流れや分野を紹介

この記事の監修者
牧野泰尚
【資格】
薬剤師
【プロフィール】
製薬企業で約20年勤務。営業・本社勤務・支援スタッフの経験あり。
2024年4月からフリーライターとして医療系記事を執筆。

薬剤師には、特定の分野に特化した専門性の高い知識と技術を持つ「認定薬剤師」という上位資格があることをご存じでしょうか。
認定薬剤師は、生涯学習を通じて自己研鑽に励み、より高度な薬学的管理を提供できる薬剤師として認定される資格です。

本記事では、認定薬剤師の概要や種類、取得方法やメリットについて詳しく解説していきます。

※本記事は薬剤師認定制度認証機構の情報に基づいて作成しています。

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認定薬剤師とは

認定薬剤師とは

認定薬剤師とは、特定の分野において高度な知識と技術を有する薬剤師に与えられる認定資格です。
一般的な薬剤師や専門薬剤師との違いについて見ていきましょう。

薬剤師との違い

薬剤師のスキルアップの手段の一つとして認定薬剤師の資格を取得することがあります。

認定薬剤師は、特定の分野において専門的かつ高度な知識と技術を持つ薬剤師に与えられる資格です。
この資格は、認定薬剤師制度に基づいて設定された研修プログラムや実技を通じて、必要な単位を獲得することで取得が可能です。
認定薬剤師として認められるためには、自己研鑽を続け、薬剤師としての専門性と能力を維持し、さらには向上させる努力が求められます。

この制度の目的は、薬剤師自身の資質と専門性を向上させることで、国民の保健衛生の向上と生活の質の改善に貢献することです。

専門薬剤師との違い

専門薬剤師は、特定の疾患や診療領域、特定患者領域などより専門領域を特化し、薬学的な専門知識を生かして、チーム医療や保健、福祉に貢献します。
専門薬剤師認定制度は、薬剤師の能力を保証し、認定する制度です。

認定薬剤師の制度は4つ

薬剤師認定制度認証機構の認定薬剤師の制度は、生涯研修認定制度、特定領域認定制度、専門薬剤師認定制度、その他の認定制度の4つに分けられます。

それぞれの制度の特徴について詳しく見ていきましょう。

生涯研修認定制度

生涯研修認定制度は、薬剤師が最新の情報、知識、技術を習得できるように良質な研修を継続的に企画、実施し、その結果を評価して単位を給付する制度です。
この制度を通じて、薬剤師は生涯にわたって学習を続け、自己研鑽に励むことができます。
単位の取得は、研修会への参加やe-ラーニングの受講などを通じて行われ、一定の単位を取得することで認定薬剤師の資格を得ることができます。

特定領域認定制度

特定領域認定制度は、特定の分野・領域において薬剤師の職能向上を目的にした適正な研修を受講して、知識・技術を取得した成果を認定する制度です。
2024年5月現在では、以下6つの特定領域があります。

  • 医薬品ライフタイムマネジメント認定薬剤師
  • 日本プライマリ・ケア認定薬剤師
  • 在宅療養支援認定薬剤師制度
  • 日病薬病院薬学認定薬剤師
  • 健康食品領域研修認定薬剤師
  • 糖尿病薬物療法認定薬剤師

特定領域認定制度では、各領域に特化した研修プログラムが用意されており、それらを修了することで認定薬剤師の資格を取得できます。

専門薬剤師認定制度

専門薬剤師認定制度は、特定の分野において最適な薬物療法の提供を目的に、最先端の知識や技術を取得するだけでなく、専門分野における活動や研究活動を行っている薬剤師として能力を保証するための認定制度です。

専門薬剤師の認定には、筆記試験や実技試験、面接などが行われ、厳正な審査を経て資格が付与されます。

その他認定制度

その他の認定制度とは、上記に該当しないプログラムで、特定の能力をもつ薬剤師を認定する制度です。
2024年5月現在は、以下制度のみ認められています。

  • COE/MCS認定制度

MCS認定制度とは、東北大学大学院薬学系研究科が認証を受けた質の高い臨床研究を遂行できる人材を育成するためのコースです。

認定薬剤師の資格取得の流れ

認定薬剤師の資格を取得するためには、いくつかのステップを踏む必要があります。
ここでは、資格取得の流れについて詳しく解説していきます。

研修に参加する

認定薬剤師の資格を取得するためには、研修会参加の前に各分野の申請資格の確認が必要です。

そして申請資格を取得したうえで研修会に参加します。
認定薬剤師認証研修機関(プロバイダー)が主催する研修等に参加し、受講証明として発行された単位を集めましょう。

研修はオフラインで行われることもあれば、Webやe-ラーニングで参加可能なものもあります。

資格の申請をする

必要な単位を取得したら、認定審査料を振り込み、資格の申請を行います。
申請はPECSを使って行うことができ、オンライン上で手続きを進めることが可能です。
申請の際には、取得した単位の証明書類などを提出する必要があります。

資格証明書が発行される

申請が承認されると、認定薬剤師として登録され、認定薬剤師証が発行されます。
この認定薬剤師証は、認定薬剤師の資格を取得したことを証明するものであり、専門性の高さを示すものといえるでしょう。

資格更新のための単位を取得する

認定薬剤師の資格の更新は、3年ごとに30単位以上、毎年5単位以上の単位取得が必須です。
なお、他の研修機関取得単位も合算できます。
ただし、薬剤師認定制度認証機構に認定されたプロバイダーのなかには、これに加え独自のセミナーへの参加等の要件を設けているところもあるので注意しましょう。

認定薬剤師の資格更新のためには資格取得後も継続的に研修に参加し、単位を取得し続ける必要があります。
単位の反映には時間がかかるため、期日に間に合うように受講することが大切です。

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認定薬剤師の分野

2024年5月現在、認定薬剤師には前述のとおり、研修認定薬剤師や医薬品ライフタイムマネジメントセンター認定薬剤師、在宅療養支援認定薬剤師、プライマリ・ケア認定薬剤師など6種類があります。
ここでは、認定薬剤師の分野について一部紹介します。

研修認定薬剤師

研修認定薬剤師は、細かい制限がなく幅広い職域の薬剤師が取得しやすい資格です。
また、かかりつけ薬剤師になるための算定要件に入っている資格でもあります。

研修認定薬剤師の資格は、3年に1度の更新が必要であり、e-ラーニング研修や集合研修、論文発表などを通じて、基礎薬学・医療薬学、衛生薬学、薬事関連法規といった幅広い分野を学ぶことができます。
幅広い知識を身につけることができる点も、メリットの一つといえるでしょう。

医薬品ライフタイムマネジメントセンター認定薬剤師

医薬品ライフタイムマネジメントセンターとは、東京大学大学院薬学系研究科の教員が有志で設立したNPO法人です。医薬品や食品に関する情報収集・調査・解析と社会還元、それらを推進する人材の育成を目的に設立されました。

薬剤師は、医療用医薬品や一般用医薬品、特定保健食品、健康食品、サプリメントなどの適正使用と副作用マネジメントを実践します。また、市販後には新たなデータを創出し、育薬に貢献することが求められています。医薬品ライフマネジメント認定薬剤師は、これらを実践できる知識とスキルを保有し、社会に貢献しています。

認定薬剤師となるには、年間24回分の育薬セミナーを受講したうえで、2年以内に50単位以上の取得が必要です。

在宅療養支援認定薬剤師

在宅療養支援認定薬剤師の資格は、日本在宅薬学会が提唱している、「患者さんの立場に沿って、医療チームの一員として活躍することができる一歩先行く薬剤師の育成」を目指して設立しました。在宅療養支援認定薬剤師数は、2024年2月1日に新たに6名加わり、合計162名です。

資格を申請するためには、以下の5つの条件を全て満たしておく必要があります。

  1. 日本国の薬剤師資格を有し3年以上の薬剤師実務経験があること
  2. 薬剤師認定制度認証機構により認証された生涯研修認定制度による認定薬剤師、日本病院薬剤師会生涯研修認定薬剤師または日本医療薬学会認定薬剤師であること
  3. 在宅業務の実践による5事例の報告を提出すること
  4. 日本在宅薬学会主催の学術大会に参加していること
  5. バイタルサイン講習会を受講していること

プライマリ・ケア認定薬剤師

プライマリ・ケア認定薬剤師の資格は、日本プライマリ・ケア連合学会によって、薬剤師の資質向上と日本のプライマリ・ケアの発展に寄与することを目的に創設されました。
地域の患者さんに寄り添いながら、かかりつけ医師・歯科医師・看護師・介護士などと連携し、サポートすることが求められます。

プライマリ・ケア認定薬剤師の認定を受けるには、日本プライマリ・ケア連合学会に研修開始届書を郵送して、4年以内に指定の研修会・講座で50単位を取得する必要があります。
地域医療に貢献したい方におすすめです。

認定薬剤師になるメリット

認定薬剤師の資格を取得することには、さまざまなメリットがあります。
ここでは、認定薬剤師になることで得られるメリットを詳しく解説します。

専門的な知識を有している証明になる

認定薬剤師の資格は、専門分野において最新の医療や薬学の知識と技術を有し、薬剤師としての実力が認められたことを客観的に証明できるものです。
専門分野における知識と技術が身についているため、的確な指導やサポートができ、他の薬剤師との差別化を図ることができます。
医師や看護師はもちろん、患者さんからの信頼度もアップするでしょう。

収入アップにつながる可能性がある

認定薬剤師の資格を取得することで、資格手当がもらえたり昇給したりする可能性があります。
また、転職活動をする際に資格があることを評価され、給与に上乗せしてもらえるケースもあります。
認定資格が昇給の際に考慮されたり、資格手当やインセンティブがもらえたりすることがあり、年収アップにつながるでしょう。

キャリアアップにつながる

認定薬剤師の資格を取得するためには、実際に患者さんを担当して経験を積んだり、プロバイダーが主催する研修に参加したりする必要があります。
そのため、資格取得の過程で薬剤師としての知識や経験をグレードアップすることが可能です。
また、認定薬剤師の資格は、さらなるキャリアアップにつながる上位資格を取得するための要件にもなっています。
資格取得を通じて専門性を高め、キャリアアップをめざすことができるでしょう。

認定薬剤師の特徴やメリットを理解しておこう

認定薬剤師とは、特定の分野において高度な知識と技術を有する薬剤師に与えられる資格です。
認定薬剤師の制度には、生涯研修認定制度、特定領域認定制度、専門薬剤師認定制度、その他の認定制度の4つがあり、それぞれ特徴があります。
資格を取得するためには、研修に参加して単位を取得し、申請を行う必要があります。
資格取得後も、継続的に単位を取得し続けることが必要です。

認定薬剤師になるメリットとして、専門的な知識を有していることの証明になることや収入アップにつながる可能性があること、キャリアアップに役立つことなどが挙げられます。
資格取得には努力が必要ですが、得られるメリットは大きいといえるでしょう。

薬剤師として専門性を高め、より質の高い医療サービスを提供したいと考えている方は、認定薬剤師の資格取得をめざしてみてはいかがでしょうか。
資格取得を通じて、薬剤師としてのスキルアップを図り、患者さんの健康をサポートできる存在になることができるはずです。

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